アノ映画日和

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「レディ・プレイヤー1」感想 スピルバーグはもう映画を撮らなくていい!

 

映画史上最も偉大な監督は誰だ?

僕は即答する、それは

スティーヴン・スピルバーグだ

いやいや、あなたが黒澤だ、コッポラだ、ヒッチコックだとか言うのはどうでもいい。
全世界、全世代対象で聞いた時に
1番たくさん名前があがるのはスピルバーグに違いない。
この認知度の高さは創ってきた作品の偉大さに他ならないという話。

ではスピルバーグの代表作は?1番好きな映画は?と聞いた時
おそらく多くの人が「E.T」「ジョーズ」「ジュラシックパーク」など結構昔の作品をあげるでしょう。

偉大ではあるが、残念ながらスピルバーグは第一線ではなく過去の人
そんな印象がある。

で、今世間を騒がせてる最新作はどうか
さっそく観て来たので感想を書きます。

 

2018年/アメリカ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:タイシェリダン、オリヴィアクック、リナウェイス、ベンメンデルソーン、森崎ウィン、サイモンペッグ、ほか
上映時間:140分 f:id:hagane-mk:20180429184852j:image

87点

ざっくりあらすじ

2045年 世界は荒廃し大半の人々がスラムで暮らしていた。
そんな世界の人々にとって唯一の希望はバーチャル世界「オアシス」
ここでは誰もがなりたい自分(アバター)になれた
そのオアシスの開発者ハリデーが遺言を残して死んだ。

オアシスのどこかに56兆円の価値のある宝を隠した
3つの謎を解きこれを見つけし者を私(オアシス)の後継者とする。

この言葉に導かれるように世界中のプレイヤーは競い合った。
17歳の青年ウェイドもまたその夢を追うプレイヤーの1人だった。


LOVE 涙色
泣いても 泣いても 止まらない

やってくれたな、スピルバーグ!

大傑作じゃないか!

は?
もう映画は撮らなくていいとかタイトル付けて何だ?
釣りか?

そう思われお怒りになる方もいるかもしれないが待ってくれ。
半分は釣りだが半分は本音だ。
その真意は追々説明させて頂く。

とにかく僕は嬉しい。
どれくらい嬉しいかと言うと劇場で大号泣してしまったほど嬉しい。
エンドロール中、

劇場よ、まだ明るくなるな、まだ駄目だ

と思っていたのに明るくなってしまったので
うつ伏せで座り込み席を立たない僕に

「大丈夫ですか?」

とスタッフさんに心配されてしまった。
目を真っ赤にしてる僕に察してくれたようだが

「そんな泣くような映画じゃないだろ...」

そう思ってたはずだ。スタッフさんごめんなさい。
でも僕は物語に泣いたんじゃなく、スピルバーグの帰還に泣いてしまったんだ。

では、どこでアガッたか個人的な感想を書いていきます。

が、今作は些細なネタバレも知らずに観た方がより感動出来るので、未見者は読まない事を推奨します。


まず、全体を通して

若々しい!

とても70を超えたJJIが撮った映画とは思えない程若々しい!
僕も含め殆どの方が前情報を持っての鑑賞なので、そこに驚きは感じなかったかも知れない。
でももし何も知らずの鑑賞なら

誰1人スピルバーグ作品だとは当てられないはず

それほど、今作は近年のスピルバーグ作品とはかけ離れている。

いい意味で大ざっぱ

設定と物語の方向性だけ決めたら、あとは好きなものを出来るだけ多く詰め込んじゃえ!という荒業。

時代は未来、メイン舞台はVR、そこにお宝が隠されているから探す。

なんて単純明快なんでしょう。
細部まで綿密に計算する巨匠の作品とは思えないですね。


次、

I LOVE JAPAN

スピルバーグは今作の原作を読んだ時に、あまりに自分の関わった作品が多く登場しリスペクトされてるので、誰かがこれを映画化したら自分は恥ずかしくて見てられない。
だったら自分が撮ろう。
そうすればあまり自分を出さなくて済む。
そう思ったそうです。

同じ様な思いでいくと I LOVE JAPANが過ぎる。
あっちにもこっちにも、あらゆる日本のキャラクター、カルチャーが散りばめられています。

恥ずかしくて見てられない?

そんな訳ない!
日本人として素直に嬉しい!

有難うスピルバーグ!

