なるべくなら、優しく生きたい。
そう思います。
でも、
いつでも誰にでも優しく出来る人なんかいません。
誰にだって機嫌の悪い日もあれば苦手な人もいます。
そんな時「映画」と「音楽」はいつも優しい
尖った心を少し柔らかくしてくれる...そんな効果があります。
とくにこの映画はその効果が高い...みたいですよ。
2014/アメリカ
監督:ジョン・カーニー
出演:キーラナイトレイ・マークラファロ、アダムレヴィーン(Maroon5)、ほか
上映時間:104分
70点
ざっくりあらすじ
プロミュージシャンの彼に裏切られ、失意を抱えながらライブハウスで歌うグレタ。
かつては売れっ子だったが、自身が立ち上げた会社からもクビを通告された落ち目の音楽プロデューサー ダン。
そんな2人は必然か偶然かニューヨークの寂れたライブハウスで出会う。
その時、一度は終わったかの様に思えたふたりの"はじまりのうた"が音を奏でだした
嗚呼 唄うことは 難しいことじゃない
ただ声に身をまかせ 頭の中をからっぽにするだけ
この映画の核は音楽です。
当然、劇中の音楽がクソならばどんな素敵なストーリーを綴っても説得力がありません。
どれとは言いませんがそんな音楽映画をいくつか観ました。
で、この作品なんですがストーリーもいいですが、なにより音楽が素晴らしい。
この映画を観たその足でサントラを買いに行った人もいるんじゃないでしょうか。
そして驚いたのがキーラナイトレイの歌の上手さ。
あの容姿にしてあの美声って反則です。
この映画は女性人気の高い映画ですが、もしキーラナイトレイがプラスおっぱいも大きかったなら嫉妬の塊と化した女性から酷評の嵐を受けていたでしょう。
(あと何となく優れたアーティストはおっぱいが小さいってイメージがない?)
ざっくりあらすじで書いた様に2人はライブハウスで出会います。
そのシーンが僕は劇中で2番目に好きです。
アコースティックギター1本で弾き語りをするグレタを偶然店に立ち寄ったダンが見つけるのですが彼はその曲に惹かれます。
実際はアコギ1本なのに、音楽プロデューサーのダンの耳には編曲され完成された音が聴こえてきます。
それはドラムス、ピアノ、バイオリン、様々な楽器が加えられていきます。
それを視覚化してるんですが、弾き語りする彼女の周りの楽器たちが演奏を始めていくんです。
ピアノの鍵盤は押され、ドラムスティックはリズムを刻み、バイオリンの弓が宙を舞います。
オ・サ・レ
彼女の才能を確信したダンは直ぐにグレタをスカウトします。
もう会社をクビになったくせに。
彼女を連れて元の職場を訪ね、その場で弾き語りをします。
ダンはデモを創るから資金を出せと訴えかけますが
旧友であり会社の責任者の応えはNo!
会社はデモを聴き判断するのであってデモを創る所ではないと...
Fuckin' 正論!!!
ここでダンのぶっ飛んだアイデアが爆発します。
デモなんか必要ない!アルバムを創ろう!
どこで?スタジオは?お金は?
スタジオはいらない、この街あらゆる場所がスタジオだ!
このニューヨークで君の音楽を撮るんだ!
Oh!Fuckin' Cool!!!
そうグレタが言ったかどうかは定かではないですが、街の喧騒さえ音楽にしてしまうそのアイデアに彼女は大賛成です。
仲間の演奏者を集め機材を借りお金のかからないようにします。
さぁアルバム創りの始まりです!
