アノ映画日和

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「アリスインワンダーランド」 感想 ティムバートンが導くダーク&ファンタジーの世界

 

食わず嫌いならぬ、観ず嫌いなるものがありますよね。
出演者や監督またはパッケージのビジュアルから勝手に内容を想像して、これはちょっと自分の口には合わないだろうなって敬遠してる作品…ありませんか?
僕にとってこの作品がそうでして、恥ずかしながら観たのはつい先日です。
ま、続編やるぐらいだから、そこそこは面白いのかな?ぐらいで観てみたらこれが…

2010/アメリカ
監督:ティム・バートン
出演:ミアワシコウスカ、ジョニーデップ、ヘレナボナムカーター、アンハサウェイ、ほか
上映時間:109分

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80点 

ざっくりあらすじ

これは「不思議の国のアリス」のその後を描いたお話。
19歳になったアリス(ミワワシコウスカ)は再び兎に誘われワンダーランドを訪れる。
かつて訪れたその場所は赤の女王(ヘレナボナムカーター)による独裁国となっていた。
予言書によると赤の女王を打ち倒す白の女王(アンハサウェイ)につきし戦士はアリスとなっている。
しかしアリスは過去に訪れた事も今いる事も夢だと思いこんでいた。
アリス自身も周りも偽物アリスと決めつけるなか、マッドハッター(ジョニー・デップ)だけはアリスを疑わなかった。
かつての力を無くしているだけだと…
こうしてアリスは再びワンダーランドで冒険を繰り広げることに、
さて今回の冒険は如何なるものになるのやら

 

Oh!Yeah!アリス イン ワンダー アンダーグラウンド
Devil,Angel and Epicurean Let's go!

僕がどのように観ず嫌いしてたかというと、ティムバートン監督でジョニデがあのビジュアルでしょ?
あ、これは女の子が不思議な世界に迷い込んだら白塗りのジョニデが出てきて、そこからは延々とジョニデの仮装大賞っていう例のあれのパティーンだな…と。

もう正直チャーリーと〜ぐらいからその手の映画はお腹一杯で観なくてもだいたい想像つくよぐらいに…思ってた…わけです…はい、すみません。

で、観だしたらこれが全然違って、ファンタジーとナイトメアが融合したような不思議な世界にグイグイ引き込まれて、

裏切られた!!でもこれはメッチャ嬉しい裏切りだ!!!

てな感じでした。

まずジョニデが主演じゃなかったことに驚きです。
アリスの話だもんな…そりゃそうか。

で、そのアリス演じるミアワシコウスカがスーパー可愛い!
何あれ?限界超えて可愛さが卍解してるでしょ?絶対!
僕の中の好きな女優ランキングをゴボウ抜きでかけあがりましたよ!

あ、そうそうすみませんが今回あらすじ追う気は全くありません。
中身スカスカレビューです。
でも興奮してネタバレする可能性がありますので未見の方は白線の内側までお下がりください。

 

ようこそここへ遊ぼうよパラダイス!

お話はいたってシンプルですよね。
童話の続きを描くのですからあれぐらいで丁度良いと思います。

と、言っても実は恥ずかしながら「不思議の国のアリス」自体を兎に誘われ不思議な世界に行きましたぐらいのフワッと感でしか知りません。
聞いた話によると、玉手箱を開けて老人になるわけでも、意地悪アリスはコブをつけられたとさ的なオチがあるわけでもなく、どうやら夢オチ?的な終わり方だったというじゃないですか。

それでしきりにアリスはこれは夢よと言い続け、ワンダーランドの連中も彼女は偽物アリスだと言ってたりしてたわけですね。
それをもう1回ひっくり返してこの世界はちゃんとあるんだよ!って、なんて童話的で素敵な続きの描き方なんでしょう。
純度100%のピュアになった今の僕なら、コリン星もちぇるちぇるランドも本当にあるんじゃないかと信じれそうです。

見事なまでの世界観を演出するのは、やはりティムバートンによって生み出された個性豊かなキャラクター達ですね。いつもながらヘンテコリンなんだけどどこか愛嬌のあるキャラ達。
ジョニデ演じるマッドハッターも魅力的ですが、僕が好きなのは赤の女王ですね。
何ですか?あのデカ頭?デカすぎてあれスタンド発動してるでしょ?絶対!
すぐ「打ち首じゃあ!」て恐いこと言うんですが、あのビジュアルですから恐さよりも愛嬌が勝ちますね。

あんな奇抜なデザインを思いつくんだから、ティムバートンてやっぱ奇人?と思われがちですが、僕は至ってまともで誠実な人間だと思います。
テリーギリアムやデビッドリンチのような本当の奇人はひたすら自分の世界観を広げて鑑賞者を置いてきぼりにします。(それが彼らの良いところです)
ティムバートンはそうならない様お話にちゃんと道標を示しますし、キャラもアリスの世界観も壊さないよう大事にします。マッドハッターや赤の女王などはデザインで遊んでますが、お城やドラゴンなどはオーソドックスにしてます。
オリジナルキャラでは遊んで童話の象徴的な存在はオーソドックスに。
つまり輪郭はしっかりおさえた上で遊んでるんですね。
さすが少年の心を持った大人!を、演技し続ける大人ティムバートンですね。

 

そしてアリスのように 不思議さを受け止めたら
誰だって いつだって 森に迷い込めるの

僕は遅れて観た分を取り戻すように3日連続で観たんですけど、アリスを追いかけてるうちにある事に気付いたんです。

大人になったアリスは現実の世界でもワンダーランドに来てからもかなり半ばになるまで一切笑顔を見せないんです。
しかめ面か困惑顔か泣き顔。
あまりに笑わないので「笑えばいいとおもうよ…」と碇シンジのように声をかけたくなります。
それが後半になるにつれ笑顔が増えます。もう天使の笑顔です。
マッドハッターが言ってた無くしてしまったかつての力って笑顔なんじゃないかな?

そして無事ワンダーランドに平和を取り戻し現実に帰ってきたアリスは自身に溢れた顔になり、笑顔も見せます。
以前は言えなかった自分の意志をハッキリ言える程強くなってアリスには帰ってきました。

そのアリスの顔を見ると今回の冒険の目的はアリスの笑顔と自信を取り戻す為の冒険であり、ワンダーランドは本当ににあったのか?また夢を見ただけなのか?なんて疑問、僕はどうでも良くなりました。

でもきっとあったよね、ワンダーランド。

 

最後にちょっとだけいいですか?
ワンダーランドの住人たちみんな奇抜な衣装やCGで馴染ませてるのに、なんでアンハサウェイだけ白塗りして一丁あがりなん?目と口がデカイから?西川きよしの娘のごとくデカイからですか?
ティムバートン、アンハサウェイdisってんなと思いました。

 

最後にこの映画を好きな方にお勧め作品を紹介して終わります。

・ナルニア国物語
・フック
・パンズラビリンス (鑑賞者の受け止め方で真逆の映画になってしまいますが...)