アノ映画日和

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「ウォンテッド」感想 正しい厨二病映画のススメ

 

3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)成人男性のおよそ5割の確率でかかるとされてる病気です。
早期の発見と普段の生活習慣が大事です。

そしてもう1つ、成人男性が気を付けるべき病気…それが厨二病です。
気が付いた時には拗らせている、早期の発見が非常に難しい病気です。
保険もきかず、現代医学では治療法もありません。

まだ自覚症状のない方はこの映画を観てはいけません。

残念ながら僕は末期の厨二病患者です。
だからこんな映画を…こんなにも…くっ

2008/アメリカ
監督:ティムール・ベクマンベトフ
出演:ジェームズ・マカヴォイ、アンジェリーナジョリー、モーガンフリーマン、ほか
上映時間:110分

f:id:hagane-mk:20161020222139j:image80点

ざっくりあらすじ

公私共に冴えない青年ウェスリー(ジェームズマカヴォイ)は、ある日突然殺し屋に命を狙われる。
それを助けたのは謎の美女フォックス(アンジェリーナジョリー)だった。
彼女は千年以上昔から暗躍する暗殺組織"フラタニティ"のメンバーだった。
彼女にフラタニティのアジトに連れて行かれたウェスリーは驚愕の事実を知る。
彼が生まれてすぐ消息を絶った父親は特殊能力を持った伝説の暗殺者であること。
そしてその父が組織の裏切り者により殺されたこと。
その裏切り者は組織のメンバーだけではなく彼の命も狙っていること。
彼が父親の特殊能力を引き継いでいること。
これまでの人生を一変させる事実を知ったウェスリーは組織で能力を磨き暗殺者になることを決意する。

 

ギリギリまで 皮膚がちぎれるまで走る
息を止めてこの世を呑み込む

いきなりですが厨二映画の極意とは何ぞや?それをお答えします。

それは、バカバカしさを突き抜けたカッコ良さである。

突如覚醒した超能力者であり
天使と悪魔を敵に回したエクソシストであり
ドリフトする戦艦であります。

大のオトナが人に説明するのにこっぱずかしさを伴う映画です。

かつて天才賭博師であるアカギは言いました。
「死ねば助かるのに...」

そしてこうも言いました
「面白い...狂気の沙汰ほど面白い...」

アカギは海岸でのチキンレースでブレーキを踏みませんでした。
最も危険な事、それはギリギリでブレーキを踏むこと。
下手なブレーキは岸壁を転がるように落ちドライバーを殺します。
ならばいっそブレーキではなくアクセルを踏み込みジャンプ!
海まで飛ぶことが生への活路を生み出します。

そしてアカギは...あれ?いつの間にアカギの話になった?

いや、厨二映画も同じです。
これ以上はあまりにバカバカしいか...と中途半端なブレーキをかけると映画は死にます。
余計にバカバカしさが浮き彫りになり冷めるのです。

むしろアクセル!
この映画はどうでしょう?

・いにしえの昔より暗躍する暗殺組織"フラタニティ"
・飛ぶハエの羽だけを撃ち抜け
・曲がる弾丸
・千匹のネズミ爆弾

いっさいブレーキを踏む気がありません。
バカバカしさのアクセルベタ踏み全快です。

なるほど...あり得ないことを描けばいいのね?
じゃあディズニーとかピクサーとかハリーポッ...

バカ野郎!!!

猪木闘魂注入ビンタが炸裂しますよ!

それはファンタジー!
健全なファンタジー!
最初に言ったでしょ、大の大人が説明するにはこっぱずかしさを伴うと!
ディズニーやハリーポッターのどこに恥ずかしさがあるって言うんですか!

恥ずかしさを伴う厨二映画にはもう一つ大事な要素が不可欠なんです。

二つ目の極意それは、

メンヘラじみた哀愁である。

簡単に言えば闇ってこそ厨二映画ということです。

主人公はクズ、下衆、落ちこぼれ、トラウマ持ち、哀しき宿命を背負いし者、とにかく闇を抱えてなければいけません。
そんな奴が跳ねてこそ厨二の共感が得れるのです。

この映画で言えばウェスリーは会社では落ちこぼれで毎日上司にいびられ、同僚に彼女を寝取られ、パニ障持ち、おまけにネガティブでヘタレです。
こいつが凄腕の暗殺者になるからこそオオ!となるのです。

そんな訳あるかいと分かりつつも...もしかして俺も?という希望を数%は持たせてくれないといけません。

細かな要素はいくつもありますが、それを書き出すと1万字くらいになるので、大まかにこの2つを認識して下さい。

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生まれ変わっても 何度でもあなたに
伝えたい K S K 

あざとく厨二受けを狙った二流映画は、とにかくカッコ良さげなシーンを幾つか放り込んでおけばいいんでしょ?
ていうのが多い。

バカ野郎!!!

