アノ映画日和

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映画「もらとりあむタマ子」感想 女優前田敦子はなぜ酷評されるのか

 

前田敦子・演技で検索すると

前田敦子演技下手

前田敦子演技下手すぎ

と出てくる。
中を覗くと演技が下手だと思う女優ランキングの1位が前田敦子。

そう?

疑問に思った僕が今作を通して僕が思う前田敦子を書く。

2013年/日本
監督:山下敦弘
出演:前田敦子、康すおん、富田靖子、ほか
上映時間:78分

f:id:hagane-mk:20170601233329j:image70点

ざっくりあらすじ

東京の大学を出たが、就職もせず実家に帰って来たタマ子23歳(前田敦子)
食べて寝て漫画を読んでまた寝る。
そんな日々を暮らすタマ子とその父。
この親子の1年に何か変化は起こるのか?


誰かと微笑んだ その季節を思い出す 

まず言っておきたいのは

僕は前田敦子のファンではない!

ファンだから援護、贔屓したくて書いてる訳ではない事をご理解頂きたい。

ちなみに僕のAKB歴代推しメンは小野恵令奈→篠田麻里子→渡辺麻友であり前田敦子は通過していない。

まゆゆ今度の総選挙では1位取ってね!

ま、それはどうでも良いとして、肝心の前田敦子の演技について。

僕は彼女の演技が下手だと思ったことは1度もない。

ファンではないので全作品を観てる訳ではないが、少なくとも下手女優1位に選ばれるような女優ではないのではなかろうか。

「クロユリ団地」「イニシエーションラブ」どちらも映画としては好きじゃないが、前田敦子の印象は凄く残っている。
悪目立ちとかそういう事じゃなく、映画内容に馴染んだ演技をしていた印象。
「モヒカン故郷に帰る」は映画も前田敦子も良かったし。

そして前田敦子出演映画で1番好きなのが

「もらとりあむタマ子」

今作である。

1番なのに70点?低くない?

そうお思いか?

いやいや今作は100点を取ろうとして創られた映画ではない。
1番じゃないけど、みんな好き。
なんか好きを狙った映画だ...たぶん。

だから70点ぐらいが丁度良いのだ。

そろそろ、どんな映画か紹介しよう
と言っても、秋から始まり、冬、春、そして夏とその間のタマ子とその父に起こる些細な出来事を緩く描いた映画。

ストーリーを追って書くような映画でもない。

だから季節ごと断片的に僕が好きなとこや好きなセリフを紹介する。

淡紅の秋桜が秋の日の
何気ない陽溜りに揺れている 

まずこのタマ子、ざっくりあらすじに書いた様に実に自堕落な娘である。
傑作映画「百円の恋」の一子の最初がずっと終わりまで続くと思って貰えれば良い。
かと言って、安藤サクラと前田敦子の演技を比べてたらダメですよ。

安藤サクラのあの映画の自堕落ぶりは容姿から演技からリアルを超越した神ですから。
それに今作はコミカルに自堕落娘を描いた作品。
あの安藤サクラが最後まであの調子でいかれたら、観てるこちらが落ち込んでしまいます。
前田敦子の可愛さが丁度良い映画なので演技比べはナシの方向で。

で、そんな自堕落娘は日々テレビのニュースを観ては

「ダメだな日本は...」

とこぼしながら、食事をします。
そんな娘を見かねて父が言います。

少しは就職活動してるのか?
何で大学行かせたと思ってんだよ!
卒業しても、なーんもしないで、食って寝て漫画読んで。

日本がダメなんじゃなくてお前がダメなんだよ!

ガッツーンと言われます。
しかしひるまず返すタマ子

その時が来たら動くわよ私だって!
いつだよ!いつなんだよ!

少なくとも...今ではない!

はい、きました!!

名言!
バトルシッパーの僕にとってこのセリフは堪らない。
※分からない方は傑作映画「バトルシップ」を御覧下さい。似たような名言がありますので

ここまでハッキリと開き直られては父も言い返す言葉がありません。
秋編の名シーンですね。

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今年最初の雪の華を2人寄り添って
眺めてるこの時間にシアワセがあふれだす

でも父もそんなタマ子に厳しい感じじゃなくて、割と...いやかなり甘いです。
大晦日の深夜、年越しそばを食べながらメールに必死のタマ子に注意します。
食べる時はメールを止めなさいと。
するとタマ子は
今のうちに新年のメール送っとくの!
年が明けたら繋がらないから

ここで父は怒ると思いきや

ふふ...その機転をね、就職活動にも活かして下さいよ。 

笑ってるし...
しかも灯油ストーブの灯油が切れて
じゃんけんポン!
負けた父は寒い中、外に灯油を汲みに行きます。

甘いなぁ...でもその甘さがこの映画の緩い感じを創ってて良いんだなぁ。

冬編で好きなのはあそこかな。


春の歌 愛と希望よりも前に響く

続いて春が来ます。
就職活動用に服が欲しいとねだるタマ子。
喜んだ父は服だけじゃなく時計まで買ってあげます。

するとタマ子は怒ります。
父に甘えっぱなしなのに、自分なんかの為にお金を使わせて申し訳ない気持ち。

わかるわぁ~~

また面接用に髪も切りに行くんですが
田舎の散髪屋ですから、思った感じには仕上がりません。
それでも
これで良いですか?に
...は、はい。

わかるわぁ~~

なんか美容師さんに弱気になる感じ。

この娘、性別違うけど俺やん!

