アノ映画日和

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「ベイビードライバー」感想 音楽がガソリン!疾走するアオハル!

 

2017年、映画好きのTwitterを大いに騒がせた映画があった。

「ベイビードライバー」

とにかく最高!

本年度No.1決定!

公開されるやいなや絶賛に次ぐ絶賛でTLは大騒ぎ
ハードルは上げに上げられた。

近年似た様な現象を起こした映画がある。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」
「キングスマン」

両作共かなりハードルを上げられた。
が、そんなハードルをものともせず見事な跳躍力で飛び越えてみせた。

今作にも同じ跳躍力を期待した。

が、僕はつまずいた。
並べられたハードル全てに…

 

2017年/イギリス、アメリカ
監督:エドガーライト
出演:アンセルエルゴート、リリージェイムズ、ケヴィンスペイシー、ジェイミーフォックス、ほか
上映時間:113分

f:id:hagane-mk:20180128212057j:image78点

ざっくりあらすじ

天才的なドライビングテクで犯罪者を確実に逃す"逃し屋"  Baby

彼は幼少期の交通事故の後遺症で耳鳴りに悩まされていた。
その耳鳴りを消す為に常にiPodを携帯し音楽を聴き続ける。
そしてその音楽は彼の集中力を高める覚醒スイッチでもあった。

スイッチの入った彼を捕まえられる者など誰もいない
まさに天職とも言える仕事だったが、

1人の女性との出会いがこの職業からの引退を決意させる。

 

ただ鉄の塊にまたがって 揺らしてるだけ
自分の命 揺らしてるだけ ラブリーベイベー

冒頭の6分で全てが決まる。
何が?
あなたがこの映画を楽しめるか否か。

銀行の前に1台の車、スバルインプレッサWRXが止まる。
そこにおもむろに音楽が流れ始める

ジョンスぺことジョンスペンサー・ブルース・エクスプロージョン

「Bellbottoms」

洋楽好きなら誰もが知るROCKの名曲。

悪そうな3人の強盗達が銀行を襲撃。
その間、ドライバー(逃し屋)は車で待機。
Babyという名に相応しい幼い顔をしたドライバーは犯行状況を気にするでもなく
ジョンスぺに夢中。
ペットボトルをマイクにハンドルやワイパーを使いノリノリで音楽を聴く。

そこに仕事を終えた3人が戻る。
複数のパトカー、ヘリが彼らを追う。
急カーブ、ドリフト、天才的なドライビングテクでかわしていくBaby
ついには警察を振り切り任務終了。

と同時に曲も終了。
これがこの映画のはじまり6分間である。

カッチョイイ~~!

映画の掴みとして最高の6分です。
この6分を楽しめなかったなら、残り107分を楽しめるはずもないので、さっさと停止ボタンを押して別の映画を観ることをお勧めします。

それ程この6分は今作の自己紹介として完璧なのです。

・クライムアクション映画であるということ

・音楽と映像のシンクロが売りであること

・Babyがプロの逃し屋として優れた技術を持っていること

この映画の重要な柱が集約されています。
が、

ガンッ!!!

僕はさっそくハードルにつまずいた。
このはじまり...記憶にある。

そう、同じ逃し屋が主役の傑作映画「ドライヴ」。
似てるからダメな訳ではないが、どうしても頭にチラつき集中出来なかった。

あちらが静かな逃走なのに対し、こちらは派手な逃走劇。
似て非なるものなのだからイチャモンはよそう。

つまずきはしたものの僕はこの6分を大いに楽しんだので次に進みます。

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Baby boy わたしはここにいるよ

どこもいかずに待ってるよ 

次の場面ではBabyが街を軽快に歩きコーヒーを買いに行きます。
もちろんこの場面でも音楽が鳴り、街の喧騒とシンクロします。
4つのコーヒーを片手にどこに向かったかというと
ボスのドク(ケヴィンスペイシー)と今回の仕事仲間の待つアジト...
みんなは今回の仕事の金の分配をしています。

ガンッ!

またハードルに当る音が
仮にも強盗チームの一員、金の分配中にコーヒーを買いにいくようなマヌケがいるでしょうか?
ちょろまかされる可能性もある訳で、1番場を離れてはいけない場面です。

ま、Babyはドライバーであり強盗ではないという意識の表れかもしれません。

さて、そんなBabyはなぜこんな汚く危険な仕事をしてるのでしょう。
昔、Baby君が1台の車を盗み、それが闇社会の大物(現在のボス)ドクの車でして、その際ドクに多大な損害を与えてしまったので、その借金を返す為にドライバーとして働いてる訳です。

それも今回であと1回仕事をこなせば帳消しというところまで来ました。

無事仕事も終え、いつものダイナーで休憩していると

「B、A、B、Y、Baby♪」

綺麗な鼻歌と共にキュートなウエイトレス デボラが出勤して来ます。
日常の会話や音で作曲活動をしているBabyは即座にその声をレコーダーで録音。
すると

「あら?何を録音してるの?サービス向上の為?」

なんて話しかけてきたりして、何やら恋のはじまりの予感...

ガンッ!ガンッ!

僕は両膝を思いっきりハードルに打ち付けました。

なんやねん!

なんでこんなコミュ障の塊みたいな奴がダイナーに行っただけで恋がはじまんねん!
盗聴行為が恋のきっかけになんねん!
しかも超A級の美女!

