アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

素晴らしきリメイク映画の世界と、ざけんなリメイク映画の世界

 

リメイク映画あるいはリブート映画とは不思議です。

後出しジャンケンなのだから勝って当たり前という思いと

オリジナルに対する愛深きゆえ負けて当たり前という思い

その両方を抱えます。

しかし、中にはオリジナルより面白いんじゃないか?
少なくとも肩を並べてるんじゃないか?
という素晴らしきリメイク映画が存在します。

一方でこれは酷すぎる!と鼻フガせざるを得ない駄作もあります。

今回はその両方から何本かを紹介します。

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素晴らしきかなリメイク映画の世界

・ディパーテッド(2006) 

ディパーテッド [Blu-ray]

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言わずとしれた香港の超傑作映画「インファナル・アフェア(2002)」のリメイク。

オリジナル作に何の賞も与えてないくせに母国のリメイクにアカデミー賞を贈るってふざけんな!とオリジナル愛を拗らせて放置していた作品。

これが観てみたら
メチャクチャ面白れぇ!となり、今記事を書くきっかけとなった。

警察とマフィアそれぞれに潜入したスパイ2人の物語。
バレたらただでは済まない緊張感と互いに犬を探しあう出し抜き合いの面白さは同じ。

なのにマフィアの形態、警察の構造、治安とお国柄の違いが映画の印象を変える。

ハリウッドリメイクの存在意義を明確に示した珠玉の1本。


・さまよう刃(2014)

さまよう刃 Blu-ray

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東野圭吾原作を映画化した「さまよう刃(2009)」 の韓国リメイク。

少年グループに一人娘を凌辱され殺された父親の復讐を描いた物語。
両作とも素晴らしい映画だが、それぞれに物足りない部分はあった。

邦画版では父親とそれを追う警察の両面を大事にした為、若干父親の怒りが薄く感じた。
韓国版は徹底した父親目線で描いているので、警察があまりに無能に映り過ぎてる感があった。

互いに足りない部分を補ってあり、2作で「さまよう刃」という感じがする。
リメイクに意味のある素晴らしい内容。

ただ原作から感じた残虐性がどちらも薄いのでそこに特化したもう1作どこかがリメイクして「シン・さまよう刃」を完成させて欲しい。


・マニアック(2012)

「マニアック (1980)」スプラッターホラーのリメイク。

主人公のマネキン修復技師は女性の頭皮を剥がして殺す猟奇的殺人鬼...という悪趣味ながらもどこか芸術的なホラー。

そのリメイクを観た初見の感想は

あれ?マニアックってこんな映画だっけ?

だった。
オリジナル版を再確認するとやはり大きな違いが...それは
POV!(主観目線)

殆どが殺人鬼目線で物語が進む。
イライジャウッドという有名俳優を使いながら、彼が映るのは彼が鏡を見た時ぐらいという

斬新!

POVにすることで、主人公の心情もより深く伝わる。
その辺の女性は躊躇なく殺す残忍性
恋する女性は殺したくないけど殺したいという葛藤など

この手があったかぁ!

この手法で甦らす事ができる映画が沢山あるのではなかろうか。
是非追随して欲しいリメイク手法である。


・ゴーストバスターズ(2016)

ゴーストバスターズ [SPE BEST] [Blu-ray]

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「ゴーストバスターズ(1984) 」のリメイクというよりリブート?

何をリメイクしても良いけど、これだけはアンタッチャブル!という作品が幾つかあります。
バックトゥザフューチャー、燃えよドラゴン、レオン、グーニーズなど。
マイケルJフォックスが主演じゃないBTTF、ブルースリーが主演じゃない燃えよドラゴンとか考えられます?

