アノ映画日和

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「きみがぼくを見つけた日」 感想 愛を永遠と呼ぶために

 

タイムトラベルとラブストーリーは相性が良い。

なぜか?
それは時間とは恒常的なもので恋愛とは変動的なもの、それを逆転させる。
つまり時間は変わっても人の気持ちは変わらない、そんなロマンスを生みだすから。
現実では残念ながら、時は一方通行で人の気持ちなんて移ろいやすい。
だから、映画くらいは...ね、そんなお話。
 
2009/アメリカ
監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演:レイチェルマクアダムス、エリックバナ、ほか
上映時間:110分
 
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75点

ざっくりあらすじ

タイムトラベル障害に悩むヘンリー。
その前にある女性が現れる。
会ったこともないその女性はこう告げる
「私はあなたを6歳の頃から知っている...あなたと会える日を待っていたの」
彼女の名はクレア。
これはタイムトラベラーヘンリーとそれを知るクレアの物語。
 
Uh〜時間旅行はいかが、いかがなもの?
まずこのタイムトラベル映画(最近はタイムリープと呼ぶのが主流だがこの映画ではあえて)の面白いところはタイムトラベルが科学技術や特殊能力ではなく時間障害という病気という設定。
病気であるからいつどんなタイミングで過去、未来、どの場所に行くかどれだけ滞在してしまうのか全くコントロール出来ない。
自身の人生にゆかりのある時と場所へランダムに運ばれてしまう。
しかも何も持って行けず、服さえも置いてかれるのでタイムトラベル先ではいつもまっ裸。
こうなってくると羨ましいどころかヘンリーに同情すら湧いてくる。
その時間障害に苦悩するヘンリーの人生を一変させるのがクレア。
 
クレアは6歳の頃から自分を知るという。
ヘンリーにとっては初めての出会いだが彼女にとっては昔からの親友であり、恋い焦がれる彼との再会なんですね。クレアは言います、私の知っているあなたより若いと。いつも草原に現れるあなたはもっと年配だったわ。つまり彼はこの出会いから先、幼きクレアのもとへ何度も足を運ぶことになるのです。
 
はい!未見の方はここまで!ここから先はネタバレあるから観てからまた来てね。
 
あの日あの時あの場所できみに会えなかったら
と、ここまでタイムトラベルとそれを知る女性というわりかしSFチックな話しをしてきましたが、今作はあくまでラブストーリーが主軸です。
もちろんヘンリーとクレアのです。
ラブストーリーが太くたくましい幹でありSFはそこから伸びる枝葉であり花です。
鑑賞後強く印象に残るのは2人の愛の絆です。
うぇ!僕が言うとなんか気持ち悪いですね。
まあ、だからタイムトラベルものでよく検証されるタイムパラドックスがどうのとか考えるのは野暮。
素直に絵本を読むように純粋な気持ちで見届ければ良いかと思います。
 
2人の道には思わずクスッと微笑んでしまうエピソードが沢山転がっています。
例えばプロポーズ、彼女は彼にNoを叩きつけます。
なぜならもう既にyesの答えを知ってる彼に意地悪をしたかったから。
例えば結婚式、式の直前彼はタイムトラベルで消えてしまいます。
困った所に登場するのが少し年老いたヘンリー。
本人の代役を本人がするというなんとも可愛いエピソードですよね。
周りはなんで白髪混じりなんだ?と不思議がりますが当然クレアは気づきます。
式が終わり戻ったヘンリーは彼女に式に出れなくてゴメンと謝りますが、
ちゃんと出てくれたわよ。重婚になっちゃったかもだけどね。
ここにはこんな僕でも素直に2人を祝福しました。
 
少しおかしな結婚生活それでも2人は幸せ。
そんな2人の前に突然重症負った未来のヘンリーが現れすぐ消えてしまいます。
いつか訪れる残酷な死へのタイムトラベルを予見させます。
 

2人寄り添って歩いて  永久の愛を形にして
いつまでも君の横で笑っていたくて 

不安を抱えつつも2人の生活は続きます。
そんなある日クレアは赤ちゃんを身ごもります。
2人は新しい家族の誕生を心待ちにしていました。
しかし、赤ちゃんは産まれることなく流産してしまいます。
どうしても子供の欲しいクレアだが身ごもる度に謎の流産をしてしまう...
ヘンリーは薄々気づいていたことを口にします
「子供に時間障害が遺伝してしまってるんだ...母体の赤ん坊はタイムトラベルに耐えることができない。僕は何度も未来へ行ったが自分の子供を見たことがない、子供は無理なんだ。これ以上はきみがもたない...子供は諦めよう」
諦めきれないクレアと止めるヘンリーいつしか2人の仲は険悪に。
ヘンリーはクレアを守る為、ある決断をしそれを実行します...パイプカットです。
 
バカバカバカ!何で何の相談もなしにそんなことを!
 
これにはクレアも僕もおかんむりです!
しかしクレアは数日後妙にご機嫌。
不思議がるヘンリーに彼女は彼に告げます。
妊娠したの!
!!!!!?????
クレアは過去からタイムトラベルしてきたパイプカット前の若いヘンリーと子供をつくったのです。
これは浮気にはならないわよね?と彼女、
う〜〜ん、微妙、これは微妙だぞ。
 
僕らの住むこの世界では旅に出る理由があり
誰もみな手をふってはしばし別れる
今度こそ無事産まれてくれ、そう願う日々を過ごすなか
突然ヘンリーは見知らぬ場所へタイムトラベルします。
そこに少女がかけより、
パパ!
彼女の名はアルバ、年齢は10歳。
ヘンリーとクレアの間に生まれた娘です。
アルバもやはりタイムトラベル能力を引き継いでいました。
しかも場所をコントロールできるという上位能力としてです。
互いに出会いを喜び話し込みます。
しかしアルバの過度な喜び、そしてずっと会いたかったという言葉にヘンリーは気づきます。
今のきみのそばに僕はいないんだね...
いつかの目の前に現れた重症を負った自分を思い出します。
 
大きな喜びと悲しみの2つを持ち帰ることになったヘンリー。
クレアには「アルバ...娘の名はアルバだよ」
喜びの情報だけを伝えます。
 
その後、無事娘は生まれ幸せの日々を過ごしますが、それは同時に死のタイムトラベルの日に近づいていくことも意味していました。
死の運命は回避できるのか?運命は変えられないのか?
念の為そこはふせておきます。
しかしこれだけは言わせて下さい。
僕にとってはあのラストは完璧であったとあれ以上のラストはなかったと。
 
この映画原題は「The Time Traveler's Wife」 
直訳すると時間旅行者の妻...う~ん妻目線だけの映画じゃないしな。
「きみがぼくを見つけた日」珍しく良い邦題だと思います。
きみが指すのが妻だけじゃなく娘も含まれてる気がして深いなぁ...なんて
きみがぼくを見つけた日 [Blu-ray]

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 さて今回も校長先生みたいな長話になってしまいました。

体調悪くした人はいませんか?
最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい映画を紹介して終わります。
 
・アバウトタイム
・イルマーレ
・きみに読む物語