僕が何万回スタバに行こうとTSUTAYAに行こうと恋なんて始まりません。
コンビニでは買えるけれどってスピッツの歌は嘘です!
女性店員を盗聴なんてしようものなら檻暮らしのアリエッティです。

しかしこの2人は

君の名前デボラってT-REXの曲と同じだよ
Babyがあなたの名前なら世界中の曲があなたのものね。

アハハ、キャハハ

で、案の定ふたりは恋に落ち、Babyは逃がし屋の仕事から足を洗おうと決意するのです。

おい、Baby!あと1回仕事残ってるからな!


Oh Rock me baby tonight

ほらもっとボリュームを上げるんだ

ボスに呼ばれて次のお仕事。
今度は現金輸送車を襲います。

お仕事のお供は

The Dammed 「Neat Neat Neat」

なんてカッコイイ選曲なんだ、悔しいがアガル

しつこい軍人に追われたり、間抜けなメンバーのミスがあったり
いろいろとゴタゴタがありながらも今回のお仕事も無事クリア。
ドクへの借金も全額返済し、このお仕事ともおさらば。

ロマンティック浮かれモードのBabyは、お祝いもかねてデボラとディナー。

ですが簡単に抜けれるほど裏の世界は甘くありません。
ドクがBabyの前に現れます。

次は郵便局を狙う、お前もやるか?

Babyの答えは当然 No!

そうか俺は毎回メンバーを変えるがお前だけはいつも使って来た。
信頼しているからだ。
それを断るとなると、脚の1本や2本折れるかもなぁ...
あのウェイトレス可愛いじゃないか、彼女も危ないなぁ...
どうする?車椅子に乗るか、車に乗るか?

THE 下衆野郎

恋に落ちたBaby に選択肢はありません...LOVE涙色...

このラストミッションがとんでもない事になります。
集まったメンバーも最悪最強の狂犬に冷酷残忍カップル。
彼女を危険に巻き込みたくない一心で引き受けたのに、結果彼女は危険に巻き込まれまくり。

Babyとデボラの運命と恋は如何に!

今作はまだ新作ということでこの辺であらすじを追うのは止めときましょう。
しかし、ここからの盛り上がりは凄いですよ。
派手なカーアクション、銃撃戦、逃走劇、そして愛
全てにシンクロするミュージック付き

トリハダモノデス

是非フルボリュームのL‐Rに胸のエンジンを震わせて下さい!

ミッドナイト・クラクション・ベイビー
クラクション・ベイビー 

と、こんな風に書くと、じゃあその先はハードルにつまずかなかったのね?
そう思われそうですが

いいえ、つまずきまくりでしたよ。

例えば仕事前にドクの命令で武器調達に行った結果銃撃戦になるとこなんて

戦争する訳じゃないのに、なんでわざわざ仕事前日に武器調達が必要?
プロの強盗なら各自で銃ぐらい用意出来るでしょ?

次デボラ、
出会ったばかりの男の為にあない命はる女いるかね?

あとケヴィンスペイシー演じるドク、お前キャラブレ過ぎじゃね?

てな具合にやりたいシーン、見せたいシーン、聞かせたい音楽があるから無理やりストーリーを創りました的シーンが多過ぎ!
ラストなんてとってつけたようなオチで
海外免税店化粧品売り場のような甘い匂いプンプン

とにかく無理やり感が強くて、そのたびに

ガン!ガン!ガン!

とハードルにつまずきました。

そして今作で1番もてはやされてる音楽と映像のシンクロ

そりゃ確かに見事なまでにシンクロしてましたよ。
でも納豆にキムチみたいに、そりゃあうだろってな選曲ばかり
ヘタすりゃMVになりかねない危うさ。
簡単に言えば

意外性がない!

どういう事かと言うと、例えば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のオープニング

最新のSF映像に70’sのオールディーズしかもスローテンポな曲があんなにマッチするなんて誰が思いました?

例えば、「キングスマン」のラスト頭ボーンボーンのシーン。
あんな残酷なシーンにクラッシックが見事にマッチして、残酷なはずがポップに映りました。

意外性とはそういうことです

そんな神作品たちと比べられたら可哀想だけど
僕は音楽と映像のシンクロという前評判にあのレベルを期待してたんです。
が、残念ながら今作にそこまでは感じ取れませんでした。

うう゛ぉい!
褒めたり貶したり、結局この映画面白いのか面白くないのかどっちなんだよ!

そろそろ怒られそうですね。
のらりくらりかわして来ましたが、ハッキリ言いましょう...この映画は

 

面白い!

二泊三日でレンタルして2回観て、延滞して3回目を観るぐらいには面白いです。
実際僕はそうしました。
散々つまずいたとか言っておいて?

はい、つまずいたとは言いましたが、転んだとは1回も言ってません。

ストーリーに無理があったり、意外性がなかったり、何度もつまずきますが、それでもハードルをなぎ倒しゴールまで辿り着かせるパワーがこの映画にはあります。

多少いびつなものも、滑らかにまとめてみせる
甘いラブストーリーを見せたかと思えば、突発的に残酷シーンを挟み込む
エドガーライト監督の卓越したバランス感覚とセンスが炸裂してます。

赤点だらけでも満点に魅せます。

どうのこうので音楽も映像もカッコいいし...

ほら、みんながあまりにハードル上げてるから、ここらで僕がちょっと下げとこうかなって...そういう気遣いを今回はしてみました。

とにかくこの映画はストーリーを読んで楽しむものではありません。
映像を観て、音楽を聴いて、トリハダをたてる映画です。

こんなブログなんか読んでないで、さっさとTSUTAYAにGOだぜBaby

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最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
・キングスマン
・ドライヴ