そして僕にとってゴーストバスターズもそんな作品の1つでした。

あの4人だからこそのゴーストバスターズを女性4人に変更?
ざけんな!という感じで観たらこれが

面白いのなんの

オリジナルに負けていない4人の個性
今の時代にマッチしたストーリー
最新映像だからこそ見せれるゴースト描写
オリジナルへのリスペクトも忘れていない配慮

オリジナル大好き人間ではありますが、リメイク版の方が面白いよねと言われても
分かる、分かるとにこやかに返事の出来る素晴らしいリメイクでした。

これはもうこれでシリーズ化するしかないでしょ!
ていうか絶対して!

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過去記事も書いてますので良ければ読んでね。 


ここで一旦、素晴らしきリメイク映画の紹介を休憩して、これは許せねえ!という
ざけんなリメイク映画を幾つか紹介します。

 

ざけんなリメイク映画の世界

・PLANET OF THE APES / 猿の惑星(2001)

猿の惑星(1968)のリメイク
は?

なんでティムバートンに依頼したん?
で、なんでティムバートンも受けたん?

独自のキャラを独自の世界観で描くのが売りの監督に既存の作品を猿縛りで撮らせるって狂気の沙汰でしょ?

結果、猿の惑星の魅力もティムバートンの魅力も殺しまくった駄作の誕生です。

後に創られた猿の惑星:創世記は傑作でしたね。
人間、向き不向きがあります...

・キャリー(2013)

巨匠ブライアンデパルマ監督作品キャリー(1976)のリメイク。

これねぇ、気弱で冴えない容姿の女子高生が酷い虐めを受けて特殊能力が覚醒してムチャクチャするホラー映画なんですけど、その主演のキャリーを

クロエ・グレース・モレッツが演じるって...

いやいやいや、めっちゃ可愛いやん!
あのオリジナルのキャリーの不気味な存在感があって成立する映画でしょ。
うわぁ...絶対こいつヤベぇって一見して伝わる不穏な存在感。

クロエ萌え~ってしてどうすんねん!

同じクロエちゃんのリメイク映画でも「モールス」(ぼくのエリ200歳の少女のリメイク)は良かったですね。

・アサシン 暗・殺・者(1993)

リュック・ベッソン最強時代に創られた「ニキータ(1990)」のリメイク。
ブリジッドフォンダ好きなんですよ。

でもこれは違うなぁ~~

死刑宣告を受けた非人道的少女が国の特殊工作員となることで生きる道を与えられる。少女はその教育の過程で変化していき立派なレディとなるが、国の命は人間の心を得た彼女を苦しめるというお話。

大筋は変わってないんですよ。
でも「ニキータ」って個人名をタイトルにしてる作品の人間性に違いを感じるリメイクってどうなんだろう?

ま、だからタイトル変えてますし、ハーヴェイカイテルの使い方も良かったし、ざけんなって程じゃないんだけど。

・GODZILLA(1998)
プロレスの破壊王が橋本真也なら
映画の破壊王はローランドエメリッヒな訳で
そのエメリッヒがゴジラを使ってどうニューヨークを破壊するのかと思いきや

...なんすか?あのダイナソーなゴジラ?

お前らがそんなんすんねやったら、こっちもキャプテンアメリカ輸入して

団長日本みたいな映画創るぞ!

 

・マーターズ(2015)

ざっけんな!!!

これほどリメイク映画に怒ったことがない位怒りましたね。
フランスの「マーターズ(2008)」をハリウッドリメイクしたんですが、もう別物!

確かにオリジナルは残酷過ぎる、説明不足な部分があるのは確かです。
でもそれがあの映画の素晴らしいところなんです。
それを

じゃあ、ここはこうしたら良いんじゃね?
じゃあ、あそこもこうしちゃおうよ?
ついでにここも変えちゃえ!

って、もうそれやったらリメイクせんといて、せめてアサシンみたいにタイトル変えて。
リメイク版を観た人がマーターズって映画面白くないねって思われたら本当に嫌です...

