アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

多才北野武監督映画全18作を5段階評価してみた

 

これまで様々な監督を紹介してきた当ブログの全作評価シリーズ。
読者様より海外の監督ばかりじゃないかという声があった。
確かに...
日本映画界にも素晴らしい監督は沢山いるのにこれではいかん。
しかし...誰をやれば...
多くの人に愛され、認知度も高く、ある程度作品を手掛けている監督
それを考えた時に真っ先にこの監督が頭に浮かびました。

北野武

その人である。

世界のキタノと呼ばれ
日本はもちろん海外でも評価されている
間違いなく日本を代表する監督の1人。
ファンも多く、もちろん僕もその1人だ。

そんな北野ファンの1人である僕が北野映画の全てを厳しくジャッジさせて頂きます。

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【絶対観るべき作品たち】
【観ても損はない作品たち】
【観たいというなら止めはしないが...作品たち】

3つのグループに分けさせてもらいます。
そして参考指数として

「北」「野」「た」「け」「し」の5文字を星に見立てて5段階評価させて頂きます。

では早速はじめましょう。
まずはこのグループから


【観ても損はない作品たち】

絶対!とまでは言えないが出来れば観て欲しい作品たち。
他の北野作品が好きでまだ未見なら鑑賞をご検討下さい。決して損はないはずです。



・その男、凶暴につき 

【採点】北野

北野武監督デビュー作。
ルール無視の暴力刑事と凶悪犯罪者の一騎打ち。

タイトルどおりその凶暴性が凄い

が、現在の北野映画はその暴力の裏に隠れた人間の内面性を大事にしている。
その内面性描写に魅力を感じる僕としては少し物足りない。

が、北野映画のルーツ、進化を知る上では欠かせない1本ではあります。


・座頭市

【採点】北野

今作は非常に人気が高いですね。
これが1番という声も耳にします。
でも僕はそんなに好きじゃないです。
殺陣のシーンは迫力があって見応えがあるんですが、ドラマが面白くない。
エンディングのタップダンスも

ふ~ん

て感じでした。
ただ1点「型にはまらない」という描き方は、後世に座頭市を繋ぐという意味で
素晴らしい役割を果たしたかと


・Dolls 

【採点】北野た

キタノブルーという言葉があります。
青を基調とした画面創りの特徴からそう呼ばれる様になりました。
ところが今作で印象に残るのは鮮やかなまでの

赤、赤、赤

物語は3つの愛が交錯しながら描かれます。

それも

常軌を逸した愛
北野武が思い描く「究極の愛」とは

僕はメインではない事故で片目を失ったアイドルの話が好き。
容姿が崩れた事を気にし人目を避け生きる元トップアイドル

事故後も変わらず慕いつづけるファンの男
男は何も求めない
ただそこにいてくれれば

彼女が変わってしまった容姿を気にするなら、僕はこの目を...

谷崎潤一郎を思わせる、純と狂気の混じった愛

怖い怖い怖い、でも美しい


・アキレスと亀
 

【採点】北野た

僕の周りではすこぶる評判の悪い作品。
そうかな?僕は好きなんだけど...

絵を描くことでしか生きれない変人と
唯一その男を理解し共に寄り添い生きる妻
その滑稽で悲しい夫婦の軌跡を辿った映画。

北野映画は男ばかりが印象に残りがちです。
でも今作だけは女性が印象に残ります。
樋口可南子が演じる妻に笑い、同情し、そして暖かな気持ちになります。

画家でもある北野武が

アートって何?
正しい生き方って何?
夫婦愛って?

を訴えかける秀作


・あの夏、いちばん静かな海。

【採点】北野たけ

北野映画の特徴としてセリフが少ないというのがあります。
その中でも今作は特に少ない。

というのも主人公が言葉を発せられない聾啞の男女。
普通の映画なら手話に字幕をつけて説明するのが定番です

が、一切そういう映画的演出をしてません。

男がサーフィンにのめり込み、女はそれを見守る。
僕たちはその2人の交流を眺めるしか出来ない
それなのに不思議と

あ、今彼女はこう考えてる。
彼はこう伝えてる。
が、ちゃんと分かります。

2人が浜辺に座ってるだけなのに、心を揺さぶられます。
で、ラスト。
ラストが凄え切なくていいんだよ...
これは観て欲しいなぁ...