共感しまくりです。

で、面接用の証明写真を写真屋の息子にこっそり撮らせるんですが、息子が父親にばらしてしまい、家にちょい怒りで届けに来ます。

なんでそんなに隠れて???
父はタマ子の部屋で書き損じの履歴書を見つけます。
そこに書いてたのは

今の自分は私ではありません。
生きてる以上、誰もが何かを演じている。
私は誰かになっている時が1番自然に思うのです。
そんな私に新しい名前をつけてください。

???となりますが机の上の本を見て分かります。
芸能プロダクション応募の本。

え?じゃあ、さっきの証明写真て?
封筒から開けて見た父、爆笑。

いつもふてぶてしいタマ子がブリブリのブリッ子ポーズ。

タマ子芸能人になりたかったのかよ!
時計いらんやん!

ま、父さん嬉しいよ。
とにもかくにも何かをやろうとしてくれた事がさ
応援するよ父さん

もうヤダ!全部ヤダ!

わかる!
自分に自信がある訳じゃないけど、もしかしてちょっとイケてるかも?とか思ってる自分がバレた感じの恥ずさ。
そこに追い打ちをかける父

いや可愛いってタマ子、全然イケてるって!

それが嫌なの!そういうのが嫌なの!

もうたまらなくこの2人のやり取りが好きです。


夏が来る きっと夏が来る

頑張ってるんだから絶対来る。

 

夏を迎え、2人に少し変化が来ます。
父には新しい恋の予感が。
それを不安で相手を探るタマ子。

その父のお相手と接触した時に漏れるタマ子の本音。
それを受け止めたようにタマ子に言葉をかける父。
それに

合格...

と返すタマ子。

タマ子は何を不安に思い、どんな本音をこぼし、父は何言ったのか。
とても素晴らしい夏なんで、未見の方は是非ご自身でご確認下さい。

でも僕が夏編で1番好きなセリフは、本筋とは関係ないテレビで高校野球を見てた2人の会話。

暑いのによくやるわ...
色んな人間がいるんだよ。
どういう意味?
別に...タマ子はタマ子のままでいいって言ってんの

そして夏は少し変化...いや2人にとっては大きな変化を迎え終えようとします。
物語も終わりを迎えます。
その終わり方がこの映画らしい終わり方で素敵なんですよ。


作り物で悪いか目の前を染めて広がる

動けない場所からいつか 明日を掴んで立つ

秋、冬、春、夏と僕の好きなシーン、セリフをあげました。

ね?緩いでしょ?
緩くて良い感じでしょ?

でも、この緩い2人劇を成立させる為には2人が魅力的じゃないとお話になりません。

タマ子が魅力的じゃなければ
前田敦子が魅力的じゃなければ

僕はこの映画を好きじゃないはずなんです。
この映画が好きな僕にとって前田敦子は下手な女優じゃないんです。

大多数の方が下手だと言う中、下手じゃないと言う僕は
沢山映画観てる割に役者を見る目がないな。
そう言われるかも知れません

が、全然かまいません!

なぜ皆、前田敦子を酷評するんだろう?

あれでしょ?
超絶美人て訳でもないのに、甘えた感じの態度や声が鼻につく。
またそれにチヤホヤする男にムカつくってやつでしょ?
俗にいう女性に嫌われる女性のタイプ?

でもそれを逆手にとった役を上手く演じてるじゃないですか。

あとはアイドル出に演技が出来る訳がないという偏見?
いやいやアイドルでも芸人でもエンタメとして人に見られる仕事をしてきた人はみな達者ですよ。
たまに例外もいるけど彼女はそうじゃないよ。

それにね、彼女はとても映画が好きなんです。
それはこれを読めばわかります。

前田敦子の映画手帖

前田敦子の映画手帖

中身は映画本というには稚拙な感想文でしかないですが(お前が言うなって言われそう)いかに彼女が映画好きかはビシビシ伝わって来ます。

映画が好きだったら演技が上手いって訳じゃないですけど、映画が嫌いで演技の上手い人はいないはずです。

確かに賞を取るような名女優じゃないけど、伸びしろはありますよ。
だから、もう少し暖かい目で見守ってあげましょうよ。

もう少し、もうちょっとだけ。

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追伸、エンディング曲が流れて来て、なんだ!この凄え良い曲はってエンドロールを見てたら...星野源!
出たな星野源!日本トップクラスの超モテ男のくせに非モテを演じる男、星野源!

前田敦子は認めても、まだお前は認めてねえかんな!

もらとりあむタマ子 [Blu-ray]

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最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・モヒカン故郷に帰る 
・百円の恋
・南極料理人 

www.anomaly3-movie.com