怒り疲れたので素晴らしきに戻りましょう。



ああ素晴らしきかなリメイク映画の世界


・ファニーゲームU.S.A.(2008)

ファニーゲーム U.S.A. [DVD]

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これは「ファニーゲーム(1997)」を ミヒャエル・ハネケ監督自身がセルフリメイクした作品。

一般家庭に侵入してきた二人組の男たちが家族に凌辱の限りを尽くすという胸糞悪い映画。
で、どこがリメイクされたかというと

全く同じ!

出演陣が違うだけでストーリーも撮影法も何もかも同じ。
でも僕はU.S.A派なんですよ。

まず二人の殺人鬼がオリジナルより圧倒的に美しい。
美しき殺人者に惹かれる僕をお許し下さい...

そして襲われる家族側もティムロスとナオミワッツとこれまた美しい。

それだけ?
はい、それだけですけど、その差はデカいですよ!


・ドーン・オブ・ザ・デッド(2004)

ドーン・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット プレミアム・エディション [DVD]

ドーン・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット プレミアム・エディション [DVD]

ゾンビこと「ドーン・オブ・ザ・デッド(1978)」のリメイク。

全てのゾンビはジョージ・A・ロメロに通じると言っても過言ではありません。
ゾンビ映画はある意味全て「ドーン・オブ・ザ・デッド」のリメイクとも言えるかもしれません。

それほど神格化された「ドーン・オブ・ザ・デッド」の正式リメイク。

ロメロ信者、ゾンビ映画愛好家たちの怒りを買うことを恐れずに言います...

リメイク版の方が好きだ!

公開時から今に至るまでやはりオリジナルだよねの声が圧倒的に多いです。
僕も最初は
「そうだよね...やっぱオリジナルだよね」
とか言ってました。

すみません、嘘です。

もちろんオリジナルも大好きです。
オリジナルあってこそのリメイクです。

でもリメイク版面白過ぎるんですよ~

群れるゾンビ、走るゾンビ、定番のショッピングモールでの束の間のパラダイス、恋物語、親子愛、等々ゾンビ映画の魅力が全て詰まってますもん。
最初っから最後まで文句の付け所がないです。
サラ・ポーリーも可愛いし...

ハッキリ言います
全ゾンビ映画の中でドーン・オブ・ザ・デッド2004が1番好きです!

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・ドラゴン・タトゥーの女(2011)
 

ドラゴン・タトゥーの女 [SPE BEST] [Blu-ray]

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ミレニアムシリーズの第1段「ドラゴンタトゥーの女(2009)」をデヴィッド・フィンチャーがリメイクした今作。

これはどっちも傑作! 

甲乙つけがたいですよね。
もうノオミリスベットが好きかルーニーリスベットが好きかで決める?

ちなみにTwitterの人気映画垢さんにアンケートを取って貰ったところルーニーリスベットの圧勝でした。
個人的にもルーニー派です。

しかし先日、ミカエル・ニクヴィストの訃報が流れました。
彼を想うと、ここはミレニアムに1票投じたい気持ちもあります。

しかし、やはりリメイク版の方が好きです。

先のルーニーのこともありますが、それ以上に

オープニングがカッコ良すぎ!
エンディングが切なすぎ!

こんな傑作リメイクを創ってしまったのですから責任をとって
フィンチャー、ルーニー、ダニエルクレイグはミレニアム全シリーズを創って頂きたい。

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ということで、今回は様々なリメイク映画を紹介してみました。

素晴らしきリメイク映画、ざけんなリメイク映画共にまだまだ沢山ありますしもっともっと紹介したいです。

例えば、「発情アニマル」のリメイク「アイスピシリーズ」の素晴らしさとか、内容はほとんど変わりないが新しい映像にする事で観やすくなった「ザ・チャイルド」とか、黒沢清の怪作「回路」を無味無臭にした「パルス」とか

ま、キリがないのでまたの機会とします。

当記事であのリメイク良かったよな
あのリメイク最悪だったよなとリメイク映画について考える機会を持ってもらえれば幸いです。

それにしてもリメイク版の「死霊のはらわた」ってさぁ...