アノ映画日和

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「ワールドウォーZ」感想 ゾンビ進化論と不死身のブラピ

 

ゾンビ映画が好きです。
ひと昔前まではマニアックな映画として扱われてましたが、現在ではゾンビ映画というひとつのジャンルとして確立されるまでとなりました。
ファンとして大変喜ばしいことです。
しかしこのゾンビ映画ほど時代の流れと共に進化、枝分かれしてるジャンルはないでしょう。
さて今回取り扱うワールドウォーZ、そのZはゾンビのZです。
ゾンビ好きの僕の評価は...

2013/アメリカ
監督:マーク・フォースター
出演:ブラッドピット、ディナゴールドバーグ、ティムヘディントン、グレアムキング、ほか
上映時間:116分

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 78点

ざっくりあらすじ

元国連捜査官ジェリー(ブラッドピット)は妻と2人の娘を車で学校に送る途中だった。
混み合う道路。しかしいつもと違う道路状況にジェリーは違和感を感じた。
ただの渋滞ではない...そう思った矢先、前方から逆走してくる車や人々。
彼らは凶暴化した人間に襲われていた。
しかも襲われた人間も十数秒後には人を襲う様になっている。
ゾンビだ...
彼は家族を守るために国連事務次長に連絡を取りそして海上に浮かぶ艦に保護を求めた。
しかし軍は家族の保護と引き換えに元腕利き捜査官だったジェリーにこのパンデミックの事態収拾作戦に参加することを要請。
ジェリーはウィルス学者、特殊部隊と共に最初のゾンビ発生地区である韓国へと向かう

 

走り出せ 走り出せ 明日を迎えに行こう 

ゾンビとはそもそもなんでしょう?
言語を調べるとブードゥー教を由来とする
死者が死体のまま蘇った人間のことです。

ではゾンビ映画の元祖は?となると何になるかはわかりませんが世間で認知されるようになったのは1978年に公開されたジョージ・A・ロメロ監督作ゾンビ(原題ドーンオブザデッド)の大ヒットからです。

今なおロメロ信者が多数いる事からもはや神といっても過言ではないでしょう。
このロメロ作からゾンビに噛まれるとそいつもゾンビになる法則が定着化されました。
しばらくはこのロメロ系ゾンビ映画が量産されます。

大きなターニングポイントは2002年の「28日後...」という作品。
この作品ではゾンビ化はウィルスによるものとなり感染速度は一気に早まりました。
これはパンデミック的な見地で言えば恐怖感が増し、その後のゾンビ映画の王道のひとつとなりました。
一方で生粋のゾンビ映画ファン(ロメロ信者)からは死んで蘇っていないものはゾンビではないと否定の声も多くあがりました。

次のターニングポイントが2004年の「ドーンオブザデッド」です。
名前からわかるとおり「ゾンビ」の正式リメイクです。
ここでの革命、それは走るゾンビということです。
「28日後...」でも走っていましたが、あれはゾンビ映画ではないとした者も正式リメイクで走られたのですから、もはやゾンビも歩く時代ではないと烙印を押された様なものです。

感染にしても走る事にしても、とにかくゾンビは時代と共にスピード化を求められてきた訳です。
これはあくまで王道のゾンビルートの話でして枝分かれした動物系、コメディ系、などはまた別の機会にお話ししたいと思います。
(これはこれでかつてのプロレス界の分布図のように細分化されてて面白いものがあります。)f:id:hagane-mk:20160815044746j:image

Welcome to this crazy time このイカレた時代へようこそ
君はTough boy Tough boy Tough boy Tough boy 

このワールドウォーZ。
現段階のゾンビ映画の究極進化形です。
感染経路はウィルスでもちろん走ります。さらに進化させたのは数です。

とにかくゾンビが多い!超特盛!!!

わんさかわんさか出てきます。
もともとゾンビとは単体では恐くない群れてなんぼの存在です。
それにしてもこれだけの数が襲ってくると絶望しかない恐怖です。

そして超大物ハリウッドスターブラッドピットの起用。
大抵のゾンビ映画はこいつ誰やねん?という俳優が主演を演じて来ました。
ゾンビも人間も無個性、これがゾンビ映画のセオリーでした。
そこにブラピ!
これはもうゾンビ映画はいち大エンターテイメント映画であるという証明作品です。

この映画何が凄いって先ほど書いた様にゾンビも凄いんですが、それより凄いのがブラピの不死身ぶりです。

都会で大量のゾンビ囲まれても家族を守りながら逃げ延びます。

ビルでゾンビに襲われても「なんじゃごるぅあ!」パッカーン!ポッカーン!とゾンビを撃退しながら生き延びます。

韓国で学者も死に軍人が死んでもブラピは生き延びます。

イスラエルでは超大群のゾンビが押し寄せてきますが生き延びます。

極めつけは飛行機内でゾンビに襲われた時です。
こうなったらこうじゃい!と手りゅう弾で飛行機を爆破!
飛行機は墜落し、他の乗客やゾンビは死にますがブラピは生き残ります。

あれ?これダイ・ハードやったけ?