・アウトレイジ最終章  

【採点】北野たけ

ああ、終わっちゃった…て感じですね。

1で椎名桔平がいなくなり
2では加瀬亮、小日向文世さんまでいなくなって

おいおい、それでアウトレイジ成立する?

未見の方、ご安心下さい。

ちゃんとアウトレイジです!

失った穴を大森南朋、ピエール瀧、そして満を持しての登場 大杉漣さんがしっかり埋めてくれてます。

最終章も面白かった~

でも もうアウトレイジ観られないんですね...
寂しい...
北野監督、アウトレイジをも超える新作ヤクザ映画を期待してます!



・BROTHER

【採点】 北野たけ

「F ××kin´ Japぐらい分かるよバカ野郎!」

のセリフで有名なこの映画。
日本を追われアメリカに住む弟を訪ねてきたヤクザの映画です。

ANNIEKY IN THE アニーキーインザ L.A.
最高です

ヤクザとして生きて来た男、L.A.に来ても結局やることはヤクザ。
ヤクザはどこまで行っても所詮はヤクザ。
でもね、

マフィァ≠ヤクザ

なんですよ。
Japanese Mafia なんて呼ぶんじゃねえぞ!
兄弟の仁義ってもんを見せてやる!
そして高らかに叫べ!

「I Love you ANIKI」


・HANA-BI

【採点】北野たけ

世界中で評価されてる作品だからあえて評価しないというのは変な話。

素晴らしいものは素晴らしい!

だったら「観るべき」のコーナーに入れろよ!
いやいや、あれもこれもとなると「べき」のコーナーが渋滞しちゃうんで...
このコーナーに甘んじてもらいます、ごめんなさい

それにしても この作品、

怖い

僕は北野作品で今作が1番怖い。
バイオレンス描写だけで言えば、もっとキツイ作品は沢山ある。
でもそれらはエンターテイメントとしてのバイオレンス。

今作が見せる、暴力、犯罪、死

妙にリアル

ゆえに怖いと共に悲しい
この映画を観ると僕はいつも思います。

良い人間、悪い人間ってなんだろう?

主人公の男は確実に悪い人間です。
でもその男の犯行動機、余命僅かな妻に向ける愛、その妻との旅行で見せるさりげない優しい言葉や行動

それを観るとどうしても憎み切れない僕がいます。

ああ、やっぱ好きだな「べき」に入れたい。
でも...
同じくこの映画が好きな人、心の目でもう1度採点を見て下さい。

念でかかれた満点5つ星目の文字があなたには見えるはず  


【観たいと言うなら止めはしないが...作品たち】

このグループはタイトルそのままですね。
え、あ、観ます?まぁ止めはしないけど僕はお勧めしかねます、の作品達です。
あくまで個人の感想と評価なので、お好きな作品が入ってても
まぁまぁそんな怒らずにって感じで読んで下さい。

 

・3‐4×10月 

【採点】 

これは僕がバカだからかな?
何が何だか訳が分からない。
前半の草野球チームとヤクザの抗争のところは面白い。
そこから沖縄に飛んでたけしが出て来たあたりから、誰が主役で何の物語を描いてるのかさっぱり分からなくなる。
で、再び本筋に戻ったら強引に物語を進めて謎のラスト

???

ちゃんと内容と狙いを理解してる人にとっては面白いのかも
でも僕にはさっぱりわからなかった。
映画解説者の故 淀川長治先生は褒めてました。

だからきっと僕がバカなんだろう。



・菊次郎の夏 

【採点】

この映画で1番言っちゃいけない事なんだろうけど...

「音楽しか印象にない」

久石譲 作曲の「summer」は間違いなく名曲です。
それに引っ張られてなんとなく良い映画を観た余韻が残りますが
実は映画はそれ程でもない
子どもに競馬の予想させるとこはちょっと面白かったかな。


・龍三と七人の子分たち 

【採点】殿

ちゃんと創ってちゃんと面白くないってのが1番キツいな。
終わり方とか昭和感を演出してるのは好きなんですけど
笑わせようとしてるとこが、ことごとくハマれなかった。
あ、死体をぞんざいに扱うとこはちょっと笑った。


・TAKESHIS' 

【採点】マサル

大スタービートたけしとコンビニで働くしがない役者北野たけし
2人の「たけし」が存在する世界。
ある日、2人は顔をあわせる事になるが...

