アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

「グレイテスト・ショーマン」感想 ミュージカル嫌いの僕をも虜にしたその魅力を伝えたい

 

子供の頃苦手だったものが、大人になって急に食べれるようになる。
そういうのありますよね?

僕の場合はあんこと納豆。
幼い頃はこれが食べ物だなんて認められないくらい苦手でした。
でもいつからか食べれるようになって、今では好物の1つ。

どこかで、美味しい!と思える出会いがあったんでしょうね
それがいつどんなモノだったのかは覚えていないけど。

でも今回は忘れないと思います。
大の苦手だったミュージカルに涙し拍手を送った
この大傑作は

 

2018/アメリカ
監督:マイケルグレイシー
出演:ヒュージャックマン、ザックエフロン、ミシェルウィリアムズ、レベッカファーガソン、ゼンデイヤ、ほか
上映時間:105分

f:id:hagane-mk:20180529154454j:image91点

ざっくりあらすじ

19世紀中頃、"地上最大のショウ"という名のサーカスを主催し、夢と希望に生きた興行師がいた。
男は家族を愛し、仲間を愛し、仕事を愛した。
彼の型破りなショーは世間の注目を浴びた。
地位、名誉、金、様々な成功を収める。
しかしその破天荒な生き方は時に大切なものを奪っていく。
彼が失ったもの、そして残されたものとは...

これは波乱万丈な人生を生きたエンターテイナー
P.T.バーナム(ヒュージャックマン)
実在した伝説の男の物語。


忘れられぬミュージック 今突然蘇る日々
口ずさめるミュージック 君と僕の心に流れてる

今回、誰に向けて書いているかと言うと
僕と同じ様にミュージカル映画を苦手としている方々です。

ミュージカルが好きな方は もう観た あるいはお勧めされなくても観る だろうから読む必要はありません。

でも結構多いはずなんです、ミュージカル嫌いの人
特に男性の方は多いんじゃないかな
何が嫌って

なぜ急に歌いだす?踊りだす?
普通にしゃべれ!

ですよね?
え?じゃあこれ歌わないの?踊らないの?

いえ歌いまくりの踊りまくりです。

ほな、さいなら

て、ちょちょ待って!もうちょっと待って!
だって歌わない踊らないじゃミュージカルじゃないじゃない
ちゃんとミュージカルなのに僕が大好きになった

そこが重要なところ!

まずオープニング
いきなり歌から始まります。

Woah~Woah~~♪
ダンッ ダンッダンッ!
(観客が踏み鳴らす足音)

Woah~Woah~~♪
ダンッ ダンッダンッ!

Woah~Woah~~♪

Ladies and gents,this is the
moment you've waited for

バックステージ
囁くように歌いはじめるヒュージャックマン
足音の度にポージングを決める

タイトル、ドン!
THE GREATEST SHOWMAN

そして囁きは次第にメロディを奏ではじめ...
いざステージでショーのはじまり

Oh This is the greatest show!

超~カッコイイ!
2018 オープニングカッコイイ賞決定です!

踏み鳴らす足音はQUEENの「We Will Rock You」を思わせ
ポージングはマイケルジャクソンを思わせ
ショーのはじまりはビートルズの「マジカルミステリーツアー」を思わせます。

音楽界の神々を想像させるんですから

カッコ良くない訳がない!

ざっくりイラストにするとこんな感じ

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オープニング曲でガッツリ心臓を鷲掴みにされました。
でも素晴らしいのはオープニング曲だけではありません。
どの場面で歌われる曲も全てカッコイイ!
はっきり言って

捨て曲なし! 

です。
で、どの曲もミュージカルミュージカルしてないんです。
19世紀中頃を舞台にしておきながら、その音楽は非常に現代的。
中には当時あるはずもないヒップホップの要素が入ったり、シンセサイザーの音が鳴ってたりします。

それでも映像と全く違和感がありません。
こりゃ音楽を聴くだけでも観る価値があるな
と自分がミュージカル嫌いであることも忘れ没頭して鑑賞させられました。

だから観て下さい!