始まりはいいのですが、これ以降ブログ内をネタバレリーナが踊り狂います。
未見の方はブログを閉じるか、一緒に踊り狂って下さい。
メロディーラインが放ったカラフルな魔法のフレーズ
録音場所はダンの宣言通りニューヨークのあらゆる場所でゲリラ的に行われます。
セントラルパーク、チャイナタウン、ビルの屋上、向かいのホーム、路地裏の窓、こんなとこにいるはずもないのに。
時には偶然いた近所のガキをコーラスに使い、時にはサイレンの音も楽器にします。
そして時には警察に通報される事もあります。
この辺がとても賑やかで観ている僕たちを楽しませてくれます。
それは先に述べたように収録されていく音楽の素晴らしさがひと役かってるのは言うまでもありませんね。
ところでダンにはかつて共に暮らした妻と娘がいます。
現在は上手くいかずたまに会うものの関係は最悪です。
このダンと家族の関係性の復活も音楽の収録と同時進行で描かれています。
それもまた「はじまりのうた」の一部です。
娘がギターをやっており、どれくらい出来るかどうかも分からないのに演奏メンバーに加えるふたり。
そして弾き出した娘のギター!
クゥウウウ!
この場面が僕がこの映画で3番目に好きなところです。
え?1番はどこだって?
ちょ、待てよ。
しかし2人がニューヨークに住んでて良かったですね。
路地裏だろうがビルの屋上だろうがどこでもオサレですからね。
これが僕の地元なら
こんな場所嫌だー!
とグレタが帰って映画終了ですからね。
オサレと言えばあそこオサレですよね?
ダンとグレタが二股のイヤホンで同じ音楽を聴きながら街を散歩するとこ。
お互いの趣味の良さを褒めあい踊り関係を深めていきます。
そこで言われる「音楽のプレイリストはその人間そのものを表す」ってセリフ。
なんとなく分かる気がしますね。
椎名林檎好きの人と西野カナ好きの人ってそれぞれなんかイメージあるもんな...
※劇中では「キン肉マンGo Fight!」は流れません
終わらない歌を歌おう クソッタレの世界のため
終わらない歌を歌おう 全てのクズ共のために
さぁ、そして完成されたアルバムを持って会社に乗り込みます。
彼女の楽曲の素晴らしさ、街の騒音さえ収録してしまうアイデアに大絶賛です。
ざまぁ!!!
でも会社は彼女の取り分を1割、会社の取り分を9割で契約したいと申し出ます。
もうアルバムは収録されてて後は売り出すだけなのになぜ会社がそんなに取るの?
彼女は会社にタンカを切って会社を出ます。
ダンはやりやがったな!これで必ず会社は君の有利な条件で契約を申し出てくるぞ。
と喜々揚々。
僕はお金の為に音楽をやってる訳じゃないはずなのに...と少し残念になりました。
そこで僕の1番好きなシーンです。
ラストもラスト、オチのところです。
彼女は会社とは契約しないとダンに告げます。
曲はアルバムごとネット配信して皆に聴いてもらう。
販売価格は1ドルよ。
それで上がった収益はこのアルバムに参加した皆で平等に分けましょ。
そして次のアルバムはどこで録る?ヨーロッパにする?
最高ですね!ハッピーな映画はこうでなくっちゃね。
で、そのアルバムは翌日爆発的に売れます。
昔ダンがプロデュースしたビッグアーティストがネットで呟いたからです。
小さな寂れたライブハウスから生まれたはじまりのうたは見事に素敵な曲になりました。
ここには書ききれなかった、愛情や友情やプライドを成長させて。
あれ?もう締めちゃう雰囲気?
鑑賞済みの人はグレタと売れっ子ミュージシャンになった元カレとのエピソードを何で一切書かないの?てお思いでしょうね。
はい、書きません。
通常この手の映画は直ぐ恋愛中心に描きがちでしょ?
でもこの映画は恋愛中心にはなってない。
そのバランスがとても好きなんです。
ダンとグレタもいい雰囲気になったりしますが、決してそうはならないし。
恋愛は素晴らしいけど恋愛の為だけに生きてるんじゃないっていう彼女の意思が見え隠れしてる気がしてね。
だから、このブログでは恋愛要素は排除させて頂きました。
※劇中では「炎のキン肉マン」も流れません
追伸、恋愛中心にブログ書いてる人も沢山いるでしょうから、気になった人は他の人のブログも読んで補完して下さいね。
でも、ダンと奥さんと娘さんのエピソードはもうちょっと書いても良かったかなぁ...
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最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・プラダを着た悪魔
・マイインターン
・ (500)日のサマー