ジャケ渋いし、設定も面白いんだけど、何だろ?
鑑賞後に残る、あ~ぁって感覚...
これ監督たけしじゃないでしょ?
お兄ちゃんでしょ?

う~~ん、困ネチ


・監督・ばんざい! 

【採点】枝豆

「誰がまたヤクザやるつッたんだよ」

映画監督北野がヤクザを封印して様々なジャンルの映画創りに四苦八苦するコメディ...特に言うことないので松重さんの名言を感想の代わりとさせて頂ます。

「お務め済んだからって堅気面か?おめーを迎えに来た奴(ファン)見てみろよ!どっからどう見てもヤー公じゃねぇーか」


・みんな~やってるか! 

【採点】 らっきょ

ダンカンを主役に起用して男が女にモテる為に、え~と、色々やる訳ですが、え~と…

「木村もういいよ、帰ろう..」

 

【おまけ】

・素晴らしき休日

3分間のショートムービー。
監督・ばんざいに同時収録されてます。
みんな大好きなあの映画が劇中に流れます。
それだけで本編よりアガリます。



【絶対観るべき作品たち】

もしこの記事を読んでる人の中に、このグループで観ていない作品が1本でもあればレンタルあるいは購入することをお勧めします。
世の中絶対なんて無いかもしれないけど、これから紹介する作品は

絶対面白い!...はずです。

ではイラスト付きでドドンと紹介

 

 

・ソナチネ  

【採点】北野たけし

北野作品は、「バイオレンス」「コメディ」「アート」「ヒューマン」

大きく分けてこの4つで構成されていますが

今作が1番バランスが良い!

沖縄を舞台に2つの暴力団の抗争を収める為に送り込まれたヤクザの物語。

前半、これでもかという位にヤクザの怖さを見せつけます。
その後沖縄に移ってからのやる事のないヤクザの日常の緩さ。
そしてラストに向かうにつれ、再度激しくなっていくバイオレンス。

その緩急が堪らない!!!

当たり前だけどヤクザにも日常はあって、その隙間に暴力や死があって...
ヤクザなんてそんなもんだよ
命なんてそんなもんだよ
と言われている気がします。

北野武の「死生観」がここにあります。

あとこれは本かTwitterか何かで読んだんだけど
「ソナチネ」というタイトルの意味

ピアノ初心者が「もうピアノやめちゃおっかな...」てなるタイミングがソナチネあたりらしく、それを「もうヤクザやめちゃおっかな...」となる男の思いとなぞらえてる

という事らしいです。
これを読んだ時

北野武のセンス凄え!

てなりました。

f:id:hagane-mk:20180506065647j:image※ソナチネの漣さんメッチャいいよね



・キッズリターン

【採点】北野たけし

これは北野映画好き嫌い関係なく観て欲しい
僕個人の趣味趣向関係なしにすれば北野映画No.1じゃないかな。

不良のマサルとシンジ。
シンジはマサルを慕い、いつもマサルの背中を見て来た。
マサルがボクシングを始めれば、付き合うようにシンジもボクシングを始める。
しかし、そこで才能の華を咲かせるのはシンジの方だった。
そしてマサルはリングから去り、アウトローの道を歩きはじめる...

なんてベタな...
未見の人、そう思ったでしょ?

ところがどっこい

北野武という監督は自身が誰をも認める「成功者」であるにも関わらず
1本たりともサクセスストーリーを描いていません。

きっとそこに面白さを見いだせないんでしょう
幸せなんてクダラナイそう思ってるのかも

だから当然この映画の2人とも…
おっと未見の方の為これ以上は伏せましょう

でもこれだけは言っておきます

間違いなくこの映画は傑作

そして

「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」

「バカ野郎、まだはじまっちゃいねえよ」

は映画史に残る名言!

です。

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・アウトレイジビヨンド

【採点】 北野武だコノ野郎!

え~?これがキッズリターンよりもソナチネよりも上?

なめんてんのかテメェ!

なめんてなんかねぇよ!

すみません、大好きなんですアウトレイジシリーズが。

北野映画はもちろん、他の監督映画でもたけしが出てくると

「あ!たけしだ」

て思ってしまいます。
でもこのシリーズに限っては

「よ!待ってました!大友!」

てなります。
その映画が好きって事と、登場人物が好きって事はかなり近い気がするんですよ。
好きな映画の主人公の名前って覚えてません?
BTTFのマーティマクフライとかダイ・ハードのジョンマクレーンとか

そのレベルで好きなんです。

前作の抗争から5年後が描かれる続編。
関東トップまで大きくなった山王会と関西トップ花菱がぶつかる。
そこにあの男が帰ってくる。
密かな復讐を胸に秘め...

