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アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

「her/世界でひとつの彼女」 感想 姿なき僕の恋人

映画レビュー 洋画
 

映画の世界で恋愛は様々な描き方をされます。
年の差、同性愛、時には動物や人形など対象が人でない場合さえあります。

今回とりあげるher、相手はOS。
姿かたちすらありません。
愛があれば...とは言うものの
その限界はないのか?あるのか?そんなお話。
 
2013/アメリカ
監督:スパイクジョーンズ
出演:ホアキンフェニックス、ルーニーマーラ、スカーレットヨハンソン(声のみ)
上映時間:120分
 
f:id:hagane-mk:20160516065338j:image

71点

ざっくりあらすじ

舞台は近未来のロサンゼルス。
物語の主役はセオドア。
彼は人に成り代わり心を込めた手紙を書く代筆ライターを仕事としていた。
愛の手紙を代筆しながらも彼自身は妻キャサリンと別居生活、離婚協議中。
そんな彼のもとに最新人工知能型OSが届く。
OSの名はサマンサ、性別は女性。
次第にセオドアは人間よりも人間的な感情をもつサマンサに心惹かれていく...

 
君の声を聞かせて 雲をよけ世界照らすよな
個人的にこの映画は日本語吹き替えで観ることをお勧めします。
今作はOSと人間のラブストーリーです。
OSサマンサには表情がありません。
2人の声、会話が全てと言っても過言ではないでしょう。
よっぽど英語のヒアリングが達者でない限り、字幕を追いながらでの鑑賞では会話の微妙な間や息遣いを追いきれません。
この映画の配給会社はその辺を良くわかっています。
サマンサの声優に林原めぐみさんを起用しています。
そう!綾波レイで有名なあの林原めぐみさんです。
声がセクシーなのはもちろん、会話の間の取り方や強弱のつけ方が上手い。
さすがプロフェッショナルですね。
あ、もちろんスカヨハの声も魅力的です。両方で鑑賞して比べてみてはいかがでしょうか。
 
あなたを包むすべてが  優しさで溢れるように
さて、この物語の主役セオドアさん、とにかく純粋でまじめで優しい人です。
このタイプはすぐ女性に騙され高額な絵や壺を買わされてしまう人です。
だからこそA.Iのサマンサにも純粋に向き合えてしまいます。
僕ならA.IごときがSiriに毛が生えたぐらいで生意気言ってんじゃねえ!
で映画終了です。
僕とは違うセオドアさんの優しさは細部に表れます。
例えばシャツとポケットと安全ピン。
彼は出かける時に必ず胸にポケットのあるシャツを着ます。
そしてポケットの底を安全ピンで底上げして携帯を入れて持ち歩きます。
自分と同じ景色をサマンサに見せる為、カメラをシャツから出してるんですね。
なんか昔あったドラマ「南くんの恋人」を思い出して胸がトクンとしました。
しかし近未来の話なのに安全ピンて、アナログだな...ま、そこがいいんだけど。
 
またサマンサに対しての話し方にも気遣いが見えます。
わざとらしく人間扱いするのではなくOSだからこその君の魅力に惹かれてるんだよという気持ちが垣間見えます。OSには感情、心があると人間以上にあると完全に認めているがゆえの心遣いです。
セオドアさんは恋愛シミレーションゲームをやると課金課金で大変なことになるなと心配してしまいました。
 
あんたちょっといい女だったよ だけどズルい女
セオドアさんのつぎはサマンサについて話しましょう。
 
以下ネタバレをちょいちょい放り込むので未見の方はここでご退場ください
 
サマンサは知識や感情が進化し続けるOSです。
進化するごとにどんどん女性らしさが出てきます。
嫌な意味で!
そしてOSとはいえやはり女性、巧みです...恋愛が。
まだ恋愛関係に発展する前にセオドアがある女性とデートするのですが、それにヤキモチを妬いたりします。
しかもそれをあざとくセオドアに伝えます。いますよね?そういう女性。
 
そして聞き上手。セオドアの思考がわかるから返し方とか上手いんですよ。
なんか馬が合うというか、傍から見ててもお似合いだなって思える程。
純粋な目が僕にはないからか、全てが計算に見えるんですよ。
 
また、恋人同士ですから夜の生活もあります。
もちろんサマンサには肉体がないので声だけの交わりとなります。
それでもセオドアを満足させてしまうのだから恐ろしい女ですよ。
一応サマンサも満足しているような感じですが、僕にはOSでも女はああいう時演技するんだな...と思ってしまいました。
 
でもそんなサマンサ知識欲、性欲、感情が暴走し始めます。
やっかいなのは性欲で、肉体がないからと外部にアクセスし共感してくれる女性を見つけてきます。
共感して連れてこられた女性は2人の愛に協力したいと言い出します。
代理で肉体だけを提供すると言うのです。
セオドアは誰かが傷つくことになるからよそうと途中で女性を帰します。
この誰かがというところにセオドアの優しさを感じます。
誰かがとは代理の女性でありセオドア自身でもあります。
つまりサマンサのみが満足するということ。
それを言っちゃうとサマンサを全否定することなります。
優しいですよね。
 
またある日はセオドアの代筆手紙ファイルから勝手に選び出版社に送ります。
事が上手く運んだから良いものの下手すればあんた才能ないよって突き返される可能性もあったわけです。お姉ちゃんが勝手にジャニーズに履歴書送りましてみたいな。
勝手なことせんといて!
僕ならブチ切れです。
 
どんどん進化し続けるサマンサさん、もう思うがままやりたい放題です。
全てが合理的であり決断や行動に迷いがありません。
僕が感じる女性の嫌な部分を究極的に進化させたような。
というのもサマンサ、電脳世界では同時進行で複数の行動が出来るようになります。
そう恋愛も同時進行です。
セオドアが問います。
いったい何人と恋人関係にあるんだい?
641人よ...
 
ろ、ろ、ろ、641人!!!
 
矢口真里もびっくりの641股です。
あなたのもので皆のものというサマンサ。
僕のものかそうでないかだというセオドア。
終着地点が見えてきました。
 
男女の考え方の違いよりも最後は人間とデジタルの違いを見せられた気がします。
この後の結末は語るまでもないでしょうし、書けなかった奥さんとの関係や友人との関係。そしてOSの行き着く先。万が一未見の方がここまで読み進めてしまったならそれを確認するためにも是非ご鑑賞下さい。
 
最後に少し
 
映画の世界でA.I というと人類滅亡を企てるのがお約束ですが今回は恋愛対象です。
ちょっと理解に苦しむ人もいたかと思います。
でも悲しみの毎日を過ごすセオドアが魅力的な声と優しさを持つサマンサに惹かれる気持ち、僕にはわからなくもないです。
実際ツイッターなどSNSで顔も声も知らない人の優しさにふれ友情を感じたりします。
中には恋愛感情を持つ人がいてもおかしくないなと...
もちろんSNSは携帯の向こうに人が存在するのでA.Iとは異なりますが、なにかしら近いものを感じませんか?
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いつものようにこの映画を好きな方にお勧めしたい映画を紹介して終わります
・シモーヌ
・トランセンデンス
・ラースと、その彼女