あまり良く知らない人と映画の話になったとする。
その時にこの映画を相手が出してきたら
ムム...こやつあなどれないぞ!となる。
地上波のゴールデンタイムに放送して祭化する映画ではない。
TSUTAYAに何十本も置かれている映画でもない。
しかし観た人は面白いと口を揃えていう映画、
それがバタフライエフェクトという大傑作だから。
2004/アメリカ
監督:エリック・ブレス、J・マッキー・グラバー
出演:アシュトンカッチャー、エイミースマート、エリックストルツ、ほか
上映時間:114分
92点
ざっくりあらすじ
時折、記憶を失ってしまう障害を持つ少年エヴァン。
彼はその治療の一環として7歳の頃から欠かさず日記を付けていた。
人生における大事な場面の記憶を欠落したまま大学生となったエヴァン。
彼はふとその日記を読み返してみる。
次の瞬間、彼は欠落した過去の中にいた。
そして忘れていた、ある少女との約束を思い出す。
幼馴染ケイリーと交わした約束
「必ず君を迎えに来る」
その約束を果たせなかった事で現在のケイリーは不幸な人生を歩んでいる。
エヴァンは決意する。
過去に帰り、彼女との約束を果たす事を、そして彼女を救う事を。
しかし彼は知らなかった...それがあまりに危険な蝶の羽ばたきである事を。
Butterfly 今日は今までの どんな時より素晴らしい
バタフライエフェクトとは
ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こす
という気象学者の言葉から由来している理論です。
些細な出来事も、徐々に影響を与えていき最終的には大きな現象の引き金になりかねないという考え方です。
まぁ、平たく言えば「風が吹けば桶屋が儲かる」という日本のことわざと同じです。
この映画はそれを題材としたSFサスペンス。
過去でのちょっとした行動が未来に大きな影響を及ぼすというのを大げさに描いています。
面白いのは自由にいつどこに戻れるか操れるのではなく、過去欠落した記憶の場面にしか戻れないってところ。
過去というパズルで欠けたピースは未来の自分が持っていた。
しかしハメ方を間違えて帰ってくるとパズルそのものがとんでもない絵に変わってしまうという。
とまぁ、ちょっと説明すれば面白そうと思って貰えること間違いなしの映画なんです。
でも映画は好きだけど、そんなに観る方ではないかな…ぐらいの人が偶然漂流して手に取るような映画ではないのです。
冒頭で書いたこともそう。
さらに言うなら主演のアシュトンカッチャーは一般的には有名な俳優じゃないし、予算をかけた派手な映画でもない。
そしてパッケージジャケがクソダサい。
誰か映画好きの人に勧められたか、映画雑誌かなんかで読んだか、とにかく面白い映画を探し求めてる人にしか辿り着けない映画なんじゃないかな?
え?もちろんもっとマニアックな映画はありますよ。
でもそういうのとはちょっと違うんですよね…ほら、コウモリの肉食ったことあるよって人をグルメとは言わないじゃないですか?
Hey Hey Hey Mr. Angryman
聞かせておくれよ気持ちふるわせる歌を
未見者にはなるべく情報を持たずに観て欲しいから、こんなブログ読んでる暇あったらサッサとTSUTAYAに借りに行けって感じだし、鑑賞済みの方に今さらあらすじ説明してもな…
そうだ!この映画が映画史上最も切ないハッピーエンドって言われてる話でもしましょうか。
その言葉通り素晴らしいラストですよね。
いく通りの結末を経験したエヴァンが最終的に選んだ結末とは…うん、あれしかないですよね。
またあのラストにoasisの曲がマッチしてるんですよ。
目にも耳にも最高です!
なのに!なのにですよ!
あのオマケ特典の別エンディング、あれ何ですか?あれいる?
映画の終わり方は最も重要な監督の決断です。
それを、こんなエンディングパターンもあったんだよとか、
腹をくくれてないというかやってる事がミミチィ!
特にこの映画は選択と決断が重要な鍵となる映画です。
どう考えてもあの特典映像はない!
