アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

「ラブ・アゲイン」感想 恋愛映画嫌いの僕がこの映画を激推しする理由

 

恋愛映画が苦手です。

僕が映画に求めるのは「非日常」
映画の中ぐらいは日常を忘れてあり得ない世界に没頭したいのです。
そんな僕が恋愛映画を苦手とするのは凄く真っ当な話。
恋愛なんて誰もが経験すること。

THE 日常

なんでわざわざ2時間もさいて他人の恋愛話に付き合わないといけないのか

ところが稀にそんな僕をも魅了してしまう恋愛映画が存在します。
その1つが

「ラブ・アゲイン」です。
では、なぜ僕が今作だけ特別扱いするのか
他の恋愛映画とどこが違うのか
今回はその理由をご説明させて頂きます。


2011年/アメリカ
原題:Crazy,Stupid Love
監督:グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
出演:スティーブカレル、ライアンゴズリング、エマストーン、ジュリアンムーア、ケヴィンベーコン、ほか
上映時間:117分

 

f:id:hagane-mk:20180418014453j:image85点

ざっくりあらすじ

美しい妻と可愛い子供たち、そんな理想的な家族に恵まれたキャル。
気付けば40代イケてない中年オヤジに甘んじていた。
しかし突然妻に浮気を告白され離婚話を突きつけられてしまう。
失意のキャルはBARで愚痴をこぼす毎日。
それを見るに見かねたプレイボーイ ジェイコブが救いの手を差し伸べる。

「俺があんたに男ってやつを取り戻させてやる!」

プレイボーイに弟子入りした中年男はイケてる男に変身出来るのか?
そして妻の愛を取り戻すことが出来るのか?

 

戻って 離れて それでもまた戻って
一年中 恋はいつでも大騒ぎ 

理由その1
ライアンゴズリングが好きだから

のっけから何じゃそりゃ?な理由で申し訳ない。
でも誰でも推しの俳優や女優の1人や2人はいるのではないでしょうか?
僕にとってのそれはライアンゴズリングなんです。
(もちろん他にも多数いるのですが)

ゴズリンはそのビジュアルもさることながら、持っている雰囲気がワンアンドオンリー(死語?)
イケメンで人気者なのにどこか感じる孤独感。

哀愁を身にまとっています。
それは彼が出ているだけで、映画の雰囲気を創り出せてしまうほど。
今作の彼は特に魅力的です。

イケメンでリッチマンで女性の扱いに長けている完璧な男。
毎日違う女と遊び充実した毎日
しかし本当の意味では何も満たされていない孤独な男。

こんな役どころゴズリン以外の誰がやれる?

え?胸キュン映画によくあるツンデレイケメンのテンプレ?

バカ言ってんじゃないですよ!

その辺のアイドル俳優がやるのと、ゴズリンがやるのとでは
コンラッドとAPAぐらい違います

ゴズリンがゴズリンの魅力をいかんなく発揮している恋愛映画。
それがラブアゲインなんです。


理由その2
ゴズリン以外も素敵だから

魅力的なのは当然ゴズリンだけではありません。
まずゴズリンの恋のお相手

エマストーン

ゴズリン&エマといえば「LA・LA・LAND」を思い浮かべる方が多いでしょう。
このカップル、実は3度も映画の中でカップルになってます。
その始まりが今作(ちなみにもう1作はLAギャングストーリー)
それだけこの2人は理想的なカップルに映るという事です。

実は僕はエマストーンはあまり好きなタイプの女優さんではないです。
でも、

ゴズリンの横にいる彼女は大好きです!

キラキラ輝いて見えます。

お次は今作の主役。
妻に捨てられた中年男キャルを演じるのは

スティーヴカレル

名作「リトルミスサンシャイン」でゲイの叔父さんを演じていた彼です。
流石コメディアン、笑わせる為の間であったり仕草だったり、セリフの言い回しだったり全てが完璧です。
彼同様、非モテ中年男の僕は共感して笑いまくり。
そんな彼がイケメンに変わっていくので、ふり幅にやられます。

その中年男の妻を演じるのは

ジュリアンムーア

おっふ、お美しい...
あの年齢を重ねたからこそ出せる色気は何なんでしょう…
キャルがいくら自分を変えようと、沢山の女性に触れようと
やっぱり心にあるのは妻のこと。
キャルが

「セクシーとキュートが共存する希少な女性」
「魂の伴侶」

と形容するのも納得の美しさです。

他にもキャルとエミリーの息子役のジョナ君、その息子が恋するベビーシッター役のアナリーティプトン、そして我らが兄貴ケヴィンベーコン、

とにかく登場人物全員がチャーミングで愛せてしまう
それがラブアゲインなんです。


理由その3

恋愛が1つだけじゃないから

「あなたなんか大嫌い!」
「俺だってお前なんか嫌いだよ!」
といがみ合った2人がすったもんだして
ラスト チューして終わる

そんな上島龍平と出川哲郎のコントなら2分で終わらせてしまう様な恋愛
2時間もかけてダラダラやるもんじゃありません。

その点、今作の恋愛劇は複雑です。

妻は同僚と不倫しているがキャルはそれでも妻を想っていて、息子はベビーシッターに恋をして、そのベビーシッターはキャルが好き。しかもベビーシッターの父親はキャルの友達、それに加えてプレイボーイの恋愛もあって...

