アノ映画日和

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「ナラタージュ」松本潤と有村架純が怖くて胸がざわざわした話

 

このブログをよく読んでくれている方はご存知でしょうが、僕は恋愛映画をほとんど観ません。
今回も観たい新作ホラー映画をセットで借りる際の数合わせで借りました。

ところが実際鑑賞してみると、期待していたホラー映画よりも怖かった。

そう言うと恋愛映画の枠をはみ出た映画を想像させてしまうかもしれませんが
いえいえ、至極真っ当な恋愛映画です。
血が流れる様な事はありませんのでご安心下さい。

でも、だからこそ怖かったんだよな...
そうか恋愛映画ってある意味ホラーだったんだな。

 

2017年/日本
監督:行定勲
出演:松本潤、有村架純、坂口健太郎、市川実日子、瀬戸康史、ほか
上映時間:140分

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ざっくりあらすじ

〈ナラタージュ〉とは映画などで用いられる語りや回想で過去を再現する手法。
そのタイトルが示すとおり、この物語は映画会社に勤める泉(有村架純)の忘れる事の出来ない過去の恋が語られる。
高校3年生の時に始まった教師葉山(松本潤)との

決して忘れられぬ、そして許されぬ恋を

 

一生に一度のあの恋をあなたが見つけ出してくれた
この
心を あなた無しでも 私は離さない 

恋愛映画はストーリーを追うより、登場人物を紹介した方が伝わる気がします。
だから今回は主要登場人物を紹介しながら感想を書きます。
つきましては、ネタバレがジャンジャカ出て来ますので、未見で知りたくない方は読まない方が吉です


まず主演、

松本潤演じる葉山先生

僕はそもそも松本潤に対して役者のイメージはあまりなく

日本で1番人気アイドルグループの人
木曜日にでっかいボールを蹴って空缶を倒す人

そんなイメージでした。
でも今作で役者松本潤を見た気がします。

彼が演じた葉山先生という人物。

正直、よーわからん!

教師と生徒の禁断の愛を描いた物語は散々描かれてきましたが、
大抵は生徒が教師に向ける一方的な恋から始まり、やがてそれが愛に発展していくというのが定番。

教師側は守備という暗黙のルールがあります。

ところがこの葉山は攻める時は結構攻めます。

ざっとあげると

・泉の卒業式の日に不意打ちのキス

・それから放置して1年後、演劇部の助っ人として泉を呼び出す

・風邪で寝込んだ泉の部屋に訪問して看病
(アーンして食べさせてあげるオプション付き)

・酔って運転出来ないと泉を呼び出し家に連れ込む

・髪が伸びたからと切って貰う

・夜中に声が聞きたくて…と電話をしてくる

なかなかのキッキングスナイパーです。

このオラオラくんが!と罵倒してやりたいとこですが、そういう感じでもありません。

この葉山という人物には3つの顔があります。

①夫としての顔
②教師としての顔
③男としての顔

まず①が訳アリでして。
妻は姑との関係を拗らせ、義母が在宅中に家に火を着ける程壊れてしまいました。
夫として妻をちゃんと守ることが出来なかった自分を悔いています。

①の顔が壊れたからか②の顔に より責任を持ちます。
常に生徒に目を配る。
そんな彼だからこそ、虐めにあい居場所がなく途方に暮れた泉の存在に気付いてあげる事が出来ました
そして泉を顧問である演劇部に誘い居場所を創ってあげます。

ところが泉が

先生、、、好きになっていいですか

となると ③の顔がムクムクっと出て来てしまいます

①と②は後天的に作り上げて来た顔ですが③は本能です。
泉が生徒である間は制御してきましたが、それが解放されると①も②なく先のような行動にでてしまうと...

MJマジ獣

こわこわこわ...

しかも、オラオラくんの様に後先考えずに動いて身を亡ぼすような愚かな事はしません。
着かず離れず相手との距離を一定に保つ上手いやり方をします。
社会的立場も自身の心も傷つかないよう、かつなるべく相手も傷つけないよう配慮しています。

このように良い人なのか悪い人なのか掴みどころがなく、ある意味ずるい大人。

それが、葉山先生

松本潤はこんな複雑な男をよく演じ切ったなぁと感心しました。
さぞファンの方々も困惑したことだろうとニヤケ顔でネットを覗くと

葉山先生可愛い!
母性本能をくすぐられる!
あの目にやられた!

と、絶賛に次ぐ絶賛の

お、お前らアレやろ?MJやったら何でもアリやろ...

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聞けよ、イヤよ、聞けよ、知ってるわ
一晩中泣いて泣いて泣いて 気がついたの 

有村架純演じる工藤泉

彼女もよく分からん娘ですね。
卒業式の日に大好きな先生からキスされたんだから、あとはグイグイ行けば良いのに
音沙汰がないからって1年も待機します。
たぶんSNSとかめっちゃチェックしてたと思うけど

で、1年後連絡が入ったらまた恋の炎が燃え上がったと。

でもそういう子いますよね、恋に臆病な子というか基本待ちのタイプ。

先生に恋しちゃった、いやさせられたごく普通の女性です。
でもその普通さが怖かった。

有村架純ってこんな演技出来る女優さんでしたっけ?

