アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

「レオン」感想 計ってみたらゲイリーオールドマンの登場時間はたった〇〇分だった!

 

映画ブログで点数なんて付けていると、じゃあ100点の映画ってあるのかよ?
なんて質問を受けたりします。

お答えします。
あります!
数本ですがあります。
そのうちの1作が今回扱う「レオン」です。
なかなかベタな作品で申し訳ない。
こんなブログを読んでくれてる映画好きの皆さんだから当然観られてるだろうし、今さらレオンを紹介されてもなぁ...て感じですよね。

ですので、今回は主要登場人物の1人に絞って書きます。
しかもレオンでもマチルダでもなくノーマンスタンスフィールドでイかせてもらいます。

1994年/フランス・アメリカ
監督:リュック・ベッソン
出演:ジャンレノ、ナタリーポートマン、ゲイリーオールドマン、ほか
上映時間:110分(完全版は133分)
※個人的には完全版での鑑賞をお勧めします。

f:id:hagane-mk:20160824215752j:image100点

ざっくりあらすじ

ニューヨークの片隅、孤独に生きる凄腕の殺し屋レオン。
家族から暴力を受け学校にも通わない孤独な少女マチルダ。
お互い会えば会話を交わす程度の関係であったが、ある日事件が起こる。
父が麻薬密売組織のドラッグを横領したことが原因でスタンスフィールド率いる組織により一家が惨殺される。
偶然、買い物に出かけていて助かったマチルダは隣人レオンに助けを求める。
悲しくも美しい運命の糸はここで繋がる...

これは孤独に生きてきた殺し屋と少女の愛と復讐を描いた作品である。

てか、今さらあらすじ説明とかいる?

 

人差し指を頭に 突き立てブッ飛んでいる
いつでも頭ギリギリ ××××噛み砕いて 

映画に出てくる憎めない悪役ランキングにいつも上位で名が挙がるノーマンスタンスフィールド。
通称スタン。
魅力的な悪役です。
でもよくよく考えると何がそんな魅力的なんでしょう?

ランキングに挙がる他の悪役といえば、スターウォーズのダースベイダー、ダークナイトのジョーカー、羊たちの沈黙のレクター博士...等々。
彼らは悪役でありながら悪の美学があり容姿も特殊です。
人気があるのもうなずけます。

一方スタンはどうでしょう?
麻薬捜査官のくせに麻薬密売人でジャンキー、女子供も殺す外道です。
しかもレオンを後ろから撃つような卑怯者でもあります。
ミ〇ネ屋で報道されたらこんなやつ許せねぇ!とフガフガする様な男です。

しかしみんな好きなのです。
僕も三本の指に入るくらい大好きな悪役です。
う~んなぜだ...登場シーンから彼を追ってみましょう。

 

映画開始から12分、部下と2人でマチルダの父親を訪ねるシーン。
純度100%のヤクが90%になってるのはなぜだ?と問う
マチルダ父が知らないと答えると
スタンはマチルダ父の首筋ををクンカクンカ臭います。
意味が分かりませんがキモイです。
で、信じてやるから明日までに盗んだやつを探せと言い残し去ります。
時間こそ短いですが凶暴な臭いと変態性を感じるなかなかインパクトのある登場シーンでした。

次の登場はそれから11分後、一家を皆殺しに来るシーン。
廊下を下っ端から順に現れ、おもむろにスタンが登場します。
ここ凄えカッコいいですよね。

そして例のあのシーン。
映画好きなら一度は真似たことがあるでしょう。

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これです。
2回目、3回目の鑑賞なら

よ!待ってました!!!

と一声かけるシーンですね。

そしてベートーベンを奏でながら一家を次々殺していきます。
で、台所でマチルダ父を見つけるとニヤリとし
ジャラジャラをかき分け入って行きます。
ここもレオンファンなら風呂屋や寿司屋のノレンをくぐる時には真似て欲しいです。

ここまでの流れがおそらく皆さんの好きなところですよね。
僕としてはレゲエの兄ちゃんがヤクを見つけた!と言った後の

ビンゴ!

ここも押さえといて欲しいです。

ここからしばら~く出ませんよ。
42分程、一切出ません。

次に顔を見せるのは、他部署の刑事と証人として現場検証に来るとこです。
陰で覗いてるマチルダに名前とオフィスの部屋番号をお知らせする為だけみたいなシーンです。

ただ帰り際に子供が遊んでいるバスケットボールを取り上げてそのまま車で立ち去るというクズのちょい足しサービスはあります。

それから23分後、ここは大事なシーンですね。
マチルダが麻薬取締局に単独侵入し、スタンを殺しに行くとこです。
スタンがトイレに入ったのを確認したマチルダはそぉっとドアを開けスタンを探します。
手には紙袋に入った重火器。
しかし確かにトイレに入ったはずのスタンの姿がない。
そこでトイレのドアが静かに閉まります。
扉の陰に隠れていたスタン。

ギャーーー!!!

