正直、今回のブログは書きたくなかった。
このブログは映画通の友人達も読んでくれている。
漫画原作の映画なんて原作の世界観をぶち壊すか、どれだけ忠実に再現するかしか考えてないものばっか。
どちらにしても原作を超えることはないし面白いはずがない!
普段、僕はそう毒づいている。
そんな僕がこの映画で泣いたなどと聞けば、
「あいつもヒヨッたな」
彼らはそう思うに決まっている。
でも泣いてしまった、大いに泣いた...
でも違うねんちょっと聞いて、理由があるねん。
2016/日本
監督:小泉徳広
原作:末次由紀
出演:広瀬すず、野村周平、真剣裕
上映時間:111分
70点
ざっくりあらすじ
幼馴染の千早、太一、新はかるたを通じ出会い親友となっていった。
彼らは小学校卒業を機にバラバラとなっていたが、かるたを続けていればまた逢える。
千早はそう信じ、かるたを続けていた。
高校生となった千早は競技かるた部を発足させようと部員集めをする。
そこで太一と再会。
太一のほか、 かつてのライバル西田、かるたを全く知らない奏と勉が入部し無事競技かるた部の創設は認められた。
そして千早は自分にかるたを教えてくれた新を想い、このメンバーとともに全国大会を目指し奮闘するのであった。
尚、今作は1700万部を超える大人気コミックを映画化したものである。
きれいだね 君こそ我が誇り
DEAR WOMAN
僕はいい歳をして漫画が大好きです。
ありとあらゆる漫画を読む僕は少女漫画も当たり前のように読みます。
この漫画は確か...10数巻まで読みました。
なんで読むのやめちゃったかは覚えてないけど、ちょっとこの映画を観てまた読みたくなっちゃったんですよね。
なんせ泣きましたから。
なぜ泣いたか
理由その1、広瀬すずが良かったから!
広瀬すずに対してはね、なんとなく子役と女優の間にいる子ってイメージだったんですよね。
芦田愛菜と二階堂ふみの間みたいな。
もちろん整った顔はしてるけど「女」優ではないな…と。
それがこの映画のね、特に着物を羽織ったあたりから「雅」って感じがしてね
「あらすずちゃん、知らん間にベッピンさんにならはって!」
と親戚のおっさんみたいな事を言ってしまいました。
ひたむきに競技かるたに打ち込む少女を良く演じれてたと思います。
そんな彼女だから応援したくなったし泣けた。
それは絶対あります。
ただ少し残念だったのは、芸能人の姉がいて多少なり劣等感があったかと思うんだけど、今作ではそれは感じずポジティブ少女だったとこ。
僕はコンプレックスを持たない人間にあまり感情移入出来ないんですよね。
それをカバーするのが、周りの連中。
コンプレックスの持ち主たち、こいつらが僕を泣かせたんですよ!
嗚呼 嗚呼 青春の日々よ
嗚呼 嗚呼 青春の日々よ...
周りの登場人物の話の前に、ちょっと寄り道。
小学校低学年ほどの記憶力しかない僕の記憶が確かならば、原作では千早、太一、新の3人の幼い頃から始まりそれで1巻まるまる使ってたはずなんですよ。
ところが映画ではいきなり高校生から始まり、幼い頃は回想ぐらいの語られ方。
千早がなぜここまでかるた狂になったかはその辺が重要なのになぜにここまでの大幅カットを...?
代わりに入れられていたのが強烈な青春汁。
ま、カルタ部を作る為の部員集めや練習的な青春は必須として、太一の甘い恋心の表現にどんだけ時間使てんねん!
イケメンで成績良くて優しくて…みたいな僕の最も忌み嫌う奴がですよ?
やれ試合で気絶した千早をおんぶしたり?(男の鑑賞者の8割はこいつ今広瀬すずのオッパイ背中で感じとるなと思ったはず)
電車の中では眠る千早に肩を貸したり?
男子校出身の僕はこういう学生リア充的なシーンが大嫌い!
中盤くらいまで、誰かこいつ暗殺しろよ!と怒りながらの鑑賞でした。
Oneshot Onekill
しかし最も僕を泣かせたのが何を隠そうこのクソイケメンなのです!
僕が言ってやる でっかい声で言ってやる
ガンバレッて言ってやる 聞こえるかい ガンバレ
涙のベースを作ったのは間違いなく駒野 勉(あだ名、机くん)
理由その2、僕はダメな子が奮起する場面に弱いから!
