映画に学びは求めません。
観ているうちに自然に学ぶ事はあっても、それ自体を目的としません。
映画は娯楽だから、まず楽しむことが1番。
だから、説教臭い映画やメッセージ色が強すぎる映画は苦手です。
さて、今回扱うこの映画、どうやら伝えたいことがあるようなのですが...
2016/アメリカ
監督:リッチ・ムーア、バイロン・ハワード
声優:ジェニファーグッドウィン、ジェイソンベイトマン、ほか
日本語吹替え声優:上戸彩、森川智之、三宅健太、竹内順子、高橋茂雄(サバンナ)、ほか
上映時間:108分
85点
ざっくりあらすじ
さなざまな動物たちが人間のように暮らす楽園「ズートピア」
ここは誰もが夢をかなえられる街。
夢を信じる新米警察官のウサギ(ジュディ)と夢を忘れた詐欺師のキツネ(ニック)
相性最悪の2人がなりゆきで、街を脅かす事件を解決するためにタッグを組む。
俺の!俺の!俺の話を聞け~~
え~っと、この映画の伝えたい事とは偏見や差別はいけないよ。
そしてそんなものに負けちゃいけないよ。
てなことです。
冒頭で語ったように、僕は「聞いてこのメッセージ!」てな説教臭い映画は苦手です。
だから、そんなことを主体に書くつもりはありません。
あなたも、誰かにこの映画を説明するのに、そんな分かりきったメッセージをドヤ顔で語るのは薄ら寒いのでやめましょう。
ディズニーが最優先していることもメッセージを伝える事ではありません。
なによりもまず楽しんで欲しい!
それがディズニーです。
結論から言うと僕はこの映画を思いっきり楽しみました。
お説教もこの様に夢とファンタジーでソフトコーティングしてくれると素直に聞けます。
終盤には、そうだよな...そうだよな、偏見や差別はいけないよな、と目をウルウルさせながら観ていました。
オイ〇〇!とおっさんに呼び付けられて聞かされるようなお説教映画とは全然違う訳です。
はちきれるほど My Dream
トランク1つだけで 浪漫飛行へ In The Sky
正直、なんか評判が良かったので借りてみましたが、
ケッ!こんな女、子供が観るような映画どうせ大した事ないだろ?てな感じで鑑賞スタート。
ところが再生ボタンを押したら最後!
You can't stop!ZOOTOPIA!
映画を構成する「脚本」と「世界観」と「キャラクター」
この3要素全てが素晴らしい!
「世界観」と「キャラクター」は言うまでもないでしょう。
動物たちだけの世界という箱を開けたらもう夢がいっぱい。
何?この愛くるしいキャラクターたち...
おっさんの僕ですらキュン死にしそうになったのですから
女性や子供の犠牲者が沢山出たでしょう。
もうそれだけで十分満足なのに、ストーリーがこれまた素晴らしい!
ぶっちゃけ超がつく程ベッタベタなんですけどね。
週刊少年ジャンプや朝ドラみたいな展開です。
でもそれは裏を返せば軸がしっかりしているということ。
簡単にいえば王道ということです。
ディズニーはずっとこのスタイル。
安心、安全のディズニーマーク!
中でも僕が最も感心させられたのはその詰め込み具合。
ざっくり展開を書くと
田舎町にウサギの少女がいる→
ウサギなのに都会の警察官になることを夢みている→
ウサギは警察学校に入学→
ウサギだから落ちこぼれる→
持ち前の努力と前向きな心で主席になり卒業→
警察官となる→
警察に入るがウサギという事でごまめ扱い→
詐欺師のキツネと出会う→
街で起こる事件に気づく→
キツネとウサギで事件に挑む→
てな感じです。
これでもだいぶ端折ってます。
普通これだけの世界観とキャラクターが用意出来たら、ストーリーは警察官になるまでで十分です。
警察学校で仲間にバカにされながらも頑張り続け、ついに警察官になってハッピーエンド。
小さなウサギだって夢を諦めなければ、何にだってなれるんだ!
もうそれで十分映画として成立してます。
でもこの映画はそこまでが導入部分でそこから先が本題です。
まるでモンスターズインクとモンスターズユニバーシティ2作を1本にした様な。
おいおい、あまりに詰め込み過ぎじゃないか?
