あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
2017年、1発目の記事...映画選びに悩みました。
お正月にふさわしい映画...
日本のお正月なのでやっぱり邦画にしよう
笑える映画が好ましい
出来れば笑いだけじゃない映画が良い
それを条件に考えてみた。
う~ん沢山あるな...
そこに今、日本中にいるSMAPロスで落ち込む方々(僕もその1人だ)に少しでも元気をあげたい。
が思いついた。
そう考えたらうん、この映画しかありませんでした。
2004年/日本
監督:星護
脚本:三谷幸喜
出演:役所広司、稲垣吾郎、ほか
上映時間:120分
89点
ざっくりあらすじ
向坂睦(役所広司)、警視庁保安課検閲課に所属、第二次世界大戦の最中劇場公開予定の脚本を検閲し不適切と見なしたものは次々と不許可とする、喜劇などには一切興味を持たぬ鬼の検察官。
椿一(稲垣吾郎)劇団「笑の大学」に所属する喜劇作家。
笑いを愛し、日常の全てを笑いに捧ぐ生粋のお笑い人間。
その2人が警察庁取調室で一本の脚本の検閲を巡り闘う7日間の物語である。
稲垣の名字の半分は ガキ ガキ ガキ
同じガキなら 迷惑なガキでいい
ある超有名人がこんなことを言っていた。
芸能界のご意見番としても有名な芸能人だ。
「SMAPが解散しても中居と木村は大丈夫、でもあとの3人は厳しいぞ」
僕はそのご意見番さんは嫌いではないし、その方の創る映画は大好きだ。
でもこの発言にはガッカリした。
しかもその発言に対する共感の意見も沢山目にした。
全く分かってない!
今回の記事はその発言に対する反対意見でもある。
今作は天才三谷幸喜の脚本であり、もともと舞台やラジオの為に創られたもの。
ざっくりあらすじに書いたとおり喜劇作家と検閲官2人が取調室でやり取りする、ただそれだけの2人劇。
その素晴らしき脚本は2人の役者の力量に全てがかかっている。
舞台では検察官を西村雅彦と喜劇作家を近藤芳正が演じていました。
それが映画化される。
僕は不安しかなかった。
検察官は役所広司、これに不安は一切ない。
喜劇作家が稲垣吾郎...
あり得ない!
ジャニーズ風情に演じれる役割ではない!
さしずめ客寄せパンダだろう!
役所広司の相方が務まる訳がない!
僕はそう思っていた。
しかし鑑賞後、ハイジャンプから一回転してのスーパー土下座でお詫びした。
俳優稲垣吾郎は素晴らしい!
この映画の2人を漫才で例えるならボケ役は検察官である役所広司です。
対する喜劇作家はツッコミ役。
ボケを鑑賞者に分かり易く説明する役割を担っています。
W主演と言いながらも華は確実に役所広司にあります。
日本を代表する俳優、役所広司の演技を支えるとんでもない大役。
ボケを分かり易くすると同時に話の進行役も務めなくてはいけません。
この映画を成功させるも失敗させるも稲垣吾郎にかかっている。
そう言っても過言ではありません。
鑑賞すれば分かりますが、その大役を彼は見事にやってのけています!
もう一度言います。
俳優稲垣吾郎は素晴らしい!
まとはずれかもしれないけど
君には気づいてほしいんだ
これはつまり平和の歌だと
当ブログは映画ブログであり芸能人紹介ブログではありません。
そろそろ映画内容の話をしないと怒られそうです。
多くの映画は足し算で構成されています。
軸となるアイデアを思い付いたら、そこにストーリーや設定など色んな要素で膨らませていき形にします。
ところが今作は全く逆のアプローチで制作されています。
余計なものをどんどん削り取っていってます。
まるでダイヤの原石を磨いていくように
いわゆるマイナスの美学というやつです。
最終的には演者は2人、舞台は一か所までになりました。
一日目
椿が提出した台本は「ジュリオとロミエット」
イギリス人シェイクスピアの有名作のパロディ作品
これに向坂は激怒、戦時中のこのご時世に西洋を舞台にした劇など不謹慎極まりない。
「登場人物を全て日本人にしなさい!」
椿は食い下がります
「これはイタリアが舞台です!イタリアは味方国、それに何の問題が?」
更に怒る向坂
「シェイクスピアは何人ですか?イギリス人ですね?いくら日本風にしたところであなたチャーチル(当時敵国であったイギリスの首相)の握った寿司が食えますか!」
二日目
舞台を日本にしロミオとジュリエットを金色夜叉の貫一お宮に書き換えた台本を提出。
「なんですかこれは?確かに舞台は日本で登場人物は日本人になっている。しかし内容はロミオとジュリエットそのままだ。こんな金色夜叉は見たことも聞いたこともない!」
怒る向坂、それに返す椿
「だから面白いんですよ!冒頭演出家が出ます。そしてこのご時世に西洋の劇などけしからん!日本に置き換えなさい!と言います。そのムチャクチャな要望に困る演者、無理やりなストーリーに客はドッとわくんですよ」
「その演出家というのは私ですか?」
「バレました?」
「バレましたもクソも、こ、ここのセリフ、"チャーチルがうった蕎麦が食えますか"ってこれは昨日私が言ったことそのままじゃないですか!」
「いや、バカにしてるんじゃなく面白いセリフだなと思って...」
「どうせ使うなら寿司に戻して貰いたい、蕎麦ではいまいち伝わりにくい!」
怒ってはいるけど自分のセリフが使われていることに悪い気をしていない向坂にニヤリとしてしまいますね。
そんな向坂はまた無理難題を突き付けます。
「"お国のため"というセリフを2回入れて下さい」
そんな無茶な...
