数多くの映画を観て今では渋~い作品を好むようになった人達も、映画好きの入口を開けたのはきっとエンタメ映画だろう。
僕もそうだ。
バックトゥザフューチャーやグーニーズ、そしてゴーストバスターズ。
幼き少年が観たゴーストバスターズは
アメリカって国は凄えなぁ!
と素直に感動させた。
それだけに思い入れが深く、下手にリメイクなどしてくれるな!
アンタッチャブルムービーだぞ!
と怒り恐れていたが、
創ってしまったものは仕方がない…思いっきり罵倒するつもりで鑑賞してみたのです。
2016/アメリカ
監督:ポール・フェイグ
出演:クリテンウィグ、メリッサマッカーシー、ケイトマッキノン、レスリージョーンズ、クリスヘムズワース、アンディガルシア、ほか
上映時間:116分
87点
ざっくりあらすじ
かつてゴーストオタクだった現物理学者のエリンは、その昔旧友アビーと霊現象本を共同執筆した事があるという過去が問題視され、大学をクビになる。
その事で文句を言いにアビーの元に訪ねると、アビーは今なお霊現象を研究していた。
文句を言いに来たはずのエリンだったが、いつのまにやら流れでアビーとその仲間ホルツマンと共に幽霊退治の会社を起業することに。
そこに新たな仲間パティも加わり、女4人のゴーストバスターズがここに結成された。
Who you gonna call?
Ghostbusters!
コレよくない? よくないコレ?
よくなくなくなくなくセイ イエーッ!
残念ながら贋作です...
まぁ、ご家庭で楽しむ分には問題ないので大事になさって下さい。
なんでも鑑〇団の着物のおっさんのように言ってやるつもりでした。
しかしいざ鑑賞してみたら
ゴーストバスターズ真作に間違いございません!
いや~いい仕事してますねぇ~
とこれまた着物のおっさんのセリフが飛び出す程の傑作!
間違いなくゴーストバスターズでした。
今作はまだ新作なので細かなあらすじ、ネタバレを書くつもりはありませんが
大まかなプロットは旧作と同じ。
怪奇現象を見せる所から始まる→メンバーが訪れ怪奇現象を体験→メンバーが大学をクビになる→3人で会社(ゴーストバスターズ)を起業→後に1人加わり4人となる→NYで評判の存在となる→ラスボス登場でNYが大ピンチ→ゴーストバスターズの出番。
全く同じ流れです!
しかしこれがただのトレースではないのです。
線は同じでも、細部の描きこみ、大胆な着色、背景のアレンジをすることで全く新しい絵になってます!
それが1番分かり易いのはやはり男性4人が女性4人になっていること。
役割分担で言えば
ピーター(ビルマーレイ)→エリン(クリステン)
レイモンド(ダンエイクロイド)→アビー(メリッサ)
イゴン(ハロルドライミス)→ホルツマン(ケイト)
ウィンストン(アーニーハドソン)→パティ(レスリー)
ルイス(リックモラニス)+ジャニーン(アニーポッツ)→ケヴィン(クリヘム)
といった感じでしょう。
しかしこれはあくまで主役、準主役、といった役割が同じというだけで、各々のキャラクターは全く違います。
正直僕が1番懸念してたのがそこです。
オリジナルのあの4人のキャラクターにはどんなキャスティングをしてもかすむだろうと。
と・こ・ろ・が、
全く負けていない!
4人が4人とも超魅力的なのです。
特にホルツマン!
彼女は新旧あわせても1番魅力的なキャラじゃないですか?
メンバーそれぞれに見せ場が用意されてますが、明らかにホルツマンの見せ場が断トツにカッコいい!
絶対監督もホルツマンいいよなぁ...よし!ホルツマン推しで行こう!となったに違いありません。
個人的には彼女の2丁拳銃のシーンは今年鑑賞した映画の中で、1番上がったシーンでした。
ホルツマン最高!
そう...感じざるを得ません byあばれる君
正義役だけが良くても悪役がショボければこの映画は成立しません。
ゴーストバスターズなんですから、やっぱゴーストが魅力的でないと。
これがねぇ...いいんですよ!
NYに溢れかえるゴーストパニックは正直オリジナル越えしてるでしょ。
やべぇ!NYやべぇ!
と感じさせるに十分な造形のゴーストたち。
ただ、正直ラスボスに関して言えばオリジナルに比べてかなりキャラが弱いです。
しかし変身後の迫力はかなりイケてます!
