アノ映画日和

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「脳男」感想 サイコパス×サイコパス

 

自分の感想と世評が合わないってことはよくありますね。
大概の場合、あ、世間の人はこの映画好きじゃないんだ...ふ~んぐらいです。

でもこの作品の世評が悪いと知った時は、え!マ、ジ、で、?となりました。
僕の中ではこれめっちゃおもろいやん!だったからです。

だから今回は少しでも脳男おもろいやん派を増やす為の活動をしたいと思います。
清き1票をよろしくお願いします。

 

2013年/日本
監督:瀧本智行
出演:生田斗真、松雪泰子、二階堂ふみ、太田莉菜、江口洋介、ほか
上映時間:125分

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76点

 ざっくりあらすじ

都内近郊で連続爆破事件が頻発。
事件を追う茶屋(江口洋介)はついに犯人のアジトと思われる場所を見つけ踏み込んだ。
そこにいたのは身元不明の鈴木一郎と名乗る男(生田斗真)だった。
園児の乗った路線バスを爆破。しかも舌を切り取った人間爆弾を使って爆破という異常犯罪の為、その男は精神鑑定を受けることに。
担当となった精神科医の鷲谷(松雪泰子)は男を調べるうちに正常、異常では測れないもっととんでもない何かを感じ取っていく。
そこで明らかになっていくその男の正体。
彼はかつて脳男と呼ばれた特別な人間だった。

 

CRAZY GONA CRAZY~

この映画を面白くないという方々の意見を聞いてみると
・漫画みたい
・暴力的すぎる
・話や展開に無理がある
・役者の演技や演出がオーバーすぎる
・ED曲、あれ何?

ふむふむ、なるほどごもっともな意見だと思います。
僕もそう思います。
思いますが、この映画を好きな僕からすればその意見がそっくりそのままこの映画を好きな理由だったりします。

まず主役の脳男、こいつがもう漫画ですよね。

未見の方の為に簡単に説明しておきますね。
鈴木一郎と名乗ったこの男。本名は入陶大威(イリスタケキミ)。
幼い頃に両親をひき逃げ事故で失う。
その後は富豪の祖父の元で育つ。
彼は感情というものを持たない。痛みも感じない。
しかし瞬間的に目にしたものを全て記憶する事とそれを活かす高度な知能を持つ。
つまりインプットは無限に出来るが自発的にアウトプットの出来ないスーパーコンピューターのような存在。
精神科医はまるで脳だけの存在のような彼を「脳男」と名付けた。
祖父は意識して行動できない「脳男」を食事、睡眠、排泄等生活に必要な全てを知識で行動出来る様にします。
そして息子夫婦を殺された恨みを持つ祖父は精神を病み、悪を許さぬ殺人マシンとして「脳男」をプログラミングする様になります。
その為に肉体を鍛えさせ、人の壊し方殺し方を学ばせます。
そしてそのプログラムは祖父の死後、発動し始めます。

と、まぁ見事なまでの厨二設定なわけです。

 

なんとわかりやすいダークヒーロー。
そりゃ漫画みたいって言われますよね。
この映画の約6割はこの「脳男」の紹介に使われています。
その設定に興味のない方はそこで既に6割面白くないという事になりますね。
僕なんかは

キャー!生田斗真かっけー!おっふ、お美しい...

と悶絶しましたが。

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先ほどの説明文でわかったと思いますが、爆弾魔は「脳男」ではありません。

爆弾魔を殺す為にアジトに来て、その現場で刑事に捕まったわけです。

「脳男」をこれだけ異質な存在にしたわけですから、「脳男」を囲む人物はより人間臭くしています。感情的な刑事、悲しい過去に縛られた精神科医。
それがオーバーな役者と言われる部分です。
僕はバランスが取れてて良いなと思いましたけどね...

で、「脳男」と対峙する爆弾魔ですがこれがまたサイコパスです。
二階堂ふみ演じる緑川と緑川を神と崇める女。
このレズビアンカップルが凄く良いです。
占い師に「爆弾魔の次の犯行は路線バスで行われる」とTVで占われバカにされると、
その占い師をさらって舌を切り、人間爆弾にして路線バスで爆破するって完全に頭が

イ・カ・レ・テ・マ・ス。

「脳男」が造られた殺人マシン(サイコパス)なら緑川は天然の殺人マシン(サイコパス)です。

人工サイコパスは緑川を殺そうとし、天然サイコパスは自分とシンパシーを感じる「脳男」を殺してあげようとお互いに殺害意識を持ち対峙する。
この映画の3割はこれに費やしています。

先ほどの6割とこの3割あわせて9割。ほぼ漫画でオーバーな演出です。
う~ん、やっぱ最高ですね。

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どかーんと景気よく やってみよ~~よ
都合の悪いとこは知らんぷり ぷりぷり

2人のサイコパスは病院を舞台に壮大な対決をするんですが、まぁ爆弾魔の爆破が景気がイイのなんの。
あっちでもドカン、こっちでもドカンとこれ1人で設置出来るか?無理がありすぎるだろ?と当然思うわけですが、いいんですよ。
ショボい爆弾でリアルを追及するより映画なんだから無理があっても景気よくいきましょうよ。

あと残酷すぎるというのも暴力をエンターテイメントとして捉えれるかどうか?ってとこによりますね。
確かに人を殺しすぎますが、誰をどの様に殺すと効果的か?という事をよく計算された殺し方をしてると思います。
大げさに言うのならばそこに美学を感じますね。
厨二の美学を...

さっきから褒めてばっかだけど不満なとこは無いの?と言われればもちろんあります。

二階堂ふみが松雪泰子をさらって監禁するところですけど。
手術用メスで松雪さんの胸元を切り裂きますが肌は切れてるのにブラジャーは無傷というね。
下着姿だけでもごっつぁんです!て感じだけど、サイコパスのクセに気をつかってんじゃねーよ!

そ、こ、は、ポロリでしょ!

という大きな不満があります。

あ、大事なことを言い忘れるところでした。
この映画の染谷将太の使い方がメチャクチャいい!
サイコパスだらけの映画ですが彼のパートが1番どす黒い。
漫画テイストの全編に1個だけ放り込まれたシリアス。
あれがあると無いとではこの映画は全く違う印象になっていたでしょう。
これが残りの1割です。とても重要な1割です。

 

さぁどうでしょう?内容はさっぱり伝えられませんでしたが、未見の方は何となく観たくなってくれましたでしょうか?
是非、鑑賞して「脳男おもろいやん派」の1人となり、共に布教活動をして下さい。

 

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追伸、ED曲はキングクリムゾンの名曲なんだよ!凄えカッコいい曲なのに任侠映画みたいワロタとか言ってんじゃねーよ!!!

最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・悪の教典
・スマグラー
・殺し屋1