アノ映画日和

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「GANTZ:O/ガンツオー」感想 原作ファンも未読者も納得、満足間違いなし

 

長編漫画原作を映画化する際、大切なのは取捨選択です。
最近の漫画原作映画はいかに忠実に再現するかばかりを求められ、作り手はトレースに躍起になっています。
拾う事ばかりを考えた結果、出来上がった作品は原作ファンもそうでない方もがっかりさせてしまう様な物も少なくありません。
取捨選択に失敗して原作ファンを怒らせた作品もあります。

さてこのGANTZ:Oですが、ほぼ完ぺきな取捨選択に成功しています。

原作ファンの僕が言うのだから間違いない!
...はずです。

 

2016/日本
監督:さとうけいいち、川村泰
声優:小野大輔、早見沙織、ケンドーコバヤシ、レイザーラモンHG、RG、ほか
原作:奥浩哉
上映時間:96分

f:id:hagane-mk:20170223170328j:image90点

ざっくりあらすじ

東京の駅構内で、高校生の加藤勝は通り魔に刺され死んだ。
はずだったが、気づくと数人の男女がいるマンションの一室にいた。
そしてそこにはGANTZと呼ばれる黒い球体があった。
彼らはどうやらこのGANTZに甦らされたらしい。
そしてここに集められた者は、GANTZの指示により星人(妖怪)を退治しなければならないとの事。
訳も分からぬまま転送されたその先は大阪。
加藤は東京チーム、そして大阪チームと協力し妖怪軍団と戦うこととなった。


さよなら大好きな人

さよなら大好きな人

今作は原作の21巻~25巻までの大阪編を抜粋して創られています。
原作未読の方、え?20巻もすっ飛ばして内容わかるの?
不安ですよね?
大丈夫です。
ちゃんと分かるように改変されています。

原作ファンで未見の方、え?改変されてるの?
不安ですよね?
大丈夫です。
改変されてますが、間違いなく今作はGANTZそのものです。

では、何を不要とされたのか説明させて頂きます。

ざっくり言うとかなり登場人物をカットしています。
主要人物で言うと
東京チームではホストざむらい、きるびる、きんにくらいだー、たけし、サイキック師弟がいません。

え~~~!!!

ってなりますよね?
でもこれにはそれぞれ納得出来る理由があります。

ホストざむらい達を出す為にはヴァンパイアとは何ぞやの説明が要ります。
彼らとの絡みだけで1本の映画が創れるくらい。
さすがに彼らを入れるのは無理があるかと。

きんにくライダーとたけしにも物語があります。
ただの喧嘩番長と子供として登場させるくらいならカットさせた方が良いです。

サイキック師弟...欲しいですよね。
「俺が今!止めてる!早く向こうに逃げろ!」
「いやだァア!師匠!」

のくだりは大阪編でもかなりの胸アツポイントですからね。

でも、GANTZという世界観が既に異質な世界です。
そこに超能力要素まで入れると何が何やら。
説明、物語なしにただの超能力コンビとして出されても、あのシーンは感動しません。
カットが妥当でしょう。

次、大阪チーム
ジャンキー花紀京、S●X依存症で妖怪まで犯す桑原和男もいません。
R‐18に引き上げてでも入れて欲しいところですが、この素晴らしき厨二映画を本当の中二の子が観れないのはおかしいので仕方ありません。

でもご安心下さい。
杏ちゃん、ノブやん、ジョージ、そして100点7回クリアの男

岡八郎がいます!

しかも最高の出方です。
岡の演出だけでこの映画観る価値アリです!

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探してたものは こんなシンプルなものだったんだ

それだけカットしたら物語がシンプルになり過ぎない?
そう!そのシンプルさこそがこの映画の売りです。

か細い数本の柱で支えるよりも
ぶっとい1本の柱で映画を支える!

これです!

その柱とは?
それは、帰る場所がある、待ってる人がいる、

だから俺は戦う!
必ず生きて帰る!

これです!

戦う理由として最も説得力のある設定です。
アルマゲドンを観る感覚と同じです。
だからこそ主人公が加藤の大阪編を映画にしてるのです。

え?玄野君じゃないの?て、あ!言ってませんでした?
はい、玄野君は冒頭であっさり死にます。

え~~~!!!

いや、改変してるって先に言ったじゃないですか。
だからメインイラストも玄野くん描いてなかったでしょ?
え?真ん中の?
ああ!あれは西君。
僕、西君が大好きなんで。

主人公は弟と2人暮らしの加藤くんです。
しかも加藤君はGANTZのことを全く知らない設定です。

え~~~!!!