と簡単に突き崩せる程ミュージカル嫌いの壁はもろくない
分かってます。
だから次行きましょう。

恋が走り出したら 君が止まらない
誰にも負けたくない 僕は止まらない 

ミュージカルって無駄に歌って物語が進まないんだよな~

そんなイメージありません?
僕だけかな?

メ~モリ~ 仰ぎ見て月を~
ほにゃららら ほ~にゃら~

何のことやねん?
お前の今の気持ちはいいから物語を前に進めてくれよ
みたいな、、、
僕がミュージカルが苦手なのはそういう所にも要因があります。

その点今作は歌と同時に物語が進む進む
2曲目に流れる「A Million Dreams」なんて

貧乏な仕立て屋の息子バーナムがお金持ちのお嬢さんチャリティと知り合う
2人で様々な場所に行き語り合う
チャリティが花嫁学校の寮に入り離れ離れになる
離れてもバーナムはチャリティを想い続け手紙を送る
バーナムの父親が亡くなる
青年になったバーナムはチャリティを迎えに行く
駆け落ち同然に2人は結婚
2人の女の子を授かる

1曲でこれだけ進行させてしまいます。

これは極端な例ですが、他の曲も歌が物語の進行役も務めてるんです。

サーカスを成功させお金持ちになったバーナムが、上流階級の客も引込みたい
と劇作家のフィリップを仲間に入れようとするシーン
ここも2人がBARで歌いながら交渉が進みます。

最初は相手にしないフィリップもバーナムの巧みな勧誘に心の奥の願望に火をつけられ手を組む事になります。
この時、後ろでノリノリのバーテンダーも見逃せない所

このようにどの曲も音楽が物語を停滞させるどころか、テンポアップさせているのでダレることがありません。

僕がミュージカルをよく知らないだけで、本来ミュージカルとはそういうものなのかもしれませんが...

でもどうですか?
なんで歌うねん!に対する必然性を少しは感じて頂けたんじゃないでしょうか。

ドブネズミみたいに美しくなりたい
写真には写らない美しさがあるから

結局は歌頼みなんじゃないの?
そう思われてるかもしれません。

なんですよね、映画である以上 歌よりもキャラクター、ストーリーを大切にして欲しいところです。

ご安心ください、この映画

キャラクターが最高!
フリークス最高!
(日本語だとアウトなのに英語だとOKって変な国だよな...)

はじめにバーナムは1発当ててやろうと「バーナム博物館」をオープンさせます。
世界の珍品を展示した珍しい博物館でしたが客足はさっぱり...

そんな時娘たちの
「生きたものがいなきゃダメよ」
「人魚とか、ユニコーンとか」

その言葉をヒントに集められたのがフリークスたち

身長の高すぎる男性
低すぎる男性
全身入れ墨男
髭の濃い女性
などなど様々なユニークな人たち。
今まで親にも蔑まれ、人目を避ける様に生きてきた人たち。

彼ら彼女らが本当に魅力的なんです!

見世物として表舞台に出て来た彼ら彼女らを、世間は好奇な目で観ます。
中には
「フリークスはこの街から出ていけ!」
と心ない言葉をぶつける輩もいます。
最初はそこに抵抗を感じていた彼ら。
しかしステージに立つうちに彼らの目に光が宿り、心に誇りが生まれはじめます。

これは障害なんかじゃない!個性だ!

それが確信に変わった時の姿が実に神々しい。
それを象徴する「This is Me」という曲を歌い踊るシーン。

ミュージカル嫌いの僕の目に涙が溢れました。

いや、あんなのムリよ、誰だってアガリまくるし絶対泣く。
歌詞がね

Look out 'cause here I come
気をつけな、私が行く

And I'm marching on to the beat I drum
自分の奏でるドラムが伴奏

I’m not scared to be seen
見られても怖くない

I make no apologies,
謝ったりしない

This is Me
これが私

て感じなんだけど
どうっすか?
未見の人が読んだら
うわ~グイグイでメッセージぶつけてくるやん...
て、ちょっとひきません?

