アノ映画日和

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「勝手にふるえてろ」感想 非モテ拗らせ妄想女子に松岡茉優の狂気を見た

 

映画は下着ではないので男性用、女性用があるわけではない。

でも明らかに女性目線で女性に向けて創られた映画があるのも事実(逆も然り)
で、そんな時僕はキーッとなる。
女性が羨ましくて仕方がなくなる。

どうしたってその映画の魅力を100%受け取る事が出来ないから。

今回何%受け止められたか分からないが
それでもかなり面白かったこの映画を紹介します。

2017年/日本
監督:大九明子
出演:松岡茉優、渡辺大和、北村匠海、石橋杏奈、片桐はいり、古舘寛治、ほか
上映時間:117分

f:id:hagane-mk:20180614031517j:image85点

ざっくりあらすじ

えとうよしか
24歳、OL、10月生まれ、B型、雪国育ち
彼氏いない歴=年齢
絶滅した動物が好き、タモリ倶楽部が好き

イチが好き…

そんなヨシカの前に突如「ニ」が現れる
そして告白される。
脳内彼氏「イチ」と現実の「ニ」

ヨシカ、どうする?

恐いくらい覚えてるの
あなたの匂いや しぐさや 全てを~

この映画の魅力それは

共感

こんな奴いねえよという珍獣ウォッチングではなく、ヨシカの中に見る自分に

分かる!分かりみしかねえ!

と共感、応援して楽しむ映画です。
その上でこの映画がターゲットにしたのは

女性
しかも非モテで孤独で妄想癖のあるかなり拗らせた女性

僕は男だから最初の段階でハズレ。

でも非モテ、孤独、妄想癖には自信があります。
キラキラリア充女子の5倍はターゲットに近いはず
僕は自分の中の非モテ孤独妄想乙女を総動員して鑑賞する事にしました。


この映画は常にヨシカ目線。

周りの登場人物全てがヨシカの目を通してどう映るかしか描かれてません。
その中でも最重要人物は

イチくん

ヨシカが中学生の頃から10年に渡り恋している王子様。

冒頭は街の皆にイチ君がいかに素敵な男性か、そしてヨシカはイチ君にどう接していたかを話して聞かせるところから始まります。

カフェの金髪ウエイトレス、駅員さん、整体師さん、コンビニのバイトの兄ちゃん、年がら年中釣りをしているおじさん、などなど。

一方的に話すヨシカに皆、絶妙な合いの手(愛の手)を入れながら聞いてくれます。

その話によると
イチ君はヨシカの中学生時代のクラスメイト。
女子からも男子からも人気の愛されキャラ。
でも自分から周りに接するタイプではなく、どちらかというと人付き合いは苦手。

だからヨシカは周りが接するようにはせず
遠くから眺め、こっそりイチ君を主人公にした漫画を描いていました。

この時編み出された技が

視野見しやみ

ヨシカの造語ですが、視野の端で見るイチ君に悟られないように生み出された特技でうんたらかんたら...

痛い!
この女
相当痛い!

拗らせ女子という設定は知っていましたが、ここまで拗らせまくってるとは
中学生の恋、しかも付き合ってた訳でも仲良かった訳でもないただのクラスメイト

それを大人になっても忘れられず周りの人たちに話しまくるって...

痛すぎる...

僕も相当痛い方ではありますが、彼女には負けます。

でもヨシカも何の接点もなく10年間想い続けてる訳ではありません
体育祭や放課後など幾つか些細なやり取りが2人の間にあり

そこに「精神的な繋がり」を感じているのです

それが今になっても体操着のイチを脳内召喚させる要因です。

これは何となく分かる気がします。
ちょっとしたことを自分の中で
膨らませて膨らませて

もしかしてあの人も自分のことを...

なんてあり得ないとこまで妄想してニヤニヤして布団ギュウってするやつね

分かる分かる、非モテにありがちな妄想劇場ですな
でも10年それを続けてるって流石に重病...


そんなヨシカの日常に転機が訪れます。

同僚の「ニ」からの告白です。

f:id:hagane-mk:20180614032822j:imageUza...Uza...Uza 勝手に
Uza...Uza...Uza 自由に
Uza...Uza...Uza 嫌われるモノローグ

経理部のヨシカは仲良しの来留美に誘われ、営業部との飲み会に参加します。
そこに「ニ」がいました。
で、LINEをなかば無理やり交換させられ
翌日即デートのお誘いをしてきて

「ニ」かなりのグイグイ

男として見習うべきとこかもしれないですが、「ニ」...

ちょ~~ウゼェ!!!