て、ややこしい!

ちょっとややこしいので、簡単な相関図を付けておきますね。

f:id:hagane-mk:20180420210221p:image

え?大事な矢印が抜けてる?
はい、未見者に対しての配慮です。
あそこの関係は秘密にしておいた方が面白いもんね。

しかし、よくこれだけ複雑な人間関係を2時間弱に収めましたね。
で、どの関係もおざなりになってなくて
それぞれドラマがあって、終着点もバッチリ決まってる。

もうカオス状態なのに映画全体としてはまとまっていて、時間配分も申し分ない。
で、それだけまとめておいて、ラスト近くで主要人物を集結させて乱闘させる

THE カオス! 

映画が整理整頓されてるからこそ、あのカオスが活きてます。


皆さんはどの恋愛が1番好きですか?
メイン夫婦の愛も良いし、プレイボーイの愛も良い
でも僕はロビーとジェシカとキャルの三角関係の愛が1番好きかなぁ

いや、でもやっぱ決められないなぁ...
みんな素敵だもんなぁ...

どの愛も素敵で、誰でもどこかの愛に共感を覚えられて、
観る度に1番好きな恋愛物語が変わっていく
だから何度でも観られる

そんな素敵な愛が一杯つまった恋愛映画
それがラブア...
このくだり いい加減しつこいですね。
やめましょう。


理由その4
中年男とプレイボーイの師弟が最高だから

プレイボーイ ジェイコブによる中年男キャルのイケてる男修行。
ここ、

最&高!

まずショッピングモールで待ち合わせ。
キャルが現れるなり

「その足元は?」
「ニューバランス407だけど?」
「ちょっと見せてくれるか?」

受け取ったスニーカーを2階から投げ捨てるジェイコブ

「何をするんだ!」

と驚き怒るキャル
そこにすかさずジェイコブ

「お前は学生か?スティーブジョブズか?」
「は???」
「アップル社のオーナーなのか?」
「もちろん違うけど」
「じゃあ、スニーカーを履く資格はない」

男はある程度の年齢になったらそれ相応の身なりをしなくてはいけない
そのことを、こんなアメリカンジョークで伝える。
素敵ですね。

それでスーツや靴を買い、ついでにマジックテープの財布も買い替えさせます。
お次はジーンズ。

「ジーンズなら今履いてる」
「ママさんジーンズじゃないか」
「GAPだ!」
「いいか、GAPで満足するな!」

もうここのショッピングのやり取り大好き!
僕も身なりをちゃんとしようと思います...

身なりを整えたら実戦
全く女性との会話術がなってないキャル
そこでジェイコブが会話で成功させるお持ち帰りテクを見せつけます。
何日もジェイコブのモテぶりをただ眺めるキャル

そして

「そろそろいい女に話しかけてお持ち帰りして来い」

と命じるジェイコブ

「あんたのことを見てただけで何も教わってない」
「ベストキッドは見たか?」
「見たけどそれが何だ?」
「ミヤギ流にあんたにテクは刷り込まれている」
「は?闘う訳じゃないぞ」
「俺はいつも女を口説く時どうしてる?」
「まず酒を奢って、常に相手の話しをして、世間話は退屈だから相手を焚付け...」

「本当だ!刷り込まれてる!」

そこからキャルのナンパは成功の連続。
次々と女性をモノにしていきます。

ジェイコブはキャルのひとまわり程も年下ですが、最高の師匠ですね。
僕もジェイコブみたいな師匠が欲しいです。

君が好き
僕が生きるうえでこれ以上の意味はなくたっていい 

理由その5
セリフがいちいちお洒落だから

出演陣も素敵だし、映像も素敵、でもそれだけでお洒落映画になる訳じゃありません。
どんな役者がどれだけ綺麗に映ろうと口から出る言葉が陳腐ならダサくなります。
それなら何も喋らないサイレント映画の方が良いです。

この映画はいちいちセリフがお洒落。
いくつか僕が好きなシーンの好きなセリフを紹介します。

ジェイコブとハンナが初めて一夜を共にするシーン。
上半身 裸になったジェイコブのあまりに見事に鍛え上げられた肉体にハンナは

「何それ?フォトショで修正済み?」

ワオ!とか安易な驚きをするでも、うっとり沈黙するでもなく
ジョークで驚きを表現する。
お洒落ですよね。


ナンパ師のジェイコブを最初はあっさり振ったハンナ
でも恋人に無下に扱われ、やけくそ気味になってジェイコブの前に現れ突然キス
そして言う

「覚えてる?まだ魅力的だと?持ち帰りたい?」

どの質問にもYESと答えるジェイコブに

「じゃあ、行きましょう」

いつも女性をリードしてきたジェイコブがハンナに完全にリーダーシップを取られる。
クッソお洒落!