さ、ここからは、あらすじ順にアガッたとこを列挙していきます。
いよいよ未見者はログアウトして下さい。


ありったけの夢をかき集め

探し物探しに行くのさ ONE PIECE 

第1の試練

VRに隠されたお宝(イースターエッグ)を探し出すには3つの試練をクリアしなければいけません。
まず最初の試練はレース。
これが物語のオープニングとしてメチャアガル

世界中のプレイヤーが各々のアバターで好みの車で参加してます。

VRの世界なら何でもあり!
主人公はデロリアン、ヒロインはAKIRAのバイク

あちらこちらに知っているキャラや乗り物が溢れています。
何かの映画にあったキャッチコピー

秒でアガル!

はこの映画にこそ相応しい。

でも試練という割にレースならば誰かがゴールすれば良いだけの話では?

そこがこの映画の上手いところ
誰ひとりとしてクリア出来ない理由を映像だけでわからせます。

プレイヤー同士の争いも過酷ですが、それ以上にレース中に妨害の仕掛けが沢山。
ジュラシックパークの恐竜やキングコングなど沢山の妨害キャラや仕掛けがプレイヤーの行く手を阻みます。

う~ん、アガル!

でもよく考えたら空飛ぶ乗り物で行けば良くない?
デロリアン飛べば?

うん、そういうチートはナシ。
この映画は大ざっぱだからそんな説明もナシ。

ある特別な方法で挑めばクリア出来るようになってるんです。
一応そこは伏せておきますね。

第2の試練

シャイニング!

僕が劇中最もアガリ、笑い、泣いたところです(だから何で泣くねん!)
第1の試練で仲間になった

・パーシヴァル
(主人公、いわゆるオタク少年ウェイドのアバター)
・アルテミス
(ヒロイン、男勝りの名うてのアバター)
・エイチ
(パーシヴァルの親友、メカニックの凄腕アバター)
・ダイトウ
(対戦バトルのプロフェッショナル、好きなロボに2分間変身出来る)
・ショウ
(中国忍者、対戦バトルが得意)

この5人組で挑みます。

映画「シャイニング」の世界に入り込み謎を解け!

このシャイニングの世界がよ~~く出来てます。
スピルバーグはシャイニングが大好き。
シャイニングのBlu-ray特典でシャイニングのどこが素晴らしいか熱弁をふるう程溺愛しています。
もうそのシャイニング愛が劇中で炸裂してて、

そう!そこ!

と同じくシャイニングLOVEな僕ははしゃぎまくり。
あの双子が出て来るし、エレベーターからは血の洪水、集合写真とか芸が細かい。
で、あのバスルーム

あかんねん!その女はあかんねん!
ほら?鏡、鏡!
だから言うたやんwww

ゲラゲラ笑ってる所にジャックニコルソンの斧攻撃
あの迷路を潜り抜けて逃げ込んだ先があのキッチン

た、堪らん...(LOVE...涙色)

ここもシャイニングの知識はもちろん、ある特定の情報を持っていないとクリア出来ない仕組み。
5人は無事クリア。

今作は色んな映画が引用されていて、それを探すのも楽しみの1つ。
ま、それは周回鑑賞で探すとして
未見なのに読み進めてしまっているソコのあなた!
悪い事は言わない

シャイニングだけは観てから行った方が良い

ですよ。

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さて、このまま第3の試練に進みたいところですが、主人公含む5人組に立ちはだかる大きな敵がいます。

プレイヤーは全てが個人とは限りません。
組織力を駆使して挑む企業もいます。
世界最大インターネットプロバイダー「IOI」もその1つ。
大量の資金と人材(シクサーズ)で個人プレイヤー達を潰していきます。
このIOIのCEOがソレント

こいつがもう最悪!

第1、2の試練で出し抜かれたパーシヴァル達をリアルの世界で襲います。
パーシヴァルは家族を殺され、アルテミスは攫われます。

パーシヴァル達は第3の試練の前にアルテミス奪還ミッション、IOIに乗り込みます。

ここで初めてリアルの世界でメンバーが集まります

お前がエイチ?ダイトー?ショウ?

アバターと現実の人物とのギャップに驚くところです。
ま、でもよく都合良くこんな短時間で主人公の元に集結出来たものです。
世界中でプレイされているのに...

文句を言わない、こういう映画はご都合主義でいいのです

アルテミス奪還の為にメンバーが躍起になっている間、IOIは第3の試練に挑む。
しかも他のプレイヤーが挑めない様、試練場所をバリヤーで囲むという汚さ。
バリヤーの外にはシクサーズ軍団に護衛させる。

チート過ぎるぞ!IOI、
いやソレント!