抗争の規模、殺しの人数、飛び交う怒号
全てパワーアップ、最高の続編

見逃し厳禁です!

ちなみに僕が今作で1番好きなセリフは

「なんかッつーと腹やられるなぁ...」

です。

 

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・アウトレイジ 

【採点】 北野武だバカ野郎!

となると、必然的にこの映画が1番になっちゃいます
すみません、大好き過ぎるんですアウトレイジが

でも今ヤクザ映画をここまでエンターテイメントに出来る監督が北野武以外にいます?
僕はちょっと思いつかない。

で、アウトレイジシリーズが終わり
それに代わる新しいヤクザエンターテイメントを撮る監督
それもきっと北野武でしょう。

しかしこのシリーズ、いわゆる北野映画らしさってやつをことごとく排除しまくってます。

キタノブルーはないし、セリフ罵倒がやたら多くてやかましい。登場人物が歩くシーンも少ない。もちろん久石譲の音も流れない。

ハハハ、本当にこれが1位で良いのか?

いいんです。

他に比べ観てる回数も圧倒的に多い。
これを1位にしなきゃ嘘になる。

それにね、アウトレイジは人生で大切な事を沢山教えてくれます。
とりあえず、ヤクザにドライブと野球とキャンプを誘われたら死ぬ。
英語と韓国語は勉強しといた方が良い。
迷惑もハローワークもない。
皆さんも覚えておいて下さい。

さぁて、これから1~最終章までのイッキ観を何度も周回してやるぞ
やっぱ、

アウトレイジは最高だ!
1位以外の選択肢はねえ!

ちなみに今作で僕が1番好きなセリフは

Hey
you know you're dealing with YAKUZA, right?
(俺たちがヤクザだってこと忘れてねぇよな?)

です。

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過去記事でアウトレイジシリーズについてあれこれ書いてます。良ければご一読下さい

 

ということで、北野武映画全18作を格付け、紹介させて頂きました。
あなたの北野評と比較していかがでしたでしょうか?

バカ野郎!てめぇ北野映画好きじゃなくてただのアウトレイジ好きじゃねぇか!
アウトレイジ接待記事じゃねえかコノ野郎!

ですよね...否定はしません。
多くの北野信者に納得して貰おうと思えば
「ソナチネ」「キッズリターン」「あの夏、~」「HANA-BI」
を絶対観るべき4作にするべきですよね。

重々承知してるんです。

この記事を書くにあたり、北野映画を観たことのないある女性に聞きました

「北野映画ってどんなイメージ?」

返ってきた応えは

「なんか、ヤクザ映画とか?」

う~ん、これではいかんと書き始めたのに
結局1位2位をヤクザ映画にしてしまうという、

なんじゃそりゃ?ですよね。
すみません(汗)

でも言い訳や未見者の参考になるか分からないですけど

僕、マフィア映画は好きなのに日本のヤクザ、任侠、極道映画の類は苦手なんです。
でも北野映画は好きなんです。

僕の中では似て非なるモノなんです。
その違いはたぶん

美学

北野監督の中にある
こういうのはカッコイイ
こういうのはカッコ悪い
というのが、普通のそれとは違う気がします。

なんというか、ぶざまなもの、滑稽なもの、不器用なもの
そういう駄目なものの中にこそ美しいものがある、みたいな。

で、そういうのは大きい声で言うもんじゃないからって、静かに淡々と描こう。

これが普通のヤクザ映画にはなくて
北野映画にある美学ではないでしょうか?

だからこそ…いやこんなミーハーな格付けをしておいて したり顔で語るのはやめましょう

僕はにわか北野映画ファンです。
認めます。

でも実は俺も私もアウトレイジが1番好きなんだって共感してくれる方がいれば嬉しいです。
そんな方の映画選びに当記事が参考になればもっと嬉しいです。
そうなることを祈り終わります。

長文お付き合い頂き有難うございました。

 

追伸、

てめーらガタガタうるせえんだよバカ野郎!
いくら古参の北野信者でもちょーしんのってると容赦しねーぞコノ野郎!