本日2発目の猪木ビンタ炸裂です。

厨二を舐めんなよ!!!

いや、概ねその考え方は間違いではないんですが、そのシーンを繋ぐストーリーとそれを包む世界観が大事なんです。

人生にメッセージを送る様なそんな深いストーリーはいらないんです。
むしろそんな説教臭いストーリーは邪魔になります。

ざっくり、ほんとざっくりでいいから観てる側を惹きつけるプロットを大事にして欲しいんです。

今作はほんとそのへんがざっくりしてるんだけど、厨二マインドが良くわかってる。

※ここから数行ネタバレ投下しますよ!未見者は避けて!

 

 

 

~ネタバレ投下中~ネタバレ投下中~

 

 

平凡な兄ちゃんが命を救われる⇒フラタニティの存在を知る⇒父親の仇が自分の命を狙っていると知る⇒暗殺者になるべく修行(これが結構ムチャクチャな修行)⇒暗殺者の能力覚醒⇒父親の仇と闘う⇒仇を討つがその人こそが父親で自分がフラタニティに騙されていたことを知る⇒1人でフラタニティに挑む

~ネタバレ終了~ネタバレ終了~

 

ざっくり言うとこれだけです。
そのシンプルさが分かり易くて良いです。

 

話をこねくり回されると考えてる間にカッコいいシーンを見逃してしまいます。
シンプルで人を惹きつけるストーリー創り、実はこれが相当難しい事なので傑作厨二映画ってそんなに数がないんでしょうね。

と、まぁ勝手に今作を傑作扱いしていますが、実はこの映画そんなに評判良くないです。
ある映画レヴューまとめサイトではポジティブ指数が60%台です。
う~~ん、面白いはずなんだけどなぁ。

たぶん面白くないとした人は厨二病ワクチンを打ってるか、DAIGOの吹替えバージョンで鑑賞したのでしょう。
あの吹替えは驚愕です。
まさにDDN(DAIGO台無し)です。
織田裕二がバックトゥザフューチャーの吹替えで
「Hey!ドク!」
と言っているのを聞いて以来の衝撃でした。
あれで観ちゃったら面白くないって言うのも無理ないですよね…

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私の胸の鍵を こわして逃げて行った
あいつは何処にいるのか 盗んだ心返せ Wanted Wanted

今回厨二映画の事ばかり語って全然この映画について触れていないので、僕がこの映画の好きなシーンを幾つか挙げておきます。

・暗殺者にトラックでひき殺されそうになってうずくまるマカヴォイを、アンジーがスポーツカーをドリフトさせてそのまま助手席にマカヴォイを乗せるとこ

ここ何回も巻き戻して再生するぐらい好きです。

・暗殺者になったマカヴォイがターゲットと車を並走させて銃撃するものの防弾ガラスだった為、自分の車を横転させターゲットの車の上を通過しながらサンルーフから撃つとこ。そこで言う「I'm Sorry」

前半アンジーの助手席で横転した時に言う「ア~イ~ム~ソ~リ~」と被せが効いててカッコいいよね。

・電車の撃ちあいで曲げた弾丸に曲げた弾丸をぶち当てて防ぐとこ。

とにかく曲がる弾丸のシーンは全部好き。
ホルホースのスタンドかよってなりますけど。

・ラストの超遠隔スナイパー

いやいやそれはあまりにムリっぽくない?なシーンだけど、ここまでムリばかり観てきたから全然アリ!

それから、それから、え?言い過ぎ?そう?ま、そうですね、これぐらいにしておきましょうかね。

ま、バカバカしいけど、突き抜けたバカらしさが凄えカッコいいので未見の人は是非観てみて下さい。
覚醒、残響、宿命、操り人形、生殺与奪権、などの言葉にビクンと反応してしまう人は特に観て下さい。

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追伸、アンジェリーナジョリーは身体的に強いか精神的に強いか、とにかく強い女性役しか見たことがない気がします。
もしエクスペンダブルズ女性バージョンを創ることになったなら、スタローン枠はアンジーで決まりですね。 

ウォンテッド [Blu-ray]

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最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。

・リベリオン
・コンスタンティン
・ドライブアングリー

www.anomaly3-movie.com