アノ映画日和

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「オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主」 感想 さよなら英雄

 

2016年6月19日、アントン・イェルチンという俳優が事故で亡くなりました。
最初にそのニュースを知ったとき、27歳か、若いのに…ぐらいの感覚でした。
でもニュースの写真を見たときに、凄く見覚えのある顔だな…何の映画に出てたんだろう?と気にはなっていました。

そして思い出せないまま、つい先日偶然この映画を再鑑賞しました。
登場シーンでようやく気付きました。

そうか…亡くなったのは彼だったのか。

今回は彼の出演作で僕が最も好きな作品、オッドトーマスです。

 

2013/アメリカ
監督:スティーヴン・ソマーズ
出演:アントンイェルチン、アディソンティムリン、ウィレムデフォー
上映時間:96分f:id:hagane-mk:20160629004232j:image

70点

 ざっくりあらすじ

 

オッド(奇妙)トーマスという名を持つ青年は、その名のごとく沢山の奇妙な能力を持っていた。死者が見える、ボダッハ(死神)が見える、予知夢を見るというものだ。ある日、街で大量のボダッハを目撃する。ボダッハは暴力的で凄惨な死を好む特徴を持つ事から街に危険が迫っている事を知る。彼は自身の能力を使って街を救おうと決意する。


変なお~じさん んだか~ら 変なお~じさん

映画でも漫画でも霊が見える主人公というのは誰からも理解されずコミュ障で孤独に生きているというのが定番です。
ところがこのオッドトーマス、警察署長にはその能力を認められているし、メチャクチヤ美人の彼女までいる。おまけに喧嘩も強い...

なんだこのハイスペック リア充能力者?イケすかねえ野郎だな!

とヒガミ根性細胞が活発な僕は映画開始早々思いました。
ただ顔がそこまでイケメンではなく普メンだったので、停止ボタンは押さずにまぁ観てやるかと上から目線で鑑賞継続。

開始15分ほどで、How to Odd Thomasって感じに能力とキャラクターの説明をチャチャっと終わらせてしまいます。
僕はこの辺にだらだらと時間をかける映画は好きじゃないので、これにはかなり好印象です。

で、さっそく映画の本題に入って行くのですが、彼の務めるダイナーに変な男が来店します。どう変かと言うと、ビートルジュースとかメンインブラックのゴキブリ星人的な変なおじさんです。
そいつにボダッハが大量に取りついているので、こいつは何かどえらい事をやらかすぞとオッドは思うのです。
ちなみにボダッハに見えていることを感ずかれると殺されてしまうらしく、見えてるけど見えてないよ~て感じの描写がなんとなくツボでした。

それであの変なおじさんやばいよーと署長に告げ口してマークしてもらうのですが、なかなかシッポをつかませないので、オッド自身が家に不法侵入したり独自捜査に乗り込みます。

普通の映画ならまず警察にあのおじさんが...て事を理解してもらうのに難儀するのですが、最初から署長に能力を理解して貰ってる設定なのでかなりロスタイムを削減出来ました。およそ20分短縮成功です。

独自捜査で変なおじさんの事がだんだん解かってくるのですが、向こうもこちらの事に感づき色々危険な目に遭います。彼女まで危険な目に遭わせ、いよいよこいつはやばいぞって事になるんですが、突然オッドの自宅に変なおじさんの死体が放置されてるのを発見します。

あれれ~?という事はこいつは真犯人じゃねえぞ!て事であわわってなります。
そういえば自分以外変なおじさんを目撃してないぞ...自分が見てた変なおじさんは途中からは霊体を見てたんだ!という事に気づきます。
そして真犯人の罠にハマりそうになってるのです。
こいつは霊能力者としては優秀ですが、探偵としてはボンクラです。

六神ー合体ー!ゴッドマーズ強い力で ゴッドマーズ地球を救え

とりあえず死体がみつかったら自分が犯人にされちゃうので死体を隠します。
不法侵入するは死体遺棄するはで行動は完全に犯罪者です。

迷探偵オッドくんはこれまでを振り返り、そして予知夢の力も使いようやく真相と真犯人に辿り着きます。
思えば映画開始から1時間、オッドくんの勝手な勘違いと行動でドタバタしてただけでどこが奇妙な救世主やねん!て感じでしたが、ここからラストまで救世主として覚醒します。

真犯人の正体とその犯行目的と行動はかなりゾクっときます。
それにともなって超増殖するボダッハの映像はかなり絵力があります。
そしてこれを鑑賞した人の殆どが語るラスト。
恥ずかしい話、僕は目からファンタが溢れ出してシュワシュワしてしまいました。

と、まぁストーリー的にも映像的にもなかなか優秀な映画ではありますが、実は色んな映画の良いトコ取りの寄せ集め映画だったりします。
シックスセンスだったり、ゴーストだったり、80’s青春グラフティ映画だったり。
要はスーパー戦隊モノの合体ロボみたいな映画です。

この映画だけではなくそんな映画は沢山あります。
でも大体は手足が短かったり長すぎたりの不格好な合体ロボになることが多いです。
それらと比べこの映画は非常にバランスが上手くとれています。
オリジナリティを出すのが難しくなってきた昨今、この様な映画創りの方法もありだな!と僕は思うのでした。

千の風に、千の風になって 
冒頭に語ったとおり残念ながら主演のアントン・イェルチンは不幸な事故によりこの世を去りました。
仮にオッドトーマスの続編が創られたとしても、その姿は彼ではないのです。
それを思うとまた目からファンタグレープが溢れそうですが、それは蓋をしておきます。
そしてこんな素敵な映画を観せてくれた事に感謝の意を込め、この映画の冒頭シーンに死んでしまった少女へ彼が送った優しい言葉をそのまま彼に送りたいと思います。

かわいそうに...短い人生だったね
でも心配ないよ、君がこれから行くのは
魂の家で、優しさと驚きが溢れている所だ。

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R.I.P. Anton Yelchin

最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・シックスセンス
・ゴースト ニューヨークの幻
・コンスタンティン

www.anomaly3-movie.com