アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

「君の名は。」感想 拝啓 世界、 これがMade in Japanの底力だ

 

邦画には邦画の良さがある。
邦画好きの人がよく使う言葉で僕も使う。
何も映画はエンタメってれば良いって訳じゃないし、地味でも素晴らしい映画は沢山ある。

邦画には日本人にしか表現出来ない情緒というものがあるんだ。
でもそう言いながらも、どこかで少し引け目を感じてる自分がいた。

体格の小柄な日本人が技で勝負しているような…
有無を言わせぬ圧倒的な力を見せつけてやりたい。

おい、世界聞いてるか?

黒澤、宮崎に続く新たな牙を日本は手にしたぞ!

尚、今回は現在公開中の映画の為ネタバレなしでお届けします。

2016/日本
監督:新海誠
出演(声):神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、ほか
上映時間:107分

f:id:hagane-mk:20161029123211j:image94点

ざっくりあらすじ

東京に住むどこにでもいそうな少年 立花瀧
田舎に住み都会に憧れる少女 宮水三葉
彼は(彼女は)奇妙な夢を見る。
瀧は少女の姿になり田舎にいる。
三葉は憧れていた東京に住む少年になっている。
その夢は1日だけではなく定期的におとずれる。
そして夢から覚めると、身に覚えのない行動を周りから指摘される。
2人にその記憶はないが、明らかな物証が示す。
これは夢ではない、現実だ。
互いの入れ替わりを自覚した2人は自分達の生活を乱さぬ様にルールをつくる。
それでも性別や性格の異なる2人、どうしても互いの生活は乱されていく。
乱されながらも他人の人生を楽しむ2人。
しかしこの男女の入れ替わりは互いの生活を乱す...それだけでは済まされない大きな事件へと繋がっていく。

 

好きになって よかった
初めてそう思った

新海誠、彼の映画に対する今までの印象は

・写実的に綺麗な背景を魅せたい人なんだな
・光と影の描写にこだわりがあるんだな
・分かる様な分からない様な素敵っぽい言葉を並べたいんだな
・まず世界がありきでそこに人を配置したいんだな
・純文学?アート?そっちよりの人だな

まぁ総合的に短的に言うと

輪郭のハッキリしねえ映画ばっか撮る奴だな!!!

でした。

鑑賞後、印象に残るのは背景や音楽で人やストーリーじゃなかった。
熱烈な新海誠ファンからすれば、はぁ?何言ってんだこいつ!てなもんでしょう。

知るか!僕はそう感じたんだ。

僕はハンバーグやオムライスが好きなお子ちゃまみたいなオッサンなんだ。
バックトゥーザフューチャーやダイハードみたいな分かりやすいエンタメ映画が大好きなんだ。

秒速5センチメートル?言の葉の庭?
ごめん、好きじゃねえわ。

で、今作…何があった新海誠!!

凄え面白いじゃないか!

メチャクチャ泣いたぞ!

輪郭がパキッと決まってんな!おい!

と言っても今までこだわりを捨ててる訳でもない。
背景はさらに綺麗になり、光と影の描写もこだわり尽くされてる。
聴こえてくる言葉も音も素敵だ。

でも鑑賞後残っているのは壮大なストーリーであり、瀧君、三葉、四葉、奥寺先輩、人、人、人!

もうムチャクチャエンターテイメントなのです。

これまで柔よく剛を制す的だった人がムキムキマッチョな剛も手に入れたみたいな
トキ的な人がラオウ的な力も手に入れてケンシロウになったみたいな
ごめん、なに言ってるかよくわかんないですね。

とにかく今作を観た後、新海監督これからの邦画をよろしくお願いしますという気持ちになったのでした。


新しい何かが俺の中で目覚める

世界は回る

 

この映画はこれまでになかった斬新なものか?と言われればそうではない。
恋愛
男女の入れ替わり
タイムリープ
隕石の衝突

それぞれ思い出す映画があるはずです。

恋に落ちた転校生はバックトゥザでアルマゲドン

そんな副題がついてもいいくらい、これまでのエンタメ映画の詰め合わせです。
しかしそれらの要素全てが新海誠というフィルターを通すことで全く新しい映画となっています。
とにかく面白いものを創りたい。
そんな気概がハッキリと感じられます。

ほのぼのしてワクワクしてドキドキしてハラハラしてホロホロと泣かされます。
1作の映画でこんなに感情を動かされる作品も珍しいです。
弁当屋で何を食べるか迷ったら幕ノ内弁当を買うように、どんな映画を観るか迷った時この映画を観れば必ず満たされるでしょう。

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そしてこの映画にはROCKを感じます。
それは言うまでもなくRADWINMPSの挿入歌の効果です。
もうあちこちで耳にする

君の前前前世から僕は君を探しはじめたよ♪

正直あれだけでしょ?
そう思ってたんですけど、全編に渡る全ての音楽がRADなんですね。
またその使いどころがいいんですよ。

うわ!あかんそこでその曲流されたら興奮してまう泣いてまうと卑怯なくらい映画の世界にハマりまくった曲が次々と。

新海作品てこんな感じでしたっけ?
そういや何かで山崎まさよしとか使ってたよなぁ...ぐらいの記憶しかないです。
邦楽を使っててもなんかシャレオツな使い方しやがってぐらいに思ってましたからね。
今回みたいにドストレートに曲をぶっこんできたのは凄く意外でした。
意外過ぎて素晴らし過ぎてサントラ欲っしい!てなりましたから。 

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)

と、まぁこんな感じで新しい新海ワールドは絵良し脚本良し音楽良しで文句の付けどころがないです。
(いままで散々文句言ってきたくせに)

この壮大なアニメ映画は初期ジブリ作品やAKIRA、サマーウォーズを初めて見た時の気持ち(純粋なアニメ映画ってこうだよな単純に面白いの追及だよなという気持ち)を思い出させてくれました。

黒澤明が亡くなり、宮崎駿が引退し、もう日本の映画は期待出来ないね...なんて言っている欧米人や映画は洋画しか観ませんって言ってる奴らの横っ面を貼り倒してこの映画を見せてやりたいです。

するとたぶん奴らは

日本はアニメと漫画の国じゃないか
とか言うでしょう。
そしたらもう1発喰らわして言ってやるのです。

いいか!アニメだろうが実写だろうが日本には想像力(創造力)があるんだよ!
ハリウッド!お前らの背中はもう見えてるぞ!

うちの新海誠が取りに行くからオスカー像を用意して待っておけ!と。

 

追伸、あれ?今回全然内容に触れてないけどこれで終わり?とお思いの方もいるでしょうね。
今回はとりあえず「君の名は。」の絵が描きてぇ!
面白かったって伝えてぇ!という思いだけで書かせて貰いました。
まだ劇場公開中だしね。
ネタバレ含むあらすじにそったレヴューはBlu-rayが出たら擦り切れるまで観てガッツリ書きます。
その時もまた読みに来て下さいね。     

新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド

新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド

最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・転校生
・時をかける少女(細田守版)
・天空の城ラピュタ