三日目
台本を変えて椿が来ます。
それを読む向坂
「お国のため戦ってきます。僕はお国のためなら死ねる!と、そこにオクニちゃんが登場...こ、これはお国のため、お国のためと言っていたのはオクニちゃんのためだったということですか?」
「はい、面白いでしょ?」
「椿さん!私は笑いを足せと言ってるんじゃないんだ!」
直ぐに書き直しますと椿...
「お国のために戦ってきます。僕はお国のためなら死ねる!と、そこに貫一の母登場。貫一さん今夜はスキヤキよ。お宮さん僕はお肉のためなら死ねる...」
「椿さん!!!」
お国、お国がいつの間にかお肉になっていることに激怒する向坂。
と、こんなやりとりが四日目以降も続いていきます。
気が付けば検閲とういより2人で面白い脚本創りをしているように。
笑いなど興味のなかったクソマジメな検閲官が少しずつ笑いに惹かれていく様子が堪らなく面白い。
それを2人の会話だけで見せるんですから感心させられます。
2人のうちどちらかが大根ならセリフ臭くてとても見てられません。
しかし今作のその会話はセリフであることを忘れさせ、まるでその場その場で2人が自然と出してる言葉のようにしか見えません。
会話の間、言葉に併せた身振り手振り、感情によって遅くなったり早口になったりする言葉のリズム、そのどれもが
素晴らしい!
最近観た「セトウツミ」という作品も2人の会話劇で、あれも面白い作品ですが今作と比べれば申し訳ないが
足元にも及ばない
と言わざるを得ません。
と、ここまで読めば今作が秀逸なコメディ映画であるという事は分かって貰えたでしょう。
しかし、僕は言いたい
これは
戦争映画でもある!と
先日、戦争映画ランキングなるものが各映画ブロガーさんの間で発表されていました。
僕は戦争映画は見ていて辛くなるのでスルーして傍観していましたが、
誰も今作をあげていない!
僕はそれが腹立だしい!
確かに血は一滴も流れないし、誰1人死なない。
でも今作は戦争というものがいかに愚かな事かを笑いで真っ向から伝えている。
こんな素晴らしい戦争映画を僕は他に知らない!
それはここに書かなかった4日目以降、特に最後の6日、7日目を観ればわかります。
僕は7日目のシーンを何回観ても笑いながら苦しくなり考えさせられそして泣かされます。
素晴らしいコメディ映画でありながら、戦争映画(反戦映画)でもあるこの傑作。
お正月用の派手な映画ではないかもしれない。
でもごちそうを食べ過ぎて、そろそろ普通のご飯が食べたいな...ていう3日目以降くらいに観て欲しいなぁ。
Baby it's a show time
多分今夜もAll night are you ready?Crazy3!
まだ、お時間あります?
ではもう少しだけ稲垣吾郎という俳優について話してもいいですか?
彼はトップアイドルでありながら、主役である事にこだわらない。
彼が主役では客を呼べないからじゃなく、主役を活かす方が自分には向いていると判断したからでしょう。
自身の判断か会社の判断か周りの人の判断か知りませんが大正解!
それは今作を観ても分かりますよね。
そして彼は汚れ役ですら引き受けます。
国民的スターがですよ。
最近、V6の森田剛が「ヒメアノ~ル」で見事な猟奇的殺人犯を演じました。
個人的には日本アカデミー主演男優賞をあげたい程の演技でした。
しかしその道を創ったのは他ならぬ稲垣吾郎です。
「13人の刺客」という映画をご覧になられたでしょうか?
あの映画の成功は稲垣吾郎の見事なまでの鬼畜っぷりにあります。
彼があの仕事を受け、そしてやりきった事は後の後輩達に大きな道を切り開きました。
その役者魂には頭が下がります。
冒頭で書いたご意見番さんのコメント
残りの3人は厳しい?
はぁ?あなたの映画に彼を起用してみてはどうですか?
きっとその言葉、撤回したくなるはずですよ。
僕はジャニーズオタクではないし、特別稲垣吾郎を知っている訳でもない。
そしてファンに媚びたい訳でもないが、これだけは言いたい。
彼は大丈夫!素晴らしい俳優だから!
ま、稲垣吾郎のファンの方々からすると僕に言われるまでもないでしょうけどね。
追伸、他の4人の事は書かないの?
そうお思いの方がいるかもしれませんね。
はい、この記事が楽しんで貰えたかどうか分かりませんが、ひとりひとり映画を通して書く(描く)つもりです。
次は誰のどの作品か楽しみにして貰えれば嬉しいなぁ。
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最後にこの作品を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・13人の刺客
・12人の優しい日本人
・キサラギ