息子のロビーがママの浮気相手に言い放つ言葉もカッコ良い

「ママはパパのところに戻るよ」
「悪いけどパパはあんたよりも格上だ」

なんてことないシーンとセリフかもしれませんが、立派な大人の男に向けてパパの代理で挑戦状を叩きつける、僕は凄く好きなセリフなんです。

あとは最後のパパの演説かな

15で出会ってから毎日毎晩愛し続けて来た、最初に君にアイスを買ってからずっと...
絶対諦めない、"魂の伴侶"を見つけたら、追い続けなきゃ

もうお洒落とかそんな域を超えて感動させますね。
で、その後 妻エミリーが応える

「あの時のアイスに感謝ね」

 

なんやねん!
ユーミンか?
西野カナか?
最高か?

他にも沢山お洒落で素敵なセリフがありますが、あげだすとキリがないのでこの辺で。

 

理由その6
下ネタ

この映画はお洒落な恋愛だけじゃなく、ラブコメのコメディの部分を大事にしてます。
特に下ネタ。

例えば、ロビーの部屋にベビーシッターのジェシカが突然入ったら
ロビーが1人でナニをナニしてまして...
それに対しジェシカは
「ごめんね、何も見てないから」
するとロビーは
「君を愛してる、いつもアレする時キミを想ってしてるんだ」

最ッ低の告白ですね。
でもそれだけロビーはジェシカを想ってるってことで許してあげて。
笑えるし

例えば、キャルとエミリーが息子の学校に面談に行った際、
現れた息子の担任が、なんとキャルが以前お持ち帰りした女性ケイト。
ケイトは息子の話をそっちのけで、

アホな男とはどんな男かを熱弁

「電話の約束を破るのがアホ」
「正直者ヅラして女を垂らし込むのもアホ」
「役に立たないナニを45分も口でナニさせる男もアホ」

全部キャルのことですが、下衆い...
でも笑える。

例えば、男とはどうあるべきかをキャルに説明するジェイコブ。
その姿は真っ裸。

「何か着てくれないか?」
「なんだ不快か?」
「いや...そういう訳じゃないけど」
「もう20分近くもナニをブラブラさせてるんだ、不快じゃないなんてヤバすぎる」
「じゃあ、本当のことを言うよ、不快だ」
「どうでもいい!」

ジムでこのやり取りをして
サウナでも熱弁は続きます。
もちろん真っ裸で
遂にはキャルは気絶しその顔がジェイコブのアソコにべちゃり。

お下品ですね、でもゴズリンの真っ裸も見れるし笑えるし最高でしょ。

こんな下ネタがチョイチョイ挟み込まれます。
でもこの映画が好きだとそれさえもお洒落に思えるんだから不思議です。

 

理由その7
男女両方の目線で描かれてるから

多くの恋愛映画は女性目線で描かれることが多いです。
僕だけじゃなく多くの男性が恋愛映画を苦手とするのはそこに理由があります。
でも今作は ほぼ男目線で描かれています。

主役は妻に捨てられた中年男で
準主役はプレイボーイ

男が恋をするといかに滑稽でマヌケか
そしてピュアであるかが描かれています。

男の身勝手な恋愛観の描かれ方に女性は不快を感じそうなものです

が、今作は女性にも支持されています

それは妻のエミリー(給湯器のやり取りのとこが最高)
プレイボーイの恋人ハンナ
年上の男性に惹かれるティーンエイジャー ジェシカ
ついでにやり捨てされた女教師ケイト

しっかり女性目線も描かれてるからに違いありません。

男女両方の恋愛を描いておいて
タイトル(原題)に

CRAZY(のぼせ上った)

STUPID(おバカな)

LOVE(愛)

て付けてるんだから。
共感しない奴なんかいないって話ですよ。

 

と、いうことで僕が今作を激推しする理由を書かせて頂きました。

普段は恋愛映画、リア充なんか大嫌いな僕です。

TSUTAYAの恋愛コーナーでイチャコラしてるバカップルを見ようものなら
棚を倒して下敷きにしてやろうか、なんて考える僕です。

でも、もしそのカップルが選んだ映画が今作なら
暖かい眼差しでレジまで見守ります。

それぐらい今作が好きです。

もし、あなたが僕と同じ非モテ男子で
恋愛映画なんてケッと唾を吐くタイプだとしても
今作だけは観てみて下さい。

今作は非リアにも優しい映画になっています。
恋愛映画嫌いの僕が面白いという恋愛映画

面白くない訳がない

そう思いませんか?
寂しい毎日を、たった2時間ですが幸せな気持ちにさせることをお約束します。
是非、

f:id:hagane-mk:20180419214342j:image

追伸、そんなに面白いなら今度彼と一緒に観てみようかな?
とお考えのリア充さん

お前らはアオハライドでも観てろよ!

 

最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・(500)日のサマー
・エターナル・サンシャイン