まさか、あのキャラを使うとはね。
素晴らしかったのはキャラだけではありません。
ストーリー展開のテンポの良さ、起承転結の分かり易さ、音楽の使い方、全てが一流の仕事をしています。
そして何と言ってもオリジナルに対するリスペクトの強さ。
それは至る所に感じます。
オリジナルメンバーのカメオ出演にはじまり、あ!これはというところが盛り沢山。
しかもそれは物語に支障のないところに散りばめられているので、オリジナルを知らない人でも十分楽しめます。
知ってればより楽しめますよ!という使い方をしてる所が素晴らしいですね。
そんな時代もあったねと いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと いつか笑って話せるわ
さてさてこれだけ褒めちぎったリブートゴーストバスターズ、オリジナル越えは果たしたのか?
タイトルにした優劣を考えるというやつです。
オリジナル愛の深い人ほどやっぱオリジナルには及ばないねぇ...となるでしょう。
そこで僕は漫画「美味しんぼ」のあるエピソードを思い出しました。
天ぷら屋の二代目が伝説の初代と同じくらい実力があるにも関わらず、客足は遠のいていくという話。
実際の実力は追いついていても、初代と並ぶくらいではその威厳が並んだとは客に認めさせない。
圧倒的に超える何かが必要という。
結果付け合わせのお漬物を飛躍的に美味くする事で客足が戻るというオチです。
では今作におけるお漬物は何か?
ずばりクリヘム演じるケヴィン!
彼は旧作のルイスとジャニーン2人分の役割を背負ってますからね。
特にルイスを演じたリックモラニスは当時コメディ映画と言えばリックモラニスと言えるぐらいのボケのスペシャリスト。
相当なキャラでなくては見劣りが激しいでしょう。
ところがオリジナルをも超えるキャラクター。
最高に笑かせてくれます。
従来のクリヘムファンはどう思うかしれませんが、彼の振り切ったおバカ演技に
君は最高のお漬物だ!と大きな拍手を送りたいです。
じゃあ、結局リブートはオリジナル越えしたのね?
と言われたら、ちょっと待って。
数字の1と2を比べたら2の方が大きい、そんなのは幼稚園児でも分かる事。
でも大人は知ってるはずです。
0から1を創ることと1を2にすることでは労力が全く違う
ということ。
例えばメジャーリーガーとして活躍するイチロー。
誰もが認める存在です。
しかし彼の偉業は野茂英雄が切り開いた道の上に存在します。
実力で言えばイチローが上かも知れない。
でもどっちが凄い?となると決めあぐねます。
ゴーストバスターズもオリジナルの土台の上に今回のリブート版が存在します。
映像の進化やキャラのたて方、ストーリー展開その全てがオリジナルあってのもの。
おいそれとオリジナルを超えた!とは言えないなぁ...
そんな事をいえば、野茂の前には日本の野球を育てた王や長嶋がいて、いやいやそもそも野球を築いた誰々が...とキリがありません。
で、僕が出した結論はこうです。
それぞれの時代に生きた人が各々で勝手に決めればいい!
なんか逃げたような結論で申し訳ない。
ハッキリ言えば僕はオリジナルで育った人間だからやはりオリジナルが上だと言います。
でも今の人がリブート版の方が面白いよねと言っても、分かってねぇなぁとは思いません。
それだけのクオリティなんだから。
そのクオリティの高さはあの日の少年(現おっさん)に嬉し涙を流させました。
きっとこのリブート版もまた、どこかの誰かに映画好きの入口を開けさせるでしょう。
彼女たち4人がこれからのゴーストバスターズを引き継いでくれたのは非常に喜ばしい。
見事にバトンは渡された。
これからのゴーストバスターズは君たちに任せたよ。
僕は湾岸署を去った時の和久さんのような気持ちになったのでした。
そして僕は今作を観て気持ちに大きな変化が起こりました。
それはリメイクしてはいけない映画なんてないのかもしれないという事。
僕が1番好きな映画バックトゥザフューチャー(以下BTTF)
絶対にリメイクなんて許さない!
マイケルJフォックス以外がマーティを演じてはいけないし、クリストファーロイド以外はドクを演じてはいけない!
BTTFはアンタッチャブル!
そう考えてました。
あとレオンもスティングも羊たちの沈黙も...と沢山アンタッチャブル映画があったのですが、今作のような形で
プロットは同じだが全く違う作品として生まれ変わらせてくれたなら...
少し、ほんの少しだけ観たいかもしれないなぁ...(観たいとは言わないよ絶対)
追伸、今作はエンタメ映画でありお正月家族で観るのに丁度良いと思われてる方もいるでしょうが、主役の4人は中々の下衆ビッチなセリフを連発させます
「お父さん、スライムが色んな穴に入っちまったってどういう意味?」
と聞かれた時の返しぐらいは考えてからご鑑賞下さい。
最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・ゴーストバスターズ(オリジナル)
・ピッチパーフェクト
・メン・イン・ブラック