アノ映画日和

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「新しき世界」感想 控えめに言って韓国映画No.1!男も惚れるチョンチョン兄貴!

 

韓国映画で1番は?と問われれば「シュリ」
そう答えるようにしています。
韓国映画のレベルの高さを世界に知らしめ、僕を韓国映画沼に引きずりこんだ作品。
その功績を称えての1番です。

でもそういう面倒くさいこと全部取っ払って1番面白い韓国映画教えろよと問われれば...まぁ、今作でしょうね。

2013/韓国
監督:パク・フンジョン
出演:イジョンジェ、チェミンシク、ファンジョンミン、パクソンウン、ほか
上映時間:134分

f:id:hagane-mk:20180401002327j:image98点

ざっくりあらすじ

韓国最大の犯罪組織ゴールドムーンに潜入している刑事ジャソン。
8年もの潜入捜査の結果、彼はゴールドムーンの理事にまで昇り詰めていた。
そんなある日組織の会長が交通事故で急死。
組織は次なる会長を決める事となる。
その候補は切れ者の幹部ジュングと同じ幹部でジャソンの兄貴分であるチョンチョン。
こうして組織の後継者争いは始まる。
警察はこれに乗じ組織をコントロール下に置こうとする。
ジャソンを指揮する警察のカン課長はその作戦をこう名付けた
新世界プロジェクト


SI 俺達はいつでも2人で1つだった

地元じゃ負け知らず そうだろ 

いきなりですが、質問です。
兄貴と言えば誰ですか?
キョロキョロしない!あなたに聴いてるんです。
え?金本...ああ阪神のね、金本兄貴ね...じゃあ俳優だったら?
うん、哀川翔...なるほどね...

バカ野郎!!!

兄貴と言えばチョンチョン兄貴に決まってるだろ!

はい、と一括したところでね、今回はそのチョンチョン兄貴が活躍する新しき世界です。

ざっくりあらすじを読んで同じ潜入捜査映画の傑作「インファナルアフェア」を思い浮かべた方もいるでしょう。
設定こそ似ていますがあちらが刑事側の視点で描いてるのに対し、今作は完全に暴力団側の視点で描かれています。

どちらも超のつく傑作ですが、僕は今作をひとつ上に位置付けています。
その差とは、あちらにはチョンチョン兄貴がいないからです。
この差はデカいです。

チョンチョン兄貴がいかに魅力的な兄貴か、今回はチョンチョン兄貴中心に物語を紹介します。

ネタバレ不可避となりますが、ネタバレされてもこの映画は確実に面白いので良ければ先にお進み下さい。


チョンチョン兄貴は韓国最大暴力団の幹部でありながら、出身は中国いわゆる華僑です。
そして潜入捜査官ジャソンも華僑。
それもあってか兄貴はジャソンをブラザーと呼び溺愛しています。

兄貴の初登場は空港にジャソンが迎えに来たところ。
真っ白なジャケットにティアドロップのサングラス、足元はスリッパでご登場
クソダサです

言葉遣いも荒くチンピラの様に軽いノリ、本当に幹部?
移動中、ジャソンにお土産だと腕時計をプレゼントを渡しますが、
偽物じゃないですか...要りませんよこんなもの
と突き返され拗ねます。

荒っぽいですがこの辺に可愛さが感じられます。
そしてこのやり取りでジャソンとチョンチョン兄貴は上下関係を超えた互いに遠慮のない兄弟関係であることが分ります。

で、まぁ会長の葬儀も終わり、次期会長決めの会議になります。
ここでチョンチョンとジュング2人の幹部がいかに仲が悪いか描かれます。
特にジュングは華僑であるチョンチョンを見下しており、露骨なくらいボロクソな言い方。
次の会長は2人のうちどっちか?て事なんだから犬猿の仲も仕方ないんですがね。

ちなみにそのジュング演じるパクソンウ、誰かに似てるなぁと思ったら皆からもあの人に似てる似てる言われてるみたいですね。

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近づきたいよ 君の理想に
おとなしくなれない
can't you keep a secret?

一方、ジャソンはカン課長と今後の話し合いをします。
ジャソンはもう警察に戻りたくて仕方ないのです。
理由のひとつはチョンチョンがジャソンを愛するのと同じように、ジャソンもまたチョンチョンを愛してるから。

そこ、変な意味で捉えない!わかるけど!