たまに帰郷した時のおかんの様にこれも持って帰れ、あれも持って帰れともうカバンがパンパンになってしまいます。
普通これだけ詰め込むと無駄に上映時間が長くなるか、ストーリー説明のためにキャラクター描写がペラペラになります。
ところがこの映画はなってません。
どんだけ収納上手なんだ?となりますが、その秘訣は
ストーリー展開とキャラクター説明が同時進行でなされているからです。
そしてそこまで詰め込んでおきながら、ちょっとした隙間にも遊び心を入れて来るという徹底ぶり。
それでいて作品からスタッフの必死感は微塵も感じさせない。
それどころか余裕まで感じさせます。
やはりディズニーってところはプロフェッショナル集団なんですね。
愛を下さい oh…愛を下さい ZOO ZOO yeah
と、まぁここまでこの映画を褒めちぎってきましたけど、僕にはあれ?て思うところが何点かありました。
ひとつはこれだけどんな動物も仲良く暮らす街っていう設定なのに、住処が区分けされてることを強調するような描写が多いなってとこ。
なんか意味深なんだよな...
で、それに繋がるとこなんですが象は象で家族になり、ネズミはネズミで家族をつくってる。
え?こんだけ仲良かったら、異種同志で恋愛したり結婚したり家族作ったりしないの?
偏見や差別はほんとにないの?
う~ん、なんかモヤモヤするなぁ...
最後は言いがかりっぽいんですけど、肉食動物は肉食って言ってる段階で何かの肉食ってるんですよね?
それ何肉食べてるん?
昔、ジャングル大帝レオで森の仲間がレストランをオープンしたよって回で感じた疑問を久しぶりに思い出してしまいました。
肉食動物たちの食事シーンがないのでモヤモヤしてしまいますね。
お子さんと一緒に観る予定のお母さんは質問の答えを用意しておいて下さい。
うっかり「お魚だよ!」なんて答えると、後でファインディングドリーを観て子どもが大泣きする事になるので注意です。
どう思う?これから2人でやっていけると思う?
んんどうかな でもとりあえずは一緒にいたいと思ってるけど
まぁ些細な事でイチャモンつけたりしましたけど、僕はやっぱりこの映画が大好きです。
中でも主役のジュディと準主役のニック。
2人のバランスが良いですよね。
ジュディだけだとあまりにマジメでポジティブ過ぎて、僕みたいな捻くれ者は
なんか暑苦しくて嫌~いと敬遠しがちです。
そこにニックというズル賢い相棒の登場です。
ジュディはそんなニックを利用しますし、ニックはズル賢いクセにどうのこうのでジュディに協力的です。
なんだジュディってマジメなだけじゃなくて結構ズル賢いんじゃん!
ニックってズル賢いだけじゃなくて結構優しいんじゃん!
と、お互いの意外な一面を見せることで、親近感を持たせてくれます。
そして2人の絆は事件を通してドンドン深まっていきます。
それはもう友情を飛び越えて...
おっと、しゃべり過ぎるとこれから観る人の楽しみを奪ってしまいますね、危ない、危ない。
でもあとひとつだけ言わせて!
僕はジュディもニック他の動物たちもみんな好きなんですが、1番好きなのは
街を牛耳るマフィアのボスです。
何ですか?あのマフィアのくせにネズミって!
可愛すぎじゃないですか?
もう可愛すぎてイラストを描かずにはいられないじゃないですか!
ね?可愛いでしょ?
僕は普段どちらかといえばホラーとかサスペンス映画が好きで、ディズニーはちょっと...と守備範囲外だったんですが、
こんな愛らしい世界観とキャラクター達、そして素晴らしいストーリーを観せてくれて
僕はもう東(ディズニーのある方角)に向って膝をつき
ありがとう!ありがとう!夢の国!
と感謝をするのでした。
ちなみにこの映画を観た後、清くなりすぎた心を程よく汚す為に、
韓国ホラーサスペンス「チェイサー」を観ておきました。
世の中なんでもバランスってもんが大事ですね。
追伸、吹替え版の声、芸能人を使わずにちゃんとプロの声優を使え!という声をよく耳にしますが、これの吹替え版は凄く良かった。上戸彩もサバンナの高橋もハマってた。僕は吹替えの芸能人起用は人によってはアリでウィッシュ!
最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・ベイマックス
・モンスターズインク
・シュガーラッシュ