これが歌になるとスッと素直に心に入ってきて泣けます。

そうだよな、そうだよな(涙)

て、ぼろ泣きです。

これが歌の力、ミュージカルの力 

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1人じゃないから 私がキミを守るから
あなたの笑う顔が見たいと想うから

で、肝心なストーリーはどうなのよ

はい、メチャクチャ面白いです。

基本はざっくりあらすじに書いたとおり、P.T.バーナムの半生の歩みを描いたものです。
貧乏出のバーナムは人一倍成功に執着します。
成功しても満足する事なく更なる成功を目指します。
それは、貧乏で苦労したがゆえに固執する部分もありますが

全ては愛する妻の為、娘たちの為

自分が恵まれなかったからこそ、自分を選んでくれた妻、そして生まれて来てくれた子供たちに与えてあげたいんです。

でも妻や子供たちが求めていたのはそんなものじゃなかった。
探していたものは目の前にあった。

そういうシンプルな物語。

シンプルだからこそ面白い!
でもストーリーの魅力はシンプルさだけではありません。
シンプルな物語が様々な方向へ枝分かれします。

先に書いたフリークスたち、相棒となるフィリップなど

主人公が1人じゃないんです!

劇中で沢山流れるミュージカルソング、そのメインボーカル全員が主人公と言えます。
むしろ僕はバーナムよりフリークスたちやフィリップの物語に惹かれました。

特に上流階級のフィリップ(ザックエフロン)と有色人種の空中ブランコ乗りのアン(ゼンデイヤ)の恋物語が素敵。

貧乏人出のバーナムとお嬢さんのチャリティの恋物語と身分が男女逆なんですね。

空中ブランコをするアンを見た瞬間、フィリップは恋に落ちます。
アンも彼に惹かれていきます。
でも身分の違いがその恋を許さない。

と、まぁぶっちゃけ、よくある恋物語です。
でも奇人変人のバーナムや特殊な生まれのフリークス達など、この映画は変人ばかりなんで、ごく普通の2人が際立ちます。

2人の恋の行方を是非、ご自身の目でご確認下さい。
きっと胸がキュルルンってなるはずですよ。

ああ、他のサイドストーリーも紹介したい。
プライドが高く強欲な歌姫ジェニーリンドの物語とか
愛だけを求める健気な妻チャリティとか
酷評ばっかりだけど実は優しい批評家とか
とかとかとか!

でも、これ以上の長文は読むのが疲れちゃうだろうから割愛しときます。
とにかく誰目線で観るかによって楽しみ方が変わる
だから何度でも観れるストーリー

それだけは言っておきます!


という感じでミュージカル嫌いの僕がこの映画に惹かれた理由を羅列させて頂きました。

で、どうでしょう?
同じミュージカル嫌いの皆さん。
これはちょっと他のミュージカルと違いそうだぞ、楽しめそうだぞ
と思って頂けたでしょうか?
これだけ絶賛したんだから、きっと思って貰えたはず...うんうん

とは言えね、やっぱりミュージカル特有の不自然さはあちこちにあるんですよ。
移動の時間がなかった事にされてるとこや
いつダンスの練習してんというとこなど
あれ?ってとこがね。

でもそんなの全然気にならない!

だってこの映画はタイトルが示すとおり

ショーなんだから!
ショーは華やかさだけ
見せて決して裏舞台は見せないもの

それを頭に入れて是非この映画を楽しんで下さい。
僕は既に5回観てますが、まだまだ観るつもりです。
え?5回も観たならもういいだろう?

そんなことを言うあなたに劇中の歌詞を置いて終わります。

Never enough 決して足りることはない
Never,never 決して決して
Never enough 決して足りることはない
For me For me For me 私にとっては...

以上です。
ありがとうございました。 

f:id:hagane-mk:20180529224259j:image追伸、この映画でミュージカル映画の扉の前に立てた気がします。
だから、レミゼやラ・ラ・ランドも もう1度チャレンジしてみようと思います。
他にもお勧めミュージカル映画があれば教えて下さい。
ミュージカル映画好きなのに、ここまで読み進めてくれた人。