とパッケージを確認しましたが、ジョンマクレーンではなくジェリー(ブラッドピット)と記載されていたので違いました。

ゾンビより目立つブラピに、もはやこれはゾンビ映画ではないと言われれば否定しきれないところもありますが、僕はこれはこれでゾンビをエンターテイメントに押し上げるひとつの手法だと支持します。
携帯電話がスマホになり、もはやこれは携帯電話か?という感じで、この映画ももはやゾンビ映画を超越してますが、これもゾンビ映画の進化のひとつと僕は受け止めてます。

 

Hey Hey Hey Girl 仕事だから とりあえずがんばりましょう
Hey Hey Hey Boy 空は青い 僕らはみんな生きている

 

さて、ここからは端的にストーリーの展開と僕の推しポイントを書きますので、未見の方でネタバレ読みたくない人はここでしおりでも挟んで観てからまた読んで下さい。

韓国へ向かう一行、道中でこの事態収拾の希望とされるウィルス学者がいいセリフを語ります。

「自然は連続殺人鬼さ...でもどこかで捕まってその巧妙な手口を知らせたいとも思っているのさ...」 

ブラピも、ほぉ...と感心した様子。
そして韓国に着くやいなやゾンビの襲撃に遭います。
するとウィルス学者は、はわわ...はわわ...とパニくって転んで銃を暴発させて死にます。
え?え?さっきあんなカッコよかったのに、え?という表情のブラピ。
笑うとこかどうかわかりませんが僕は大爆笑でした。

韓国でイスラエルにワクチンを作る鍵があるとヒントを受け向かうブラピ。
イスラエルは町全体が高い壁で囲まれておりゾンビ対策は万全でした。
ところが街の住民たちがスピーカー大音量で合唱を始め、その音にゾンビが異常反応を示します。
ちょちょちょ静かにせえや!とブラピは危険視しますが合唱は大きくなるばかり。
ゾンビはもう大群で壁をよじ登りついには壁を超えてきます。
その様は本能むき出しで集団の力を見せつけるゾンビの大迫力映像です。

ここ最高です!

街の人間はアホですが、ゾンビは凄い。
そこでブラピはある発見をします。
身体に病気やケガの障害を持つ人間を、ゾンビは無視する。

この情報を持ってWHOに向いますが、ここで先ほどのブラピ飛行機爆破のシーンがあります。
墜落しても不死身のブラピは重症を負ったまま、次のシーンではWHO。
え?道中ゾンビに襲われへんかったん???

発見したゾンビ対策を自ら証明する為に治療できるウィルスを体内に注入したいと告げるブラピ。
病原体保持者はゾンビには見えない!名付けて「カモフラージュ作戦」
しかしWHO内もゾンビがたむろする病煉がありそこにウィルスを管理してるという。
まぁ不死身のブラピは関係あるかい!とそこに向います。
なんとか辿り着いたはいいですがどれが有効なウィルスかわかりません。

ちゃんと聞いとけや!!!

で、適当なウィルスを注入してゾンビの群れの中に
ゾンビはブラピが見えてません!やった大成功です!
ブラピはコーラの自販機をドンガラガッシャンさせて一本プシュッとあけゴクゴク飲みます。
ドンガラガッシャンの音に反応して大量のゾンビが来ますがその中をモーゼのように通り抜けるブラピ。

その時に見せるブラピのドヤ顔!映画史に残るドヤ顔です!一見の価値あり!

そしてブラピはカモフラージュ作戦を持ち帰り人類の未来は解決に向かうのでした。
めでたし、めでたし。

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まぁなんとなく分かると思うんですが、この映画全編を通して力技なんですよ。

いやいやいやそれは無理がない?てところもゾンビの大群など絵力で押し切ります。
エンターテイメントとはそういうもんです。
パシリムにしてもバトルシップにしてもお祭り映画は無理が多いです。
その無理を含めて楽しむのがお祭り映画なので、あれはどう?これはどう?ゾンビってこう?などというのはナンセンスです。
そもそもゾンビ映画って理屈で楽しむもんですか?
楽しみ方は人それぞれなんで否定はしませんよ。
否定はしませんがいちいちカテゴライズしないと映画を観れないやつは

居酒屋で血液型の話でもしてろ!!!

 

追伸、終盤のコーラをゴクゴク飲むシーンをやたら強調してたけど、ペプシというでかいスポンサーによる大人の事情が見えたのは僕だけですか?

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最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・アイ・アム・レジェンド
・28日後...
・ドーンオブザデッド 

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