昔からね、ダメなんですよ。
ベストキッドの弱虫くんが頑張るとか、さよならドラえもんの回でのび太がジャイアンに立ち向かうとか100%泣いてしまう。
で、この机くんもダメダメな子なんですよ。
もともとは部を作る為の人数合わせで勧誘された机くん。
でも友達なんかいなかった彼にとって仲間は嬉しかったんでしょうね。
仲間のデータを分析したりみんなから頼られだしたりして。
合宿もしたり、なんか僕…かるた好きかも?みたいな感じになって来ます。
でも試合で全く勝てない。
プライドの高い机くんにとって勝てないは屈辱であり、弱いはコンプレックスです。
大会の団体戦では、強い相手にはどうせ勝てない机くんをあてようぜ!と言われる始末。
すると大会決勝を前に僕もう帰る!と言い出します。
当然仲間は引き止めますが
「どうせ僕なんか人数合わせなんだろ!」
え?今さら?な事を泣きながら言います。
ま、他にもゴニョゴニョ言いますが、太一にカツンとゲキを飛ばされ一応試合には参加。
でもまるでやる気なし男の机くんは座ったまま札が読まれても動こうともしません。
周りも心配してますが半泣き顔のまま微動だにしません。
しかし、試合が進むにつれ仲間との思い出が彼の頭の中で蘇り、
クッソーやってやる!負けてもいいからやってやる!
と頑張り出します。
このダメ男くん頑張るで僕の涙ゲージは80%まで来てました。
負けないで ほらそこに ゴールは近づいてる
どんなに はなれてても こころはそばにいるわ
理由その3、負けた相手との因縁勝負が熱いから!
団体戦の決勝相手は以前千早もボロ負けしたエースが率いるチーム。
奇しくも千早の対戦相手はまたもやそのエースでした。
そのエースが「囲い手」とかいうコスい技使うんです。
しかし千早はなにくそっとその技を破ります。
ここが熱いんですよ。
反応反射、音速高速!
反応反射、音速高速!
もっと速く!もっと!
傑作漫画ピンポンを思い起こさせる千早の気迫と必殺技炸裂!
どうじゃ!ざまぁ!て感じで僕もそろそろウルウルきだしました。
理由その4、イケメンがやってくれたから!
イケメンくんは何をやらせても出来る子というイメージですが、実は肝心な所では絶対勝てないというコンプレックスの塊みたいな奴でして、自身にかるたの才能がない事を自覚しています。
それでも千早にカッコいいところを見せたい。
その一心でかるたをやってきました。
かるたには運命戦というのがあり、それは勝負終盤まれに互いに手元の1枚を取った方が勝ちという場面が生まれます。
つまり自分に近い方の札が読まれた方が勝ち。
完全に運任せとなります。
この運命戦に太一は勝ったことがありません。
かるたの神に愛されていないのです。(かるたの神って何?)
太一もまたダメダメくんだったのです。
そして団体戦決勝の勝敗は2勝2敗、太一の勝負にかかりました。
しかも試合は運命戦にまでもつれ込みます。
この1枚取れるなら俺の一生分の運を使ってもいい
太一はかるたの神に祈ります。
僕も人生の運ちょっとだけ使っていいから太一の札読まれて!と祈ります。
そこで太一はふと気づきます。
あいての札は「ちはやふる」
自身の千早への思いと重ねます。
読まれるのを待ってちゃダメだ。
どうせ来ないなら獲りに行け!
太一は畳に何度も素振りを始めます。
あのカッコつけの太一がなりふり構わず相手の札を獲る為に...
僕の涙腺はここで崩壊です。
おろろろろぉおおん
熱闘甲子園アルプススタンドの女子高生のごとく泣きました。
そして勝敗は...
あんなん絶対泣くでしょ?
卑怯!
この瞬間の為に太一の千早に対する甘い恋心にあんなに時間さいてやがったのか
監督やるなぁ
以上が僕がこの映画で泣いてしまった理由です。
観た人はそうそうと共感し、未見の人はそりゃ泣いても仕方ないわと解かってくれたことでしょう。
そういえば最近泣いてないなぁ...というソコのあなた!
是非この映画で思う存分泣いて下さい。
それか火垂るの墓か。
追伸、上の句では登場人物の行動で魅せる展開でした。
下の句では千早、太一、新の内面を掘り下げる描写をもっと入れて欲しいなぁ。
じゃないと、いまいちぺラいんだよな。
望みが叶い、その様な内容だったらまた下の句のレヴューで会いましょう。
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最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・ピンポン
・バクマン。
・海街diary