蛇足も蛇足、大蛇足!何本足描いとんねん!
誰か監督に会ったら僕が怒ってたと伝えといて下さい!
人の不幸は大好きサ 人の不幸は大好きサ
あの娘が奴と別れた時も俺はニヤッと笑っちまった
悪いところを書いて未見者の観る気を失くしちゃったかな…?
良いとこを書きましょう!
それはエヴァンの過去の行動から帰って来た時の振り幅のデカさ!
この映画の重要な過去の運命ポイントは下記の3つ+α
・ケイリーの変態親父が2人のポルノを撮ろうとするとこ
・ケイリー含む幼馴染たちとダイナマイトでイタズラするとこ
・ケイリーの兄貴がエヴァンの愛犬を殺そうとするとこ
冒頭にこれらの場面が時系列通り流れます。
しかしエヴァンの記憶障害の為に、観てる僕たち鑑賞者には何が起こったのか分かりません。
それが過去に行きその欠けたピースを埋めてくれることで
あ、なるほどな…ていう仕組み。
しかし、いざ現在に戻って来た時の展開がトンデモ展開の連発。
そないに酷いことになるかね?
こいつ助けたらあいつが死ぬし、あいつ助けたら自分がえらい事になるし…
エヴァンはタイムリープ映画史上最も不運な主人公じゃないでしょうか。
監督が意地悪なのか、脚本家が意地悪なのか、ありとあらゆる不幸を経験していくエヴァン。
しかしトンデモ展開でありながら、一応ちゃんと理屈が通ってるところが素晴らしい。
過去から戻って来た時に、書き換えられた人生をフラッシュ的に見せるのですが、
あ、あれがああなってこうなって今のこの状況なのねという具合で分かり易いです。
そして自分含め周りの人達に大きな影響を与えていますが、それ以外の人には影響を及ぼさないという所も分かり易くて良いです。
戻って来たら街がスラム化してて、かつての不良がカジノオーナーとして街に君臨していたなんて事にはなりません。
風呂敷を広げ過ぎず、きちんと畳み切れるサイズで物語を進行させたのもこの映画を傑作にした一つの要因でしょう。
ただ個人的に少し残念なのは同じ過去に数回戻れるところ。
一度埋めた過去にはもう二度と戻れないとした方がより物語に緊張感が出ていい気がするのですが、もう十分縛りに縛られた映画ですからそこくらいは大目にみましょうかね。
と、いうことで今回はタイムリープ映画の傑作バタフライエフェクトを紹介しました。
こんなブログを読みに来るくらい映画好きの皆さんですからとっくに鑑賞済みの事だと思われますが...
え?まだ?実は?観ていない?
この傑作を?
マジっすか?それで映画好きとかよく言えましたね!?
なんてことは言いません。
映画なんて娯楽ですから、〇〇を観ずして映画は語れないなんて事はありません。
好きな映画を好きなタイミングで観れば良いんです。
誰にだって守備範囲はあるし、僕にも有名作だけど実はまだ...という映画はあります。
でもなんとなく多くの方と映画の話しをしてきて
あ、この人は映画が好きなんだな
あ、この人はそんなに映画を観ない人なんだな
というボーダーラインにこの映画がいる気がするんです。
ほら、武道の達人が構えを見ただけで、
こ...こいつ出来る!
て言ったりするじゃないですか?
あんな感じです。
て、僕は達人でもないし武道なんてやった事もないんですけどね。
ま、これは自分の中だけの統計で説得力も何もないんですけどもう一度言っときます。
この映画は映画好きとそれ以外の人を分ける!
あざっした。
追伸、この映画を観てるからって通ぶって未見者に熱く語ったりするとウザがられて、気が付いたら最近飲み会に誘われなくなったな...なんて事にならない様ご注意下さい。
そないに通ぶれる映画ではないですから...
バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2005/10/21
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最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・ミッション8ミニッツ
・プリデスティネーション
・デジャヴ