アルテミス奪還に成功した(ここもメッチャ面白い)パーシヴァル達がIOIに立ち向かいます。

パーシヴァルの声に世界中のプレイヤーが集結。

全プレイヤーvs IOI

全・面・戦・争

しかしこんな事もあろうかとソレントも最強兵器を用意していました
なんとそれが

メ〇〇˝〇〇!

次々とプレイヤー達が殲滅されていきます。

でもパーシヴァル達も負けてはいません。
エイチはかねてより開発していたアイアンジャイアントを投入。
で、ダイトウのあれです。

「俺は、ガンダムで行く」

最終局面は最強ではなく最好で挑む
それが「ガンダム」だなんて

これでアガらない日本人なんているのかよ!

劇中MAXヴォルテージで盛り上がるところです。
鼻フガしてアドレナリンを分泌させまくって下さい。

しかし森崎ウィン美味しい役どころ貰ったなぁ... 

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IOIの全面戦争の決着と第3の試練の謎と迎えるラスト。
特に書くことはないです。
ま、落ち着くべきところに落ちついたなという綺麗なまとまりです。

しいて言うなら、第3のミッション ゲーム機「アタリ」 てのは良いんだけど
ピコピコ コントローラーでやるんじゃなくて、アタリの中に入り込んで欲しかった。
ビットの世界に入ったらどう描かれるかが見たかったな。

ま、あのコインでぶちアガッたから充分なんですけどね。

探してものは
こんなシンプルなものだったんだ 

で、これだけ楽しんでなんの文句があって
スピルバーグにもう映画を撮るななんて言うんだという話

文句なんてないですよ!

先の発言と矛盾しますが、

今作は実にスピルバーグらしい作品
僕が知ってる
僕が大好きな
スピルバーグ作品

単純で大ざっぱで楽しませる事だけを追求した娯楽映画

思えば彼の代表作は

・宇宙人友達、家に帰りたい
・海にサメがでたら恐かった
・トレーラーがしつこい
・恐竜復活させたら大パニック

単純極まりない物語を見たこともない映像で圧倒する

コレです。

が、近年のスピルバーグ作品といえば整理整頓されたしっかりとした映画が多い。
アカデミー賞もとりました。
映画人の誰からも尊敬され、巨匠と呼ばれる様になりました。
スピルバーグもその期待に応えるように巨匠らしい作品を生み出しています。

いつのまにか

スピルバーグ作品=安定した巨匠印

になっていたのです。
それが悪い事じゃないし、素晴らしい作品もあります。

でも僕が求めるのはそんなんじゃないんだよな...

それだったら他の監督でも良い気がします。

そこに今作「レディープレイヤー1」

バカバカしいほど単純で面白い、そして何より

ワクワクする!

これなんだよ、スピルバーグは

今度の休み映画でも観に行く?
そうね、じゃあ何観ようか

じゃなくて、明確に

今度の休みは
「レディープレイヤー1」を観に行こう!

もはや映画の域を超えたイベント

あのスピルバーグが帰って来た!
原点回帰!

しかもこれまでの映画やカルチャーを集結させた娯楽作品。

スピルバーグの最後を飾るのにこれ以上相応しい映画はないという事ですよ。

てか、これで終わったら

カッコ良くない?

もちろん撮り続けるというカッコ良さもあるけれど、スピルバーグ伝説は彼の映画のようにスパッと決めて締めて欲しい。
そんな思いからです。

劇中、オアシスの開発者ハリデーの姿とスピルバーグの姿が被って見えました。
自分がやるべき事はやった
後悔がない訳ではない、でもそれは

今後のオアシス(映画)を任せられる新しい世代の人(監督)に託したい。

それは正にスピルバーグが言いたい事なんじゃないかな...と
これはスピルバーグの遺言的映画なんじゃないかと...
なら、やはりここで終わりに...

て、スピルバーグはまだ死んでねぇよ!

ですよね。
僕も半分は撮って欲しくないけど、もう半分はまだまだ彼の作品を観たいという気持ちがあります。
でも出来るなら、そこに注文をつけさせて欲しい

スピルバーグ
巨匠なんて名誉は捨てちまって

僕と世界をもっと...


驚かせてくれ!


全世界に散らばるスピルバーグチルドレンを代表して

f:id:hagane-mk:20180428234339j:image追伸、今回褒めに褒めちぎって92点なんて高得点を付けました。
でも映画単体を正当に採点したら80点くらいですよね。
彼の帰還に感動して+12点つけちゃったけど。
これはスピルバーガーとしてはやむなしです。
勘弁して下さい。

最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。 

・バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ
・シャイニング
・AKIRA