話し方からかなり鼻につきます。

「ねーえー江藤さんの話を聞かせて」
「どんな人なのか、俺に聞かせてみて、ん?」

うわ~イヤ!
この「ん?」が堪らなくイヤ!

ヨシカも結構イラっと来てる感じ。
そりゃそうでしょ、ヨシカの脳内恋人イチ君とは真逆のタイプだもの。

そもそも「ニ」は霧島という名前で、「イチ」に対して「ニ」と呼ばれています。
ビジュアルもイチ君と違って普通です。
その癖にはじめて2人で会ったその日に告白して来やがります。

当然、返答に困るヨシカに

「俺は待ってるぜ!」

あかん、こいつ嫌い。
ヨシカも相当うんざりやろ、と思いきや
街の皆に

「分かります?私こう見えて 今 告られたんです」
「いや~人生初告られたわ~」
「ザッツ ビューティフルサンデーだよ」

と報告しまくり

まんざらでもないんか↗︎い!
嬉しかったんか↗︎い!

いや分かるけどね、非モテ24年やってきて初めてのモテやからね。

僕もあんまり可愛くない子からバレンタインにチョコ貰った時

いや~チョコ貰っちゃったよ~|ω・`)チラ
どうすっかな~これ?|ω・`)チラ

て姉ちゃんに大きめのひとり言話してましたから。
初めては浮かれちゃうんですよ、どんな相手でも。

でもヨシカにはイチ君という脳内恋人がいます。
そうやすやすと「ニ」とお付き合いする訳にはいかんのです。

返事を先延ばしにするヨシカに「ニ」は

「惚れた者負けですな」

ウザ!

f:id:hagane-mk:20180615062013j:image少し気が多い私なりにまわって来た道
ひとり悩む週末にもうのみこまれない

脳内恋人イチと現実の「ニ」の間で悩むヨシカに事故が起こります。
ストーブで布団に火をつけてボヤ騒ぎを起こしてしまったのです。
人生いつ終わるか分からないと悟ったヨシカは行動を起こします。

10年間止まったままの恋を前に動かしたい!

ヨシカはかつての同級生、留学で海外に行った紫原麗奈になりすましfacebookアカウントを作成。
それを利用して地元での同窓会を企画。
イチと再会。
中学の頃と変わらず素敵なイチに

萌え~~な訳

そしてイチが自分と同じく東京にいるという事前情報を入手していたヨシカは

「東京に戻っても上京組で集まらない?」

と提案。
まんまと東京でも会う機会を作りました。

僕と同じ、イヤそれ以上の非モテコミュ障仲間だと思ってたのに...

予定通り、東京での集まりが開催
途中「ニ」と偶然会い 後を付けられるというハプニングがありましたが、なんとかふりきりイチ君の元へ。

東京組のウェーイなノリには着いていけず浮きまくってたヨシカですが、夜イチ君と2人っきりになるチャンスを得ました。

思い切って中学時代の話を振ってみると

なんとイチ君ちゃんとそれを覚えてくれてました!

勢いにのって話すと、イチも絶滅動物が好きで詳しい。
話があうヨシカに

「キミと話してると不思議 自分と話してるみたい」
「あの頃キミと友達になりたかったよなぁ」

と言うイチ

しゃーっ!イケる!押せ!ヨシカ!

でもヨシカはふと気になって尋ねます

「イチ君って人のことキミって呼ぶ人?」

そんなんいいやん、それより恋を前に進めろって!
しかし、その問いにイチは衝撃のひと言を放ちます。

「ごめん...名前..何?」

 

あ...ああ...あああ...あああ...

ヽ(;▽;)ノオワターーーー

名前すら憶えられてなかったーーー

いいやん、ここから始めればいいやん、好感触なん..だ...し
と思いますが、あかん
ヨシカにとってはこの10年想い続けて来たイチ君を本人から否定されたようなもので

ひとり胸を抑え、泣きながら帰るのです。

ヨシカ...街のみんながいるよ...(泣)

帰路、街の皆のところを周りながら
突如、ミュージカルがはじまります(何で?)

その歌詞、内容に驚かされるところですが未見の人の為にここまでとします。
ここから先、街の皆はどう慰めてくれるのか?
イチへの想いはどうなるのか?
「ニ」との現実はどうなるのか?

こっからがめちゃくちゃ面白いところです!