ホラー映画みたいな登場です。
こいつは悪どいだけではなくカンが鋭く狡猾です。
マチルダに生きていたいか?と尋ね、
YESとか細く答えると

「それは良かった、まったく面白くないからな...生きていたいと思わない者を殺すのは」

12才の少女に言うセリフか!
12才で単身乗り込んでくるマチルダもマチルダやけど...

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次が...あ、トニーの店のとこか、ここはどうでもいいので端折りましょう。

そしてクライマックス
レオンのアジトに局員を突入させるシーン。
レオンの凄腕に突入班が手こずります。
するとスタン
「全員収集しろ...」 

「全員ですか...?」 

聞き直す部下に

エッッブリウァアアアンッ!!!

ここ最高ですね。
そないにキレんでも。

で、部屋にミサイルぶち込んで、よっしゃよっしゃ殺したぞと思っていたら
レオンは突入班の服装でカモフラージュして逃げようとしてます。
それを見つけたスタン
ん?あれレオンやんか、どやさ?どやさ?という顔。

あわてて突入班を全員撤去させます。
そして、レオンを後ろからズドン...銃で撃ちます。

THE 卑怯

ここレオンの視点とスタンの視点が交互に映る素敵な演出ですよね。

レオンを仕留めたスタンの嬉しそうな顔。
レオンは瀕死ながらスタンにあるものを握らせる。

「this is... from...Matilda...」

手を広げると手りゅう弾のピン。
あわててレオンの服を広げると、体中に爆弾。
スタン、うそんという表情でひと言

「shit...(くそ...)」

チュドーーーン!!!

スタンおさらばです。

う~ん、素晴らしい。
クズらしい最期です。

しかし登場から振り返ってもクズエピソードしか出てきませんね。
実は子供には優しいとか、雨にさらされた捨て猫に傘をみたいなシーンは1つもないですね。
正義も悪もクズも徹底すると愛される...そういうことでしょうか?

 

あれからどれくらいたったのだろう
沈む夕陽をいくつ数えたろう

ところで皆さん、この映画の中でスタンはどれくらい登場しているか考えことはありますか?
僕は気になったので時計を見ながら登場シーンを計ってみました。(暇か?)

なんと25分!

もっと出ているかと思ってましたが、そんなに出ていなかったとは。

いや、まてよ...

登場シーン計算ではなく、スタンの顔が映っている、あるいは声が聞こえる場面だけを切り取ったらもっと短いのでは?

気になった僕はストップウォッチを片手に再度計ってみました。

暇か??暇じゃ!!!

すると..で、出ました!タイム

16分57秒!!!

2時間13分の映画の中でたった16分57秒て...
2時間ちょいの映画のちょい程の時間しか出てませんでした。

でも、凄くないですか?
そのちょいの時間しか出てないのに、僕らはノーマンスタンスフィールドがどのような人物かを把握しています。
容姿はもちろん人間性や悪行、そしてその最期まで。
それだけ凝縮したキャラクター性と演技、そしてインパクトで僕たちに忘れられない記憶を植え付けているのです。
そんな強烈なキャラクターなんだから皆に愛されて当然!てなもんですかね。

 

そんな素晴らしい演技をしていながらゲイリーオールドマンはその年のアカデミー助演男優賞を獲っていません。

レオンのゲイリーとカリオストロの城の銭形警部は助演男優賞をあげなきゃダメでしょ?

だから、アカデミーは信頼出来ないんですよ!

で、ちなみにその年の助演男優賞は?
エドウッドの?マーティンランドー?
ん...な、なんか文句の言いにくい俳優だな。

でも、せめてノミネートはさせてあげないとダメでしょ!

という感じで今回はいち登場人物だけでやってみました。
あっさり終わるはずがエキサイトしてまた長文になり失礼しました。

もちろんこの映画はレオンとマチルダを中心に描いたラブストーリーでありアクション映画でありヒューマンドラマです。

しかし、あの2人に負けない悪役としてスタンがいなければ、スタンをゲイリー以外の役者が演じていたならば、これほどの傑作になり得たでしょうか。

とりあえず、僕がこの映画に100点を付ける事はなかった。
それだけは間違いありません。

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追伸、スタンの登場シーンと各タイムは以下の通りです。

①マチルダ父尋問→1:23秒
②一家惨殺→5:07秒
③警察現場検証→1:27秒
④マチルダと麻薬取締局にて→5:00秒
⑤トニーの店→1:20秒
⑥クライマックス→2:40秒

尚、最初のセリフはオオゥで最後はシットです。

 

最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・アジョシ
・ペーパームーン
・紅の豚