いやいや、でも主人公がGANTZの世界を全く知らないという設定のおかげで、自然にGANTZとはなんぞや?の説明が出来ています。

ナレーションベースで説明するのではなく、加藤君が原作の知らない人に成り代わり色々驚き、質問してくれることで映像と物語で理解させてくれます。

これは原作を知らない人にとっては有難い改変です。
原作ファンだけに媚びた作品じゃないです。
カットするけど原作読んでんなら脳内補完しろよと投げっぱなしでもありません。

で、物語、登場人物をシンプルした分どこに力を入れているかと言うと

バトル!

もうこのバトルが最っ高なんですよ!


肥大したモンスターの頭を

隠し持った散弾銃で仕留める 

 

96分の上映時間の殆どがバトルに費やされてます。
バトル中心なんだから、その対戦相手の星人が魅力的でなければお話になりません。

奥浩哉先生が描いたあの星人たちの造形が素晴らしいのは言うまでもありませんが、それが立体的にそして動きを見せる事でよりおどろおどろしく素敵に恐い存在になってます。

それと対抗する東京、大阪のGANTZチームのアクションと武器の魅せかたも

超カッコいい!!!

相手を内部爆破させるXガン、転送させるYガンは、実写でも表現されてましたけど
重力攻撃のZガン!
あれをああ表現するとは...まさに
「薄~なりや、紙になれ!」
て感じです。
意味がわからない?観れば分かります!

で、で、先ほどもちょっと触れた岡のバトル!
何?あのカッコ良さ!

まずドデカい牛の星人牛鬼との対戦なんですが。
光学迷彩で透明になった巨大ロボが実態を現して登場!

パ、パ、パシフィックリムやん!
イェーガーやん!!!

もう僕は鼻をフガフガさせて興奮しましたね!

で、引き続きラスボスのぬらりひょんとの対戦に入るのですが、
3段変形フリーザを超える5段変形のぬらりひょんのラスボス感は絶望すら感じさせます。
映像になったらこんだけ凄いのか...と口をあんぐり開けて岡vsぬらりひょんを観てました。

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ここから、東京チームvsぬらりひょんへと進むのですが、正直その臨場感と興奮は原作越えしてるんじゃないかなぁ。

普通原作ファンにここまでは言わせれませんよ。
特にバトル漫画は瞬間瞬間を切り取って描くことで迫力を伝えているので、それが映像になっちゃうと、
あ...こんな感じになっちゃうのね...という感想を持つ事が殆どです。

原作は何度も読み返すのにアニメは1回観たらそれでいいやってなっちゃいます。
でも今作は、
うわ!凄え!
こんな感じになるんだぁ

と興奮と感心の連続という感じで、実は僕もう既に5回も観てます。
おそらくあと5回以上は観るでしょう。

これだけのバトル映画は実写、アニメ全て含めてもあまりないんじゃないかなぁ...


だから好きだと言って 天使になって

そして笑ってもう一度

ここまでベタ褒めしてる僕ですが、初回観るのに結構な躊躇がありました。
それはかなり昔に同じ様なCGアニメでFFが映画化され劇場に行ったんですよ。
そしたら、なんか...ねぇ?
スタートボタン押すまでのデモ映像をずっと見せられてるような。
寝ました。
グーグー寝ました。

そしてもう一つ例の実写版です。
国民的アイドルグループの彼が主演を務めたあれです。
なんかこれGANTZじゃないなぁって。
コスプレショーだなって。
駄作とまでは言わないけど、正直あんまり覚えてないんですよ。
夏菜のおしりが最高だったな...ぐらいしか。

この2つの記憶が躊躇させてたんですが、今作を観て

あ!僕が観たかったGANTZってこれだったんだ

と確信しました。

で、思いました。
このチームならあれもこれも甦らせれるんじゃないの?
ほら、ドラゴン〇ッドもデビ〇マンも進撃の〇人もテラ〇ォーマーズも、と。


それだけの優秀な作品なんだから、さぞ劇場は大盛り上がりだっただろうと
地元の映画好きさんに聴いてみました。
すると、

「面白かったけど劇場はガラガラやった」

との答え。
え?え?え?大阪チームしょっぼいのぉとなり、東京にも聴きました

「凄く面白かった!そこそこ客も入ってた」

との答え。

東京チーム最高やんけ!

ということで、原作ファンの僕を虜にし、原作未読の東京の方も絶賛していた
GANTZ:O、興味あまりないなぁという方も是非観て下さい。

興奮度だけで言えば「君の名は。」越えしてますんで。

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追伸、奥浩哉様「いぬやしき」を映画化する際も是非同じ方式同じチームで創って下さい。
でも「め~てるの気持ち」を映画化する際は実写R‐18でお願いします。

最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・パシフィックリム
・バトルシップ
・ブレイドシリーズ

www.anomaly3-movie.com