そして警察の犬であることがバレた時どんな目にあうか、ジャソンは痛い程よく知っているからです。

この描写は冒頭で見せつけられるのですが、もうあっさり殺してくれえと言いたくなるぐらいむごい。
これを8年もやって来たんだから、そりゃ神経持たないですよ。

そんなジャソンの嘆願は当然却下、それどころかカン課長はこの後継者争いを利用してやろうとチョンチョン、ジュング両幹部に接触。
2人の仲の悪さにバーナーで燃やすくらい火を点けまくります。

しかも二人の弱みを握り警察に協力しろと言うわ、反発するジュングを逮捕するは、垂れ込んだのはチョンチョンと嘘までつくはの卑怯のオンパレードなやり方。

もう何が正義で何が悪やら...

チョンチョン兄貴もご立腹で中国の凄腕ハッカーに依頼し、カン課長の全てを調べさせます。
そこで手にした資料がとんでもないもので。

ジャソンは兄貴に呼び出され港の倉庫に。
兄貴に見ろよと資料を渡されます。
それは潜入捜査官の資料...

ジャソンの心臓の音が聴こえるくらいの緊迫感

で、ドラム缶を見ろと言われ覗くとジャソンと交流のある囲碁の師範であり刑事でもある女性が瀕死の状態で入れられています。

知ってたか?そいつ警察の犬だったんだぜ?
無言のジャソン
おい、資料の次のページ見ろよ犬はこいつだけじゃなかったんだ。
まさかこんな近くに犬がいるとはよ...

汗、汗、汗、

もう僕は出来る事なら心臓を止めてしまいたい程バックバックです。

するとジャソンのすぐ横の部下がスコップで殴り殺されます。
そうジャソンも知らない捜査官は他にもいたのです。

あの愛嬌があってユーモア溢れるチョンチョン兄貴もやはりヤクザ。
組織への忠義と裏切り者への処罰はさすが幹部。
これまでとのギャップもあり余計に恐さが引き立ちます。

これ以上苦しめるよりもという思いと、自身の潔白を証明する様にジャソンは囲碁の先生を銃で撃ち殺しこの場は片付きます。

なぜジャソンだけがバレてない?
そんな訳ないですよね、チョンチョン兄貴。

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新しい日々をつなぐのは 新しい君と僕なのさ
僕等なぜか確かめ合う
世界じゃそれを愛と呼ぶんだぜ

さて、カン課長の思惑通り激化する組織の後継者争い。
ジュングはついにチョンチョン殺害に乗り出します。
地下駐車場で兄貴を待ち構えていたジュング組の連中。
手には包丁やらバットやら

銃?韓国映画のバトルに銃はありませんよ。
常識ですよ。

必死に攻防しながらエレベーターに乗り込む兄貴。
そこにもジュング組の連中。

エレベーターは戦場。
これも韓国映画の常識ですね。

包丁でメッタ刺しにされながらも、ブルースリーの様に手をクイクイしながら
来いよ...と応戦する兄貴。

チョンチョン兄貴ー!!!

誰もが絶叫するシーンです。

瀕死の兄貴は病院に、そこに駆け付けるジャソン

「どうした?ブラザー?苦しんでそうだな?」
「兄貴の言う事は聞くもんだぜ、そろそろお前の生きる道を選べ」
「俺が死んだら金庫を開けろ...もう眠い...さぁ行け...」

チョンチョン兄貴ー!!!

あ、すいません。
これは僕の2度目の絶叫でジャソンは無言で堪えてました。

ごめんなさいね、最大級のネタバレかまして。
で、葬儀のあと金庫を開けると

ジャソンの刑事としての履歴書が...

やっぱり、兄貴は知っていたのです。
そして資料と共に置かれていた物、それは前回とはまた別の偽物のロレックスの時計。

チョンチョン兄貴ー!!!

うるさい?すみません、でもこんなの粋すぎて叫ばずにはいられませんよ。

この映画、刑事も暴力団も卑怯で恐くて汚らしく描かれていますが
それ故に兄貴とジャソンの関係だけがピュアで美しく引き立てられます。
この関係は何愛と呼べばいいのでしょう。
兄弟愛という枠には収まらないもっと崇高で特別な感情を感じますが、それに対する適当な言葉が僕には見つからないのです。

さぁ、これをうけてジャソンどうする?
お前はどの道を選ぶ?

ここからがジャソンの見せ場で最高に映画が盛り上がるのですが、チョンチョン兄貴がもういないので僕の映画紹介もここまでです。
未見で続きが気になる方は是非ご自身でご確認下さい。

でもこれだけはハッキリ言っときます。

この映画を観て何も感じないなら、あなたに韓国映画は向いていない。
これ以上の韓国映画など今のところ存在しないのだから(私見)

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追伸:このラストカット最高すぎますよね。
映画史上最も素晴らしいラストカットに贈る賞があるなら
BTTF、ユージュアルサスペクツ、セブンなどと並びエントリーされることは間違いないでしょう(これまた私見)

新しき世界 [Blu-ray]

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最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・インファナルアフェア
・フェイク
・傷だらけのふたり