是非、ご自身の目でお楽しみ下さい
ありがとうございました。

尚、あらすじは追いませんが、僕の思い感想が書ききれてないので記事は続きます。
重要ネタバレに触れる為、鑑賞済みの方のみ前に進んで下さい。
 

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ベイビー、ベイビーユー ぼくの胸の中聴こえたらいいな どんな言葉でも足りないや

鑑賞済みの皆さま、改めましてこんにちはorこんばんは。

いやぁ、あのミュージカルには驚かされましたね。
あの歌詞とそれにつく絵が堪らなく好きです。

この人の名前も私は知らない
こんな特徴的な人、誰だって話しかけたくなるでしょう けどそんな勇気ありません

こんなとこで朝も晩も釣りをしているおじさん
凄く気になるけど話をしたことない
これ以上近づいたことだってない

この距離が私と世の中の限界
おじさんも私も透明だ

絶滅すべきでしょうか
ねぇ?アンモナイト、生き抜く術を教えてよ
どんだけねじくれたら、生きやすくなるの
日常は異常、異常巻きの日常...

コミュ障過ぎる!
今まで話してたのは全部妄想ってか
ヨシカ脳内ポイズンベリーだったってか

でも悲しいかな分かる!分かりみしかねぇ!

僕もTSUTAYAや本屋のスタッフさんと頭の中で

「あの映画ブログ書いてるあのまりさんですか?」
「あ、はいそうですけど...」
「わぁ嬉しい!ファンなんです、いつも読んでます」
「あ、ありがとう...」

とかやってるものーーー!
やっちゃってるものーぉおお!

僕も異常巻きの日常だ...(涙)

共感指数ハンパなくてヨシカ大好きになっちゃって
でも好きなのは非モテ拗らせ妄想女子だからだけじゃありません。

ヨシカの内なるPUNK魂がハンパないとことかも大好き!
ひとり言の口癖が

F××K!ファーック!

とか最高にPUNK
アナーキー・イン・ザ・ TOKYO

で、それが爆発するあそこ好きなんですよ
「ニ」と付き合うことになったけど、来留実がヨシカの内緒の相談事(処女だって事とか、結婚願望あるとか)をベラベラしゃべってた事にブチきれるとこ。
「ニ」に別れ告げて、会社早退して、家で

来留実 来留実 くるくる 来留実の
クルクルパー!!!
うっかりバラしちゃうほど クルクルパーなのか
なーにが二は初めての相手には丁度いいよーだよ
ドスケベが!ポン引きかよ!
私の事ずいぶん下にみてたんですかねぇ
守ってあげてるぐらいに思ってたんですかねぇ
すみませんねぇ

てことは二...
赤い付箋の君を見つけた?
下の付箋は俺が取ってあげるよってか?

ファーーーーック!!!

処女を可愛いと思う男なんて大ッ嫌い!
だいたいあんたは私の人生に急に現れたポッと出のくせに
人の聖域にズカズカ土足で踏み込んで図々しいんだよ!
こちとら恋愛10年コースでやってんだよ!

もうここ最高!
最高過ぎてここだけ連続10回リピートしてセリフ暗記しちゃいました。

あの演技が初主演映画で出来る松岡茉優凄いです。
でもあれ5割演技で5割素ですよね。
女優松岡茉優じゃない等身大の自分をさらけ出してますよね。
松岡茉優のことはちょい好きくらいだったけど、今作で断然ファンになりました。

でも松岡茉優以上に凄いのはそれを引き出した大九明子監督

天才ですね。

可愛い、綺麗な松岡茉優を引き出すのは他の監督でも出来るけど
ブスな松岡茉優
面白い松岡茉優
をここまで引き出した監督ははじめてじゃないでしょうか。

とにかく松岡茉優と大九明子監督の作品は今後追い続けよう
そう思う位にこの映画が好きになりました。

でも冒頭書いたように
僕は男だからこの映画の魅力を100%は受け止めれてないんです。
女性なら分かるっていうあるあるや本能で感じ取れる部分が分からないんです。

悔しい...

それを最も感じたのがラストの

「勝手にふるえてろ」

て台詞、そしてそれをタイトルにする意味。

これが分からないんだから、芯の部分が理解出来てません。
もう7回観てるけどさっぱり分かりません。
きっとこれから何回観ても誰かに説明されても分からないでしょう。
それでもこれだけ面白いんだから女性にとっては

マジ神!

てぐらい面白いんだろうなぁ...羨ましい…ちくしょ

ファーーーーック!!!

f:id:hagane-mk:20180615204448j:image追伸、「ニ」なんですが、ラスト怒涛のイケメンぶりを発揮してましたが最後まで好きになれませんでした。
女性はああいうドストレートな男が好きなのかなぁ
やっぱ、女心は一生理解出来そうにありません。 

最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・脳内ポイズンベリー
・下妻物語
・プラダを着た悪魔