特に印象的だったのが、目と醸し出す雰囲気。

男性なら1度は経験したことあると思うんですが
あ、余計な事言っちゃったって時の女性の反応

あのコンマ何秒かで気温を‐3℃にする冷ややかな目とオーラ

で、その後に出る

「ふ~ん、そういう風に言うんだ?」

う~~怖い

あと彼女の身勝手さが怖いというのもあります。

葉山先生との恋愛に進展が見込めない泉は、自分に好意を寄せてくれている小野君(坂口健太郎)とお付き合いする事にします。
自分から付き合って下さいとお願いして

でも心にあるのはいつも葉山先生で、やはり交際は上手くいきません。
で、ある事件をきっかけについに泉は小野君に告げます

「私、やっぱり葉山先生のところに戻りたい」

うわ~勝手!

でもこれは仕方ないです。
恋愛なんて頭でするものじゃなくて心でするものですから。
でもそのあと必死であらがう小野君が言うんです

「いやだ、そばにいたい」

そこで泉が放つ衝撃のひと言

「一緒なんだよ、小野君がそう言ってくれてるのと同じ気持ちで私は先生を見てる」


う~わ~~~!!!

言うかね?それ言うかね?
しかも泣きながら言ってます。
いやいやいや泣きたいの小野君やで
小野君、女性恐怖症になるで!トラウマやで!

こわいこわいこわい、普通の女こわい!

 

壊れるほど愛しても1/3も伝わらない
純情な感情は空回り 

坂口健太郎演じる小野君

彼は良い!本当に良いですね!

一心に泉を想い一生懸命泉に尽くす、でも結局彼女に去られてしまう
これ言うなれば「あすなろ白書の取手君ポジション」で本来1番美味しい役のはず

小野君可愛そう!
私なら絶対小野君を選ぶ!

女性陣はキャーキャー言うはずなんです
ところが多くの女性(坂口健太郎ファン以外)が小野君に嫌悪感を持ちます。
それは小野君の行動が

あまりに無様で器の小さい男を露呈しているから

深夜ベッドを抜け出して葉山先生と電話で話してる泉に気づくと
「ちょっと携帯見せて」

変な男に付けられ怖がって助けを求める泉に
「今から迎えに行くって言ったらもっと俺の事好きになってくれる?」

別れを告げ謝る泉に
「本当に悪いと思うなら手をついて謝れ」

あげくにはあげた靴を脱いで行け

あかん...NGワード連発や...こりゃ泉だけじゃなく女性陣もドン引きや...

でも、でも女性の方に理解して欲しい

男なんてこんなもんなんです!

嫉妬深く、いつも不安で、それでいて変なプライドを持ってて、壊されるとそれを怒りに身を任せてついつい酷いことを言っちゃう。

彼は僕だ...

鑑賞中ずっとそう思ってました。

東京ラブストーリーだったかな?
こんなセリフがありました

恋愛では気持ちの通じ合ってるもの同士が正義
はじかれちゃった人は悪者(邪魔者)なんだよ

確かにそうかも...
小野君はまさにこれに当てはまります。
でも人生において何度も悪者になってきた僕はどうしてもはじかれた人の肩をもっちゃいます。

だからお願い、
彼を好きになってくれとは言いません。
でもせめて嫌いにだけはならないで下さい。

彼のナラタージュは本編よりもっと悲しい物語として語られるはずだから

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甘えや嫉妬やズルさを抱えながら
誰もが生きてる それでも人が好きだよ そして

と言う感じで、ナラタージュの主要登場人物を紹介させて頂きました。
結局あれですね。

これはダメな大人のダメな恋愛を描いた映画ですね

僕はその辺が凄く気に入りました。
その辺の胸キュン映画とは一線画すなと。

ダメな人達ばかりが過去回想として映されていくので終始
これからこの人達どうなんだ?
何をやっちゃうんだ ?
という緊張感と恐怖がありました。

特に葉山先生
彼からは目が離せませんでした。

夫の顔が潰れた補填に生徒を守って、それで自分自身の気持ちを回復させて
それを恋愛目線に切り替えて夢中になってたら、別の生徒の悩みを見抜けなくて自殺させてしまう。
それで自己嫌悪になって、結局妻の元に戻る決断をする。

ダメダメ夫のダメダメ先生やん

それでいて泉には

「恋ではなかったと思う、でもそれ以上に大事な存在だったんだ」

とか言っちゃって

うわ~不倫男の常套句!

て感じ。

結局、最後は泉を抱くしね。
上手いな~ズルいな~、その後どんな顔で妻と向かい合うんだろう?

この映画は
そういう大人の恋愛のズルさ汚さを逃げずに描いた

恋愛と誠実に向き合った恋愛映画

僕はそう評します。


ただ1点どうしても言っておきたい不満がこの映画にはあります。

それはベッドシーン

泉と小野君のベッドシーンには温度がありませんでした。
「彼女の義務」的な感覚で抱かれる泉を表してて、そこは良かったです。

で、肝心な葉山先生とのベッドシーンです。
恋の終わり、映画の終わりになる重要なシーン。

先のベッドシーン同様温度がない!

もっと卑猥であって欲しかった。
いや、エロいシーンを観たかった訳じゃないですよ

「義務で抱かれる」のと「狂おしい程愛した男」に抱かれるのとではこんなに違うんだ

そういう説得力を持った卑猥さが欲しかったんです

それがあれば一生1人の男を想い続ける女のナラタージュとして完璧だったのになぁ...

 

壊れるぐらい、
あなたが
好きでした。

 

その言葉を嘘にしない為にも...

 f:id:hagane-mk:20180521221911j:image追伸、坂口健太郎演じる小野君に対し 「彼は僕だ」と書きましたが、不適切な表現でした。
僕は彼と違ってモテ人生を過ごしてないし、もっと下衆な男でした。
訂正すると共にお詫び申し上げます。