アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

「SPLIT/スプリット」感想 シャマラン映画はオチが全て!ではない!の主張

 

駄作製造機、オチだけ監督、散々な呼ばれ方をしてきたM・ナイト・シャマラン。
しかし前作「ビジット」がスマッシュヒットし

シャマランの復活!

シャマランの帰還!

とまるでジェダイのように賛辞されたのは記憶に新しい。

そして最新作「スプリット」これまた世間を騒がせている。
しかし今回は賛否両論あり、未見者にとっては

結局面白いの?面白くないの?

と困惑していることでしょう。
僕は問題のオチ含め肯定派として今作を紹介することにします。

 

2017年/アメリカ
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ジェームズマカヴォイ、アニャテイラー=ジョイ、ジェシカスーラ、ほか
上映時間:117分

f:id:hagane-mk:20170524194728j:image79点

ざっくりあらすじ

女子高生3名が見知らぬ男に誘拐監禁される。
男の目的は何なのか?
その不審な男は23の人格を持つ解離性同一性障害だった。
監禁された女子高生達の目線。
多重人格者の目線。
今作は両方の目線から描かれる。
物語の終結をあなたはどちらの目線から観届けるのだろうか...

 

そして最後にデザートを笑って食べる
君の側に僕は居たい 

シャマラン映画ってさ、オチが全てだよな。
そんな声をよく聞く。
まるで、あそこの店デザートだけだよなと言われてるようだ。

おいおい、ちょっと待て!

確かにそんな作品もあるがシャマラン亭はデザートだけじゃないぞ。
お通しからメイン料理まで美味いやつはちゃんと美味いぞ!
と僕は声を大にして言いたい。

今作も1番耳にするのは
やはりオチのこと。
オチだけで作品を否定する声さえある。

シックスセンスの大ヒット以降、シャマラン映画は
今度はどんなオチの映画なんだろう?
そういう先入観で鑑賞者に観られる様になってしまった。

他の監督作品とは何か鑑賞方が異なり、フェアではない気がする。
しかし、これはシャマラン軒も悪い。

今作のラストは絶対誰にも言わないで下さい!

いっつもそんな事言ってるので、まるでダチョウ倶楽部の
押すなよ!絶対押すなよ!状態だ。

だから、今回はそれを受けてオチまで書いてやる。
町山さんの紹介程度でネタバレだ!ネタバレだ!
と鼻フガする人はこの先を読むと鼻がもげるので

未見者は絶対ラストまで読まないで下さい!


人生をフルコースで深く味わうための

幾つものスパイスが誰もに用意されていて 

先に書いた様にシャマラ屋の料理はデザートだけじゃない。
特に今作はお通しから、やるじゃない!という感じだ。

パーティー会場、仲良し2人組のJKがクラスで問題児の子に「一緒に帰ろう」と誘うところから始まる。
僅か数分でJK2人とヒロインの人間関係と訳アリ感を演出。
で、パパの車に3人が先に乗り込みパパを待っていると

見知らぬ男が普通に運転席に座る。

え?え?え?となってると、男のスプレー攻撃でJK達は気絶。
はい、そのまま誘拐、監禁。

僕はこのお通しでこの映画は当りだと確信しました。

で、本日のメイン料理は、

・23人格の誘拐犯ケヴィンの人格紹介に24人目を添えて
・生JK3人の監禁による恐怖と脱出チャレンジ
・ヒロインケイシーの過去回想煮込み

の3本構成になっております。
結構なボリュームです。

まず僕が魅了されたのは、やはりマカヴォイ演じる23人格ショー。
多重人格映画は基本面白い。
ビリーミリガン等、実際に立証されているが身近にそんな人がいる人は滅多にいないでしょう。

え?私の友達がそう?

違う!違う!
AB型の人って表裏あるよね~とか、
あの子、男の前だと性格変わるよね~とかそんなレベルの話はしてません。

不適切な言い方かもしれませんが
実在が証明された都市伝説的なものを感じます。

そんな魅力ある題材な訳ですから、多くの映画はこれをオチとして使います。

多重人格者だったのかぁ!

てやつです。
何本か有名作が頭に浮かびますよね?

しかし今作はそれを隠さずストーリーの柱にして、その向こう側を見せようという試みです。

うん、面白い!

ケヴィンの中には9歳の男の子から、エレガントな女性まで様々な人格が存在します。
普通これは解離性同一性障害として扱われるのですが、ケヴィンのかかりつけで権威のあるカウンセラー(Dr.フレッチャー)は、人類の進化の可能性を見いだし親身に接します。

ケヴィンの中の23人の人格も自身を障害とはとらえていません。
自分は特別な存在だと認識しています。

特別な存在である事を証明する為に
JK3人は食べる為に用意したとのこと。

食べるとは何を意味するのか?

多分いやらしい事ではないとは思うが...

f:id:hagane-mk:20170524194748j:image

僕が僕である為に勝ち続けなきゃならない
正しいものは何なのか それがこの胸に解るまで

次は捕らえられたJK3人を紹介しましょう。

ビジュアル担当クレア
空手を6か月習ってたらしくて、逃げてやると試みますが失敗。
とっ捕まって1人別室行き。
罰として服を脱がされます。
さすがビジュアル担当。 

勇気担当、マルシア
犯人の不意をつき攻撃し脱出を試みますが失敗。
とっ捕まって別室行き。
また脱がされます。

何で脱がす?

食べるって、やっぱりいやらしい意味?

そして知性担当、今作のヒロインケイシー。
こんな状況でも常に冷静です。
彼女の回想シーンから叔父に虐待を受け育って来たことが分ります。
なんの為の回想シーン?と不思議に感じますが、ケヴィンの生い立ちと重ねると彼女の存在理由が明確になります。

正直ビジュアルはクレアの方が断然可愛いのですが、ミステリアスな雰囲気がこの映画の空気創りにひと役買ってます。
また、目と目の間がスプリットしてるのもヒロインとしては最適かと。

そんな3人の監禁時における緊迫感と恐怖感ですが

正直薄い!

暴力、不衛生感、閉塞感がないから

でもそれはそれで良いのです。
なぜなら、今作は羊たちの沈黙の様に快楽殺人鬼が監禁している訳ではないからです。
23人の人格が内なる政治を行い、目的を持って3人を誘拐、監禁してるのですからそれなりの対応をするのが自然です。

ただ恐怖演出というのは監禁映画には不可欠で、その演出がこれまたマカヴォイの23人格ショーに託されます。

JK3人は当然ケヴィンが解離性同一性障害という事は知りません。

それが次第に分ってくる演出が上手い!怖い!

ドアの向こうで男が女性と話してるのを3人は聞きます。
助けてー!助けてー!

叫ぶとドアがガチャリ

そこには女装した男が立っています。
そして女性言葉で話しかけてきます。
23人格の1人パトリシアです。

ぞ~~

きっと怖がらせる為にやってるのよ!あの変態め!

と思っていると次は9歳の人格ヘドウィグが登場して、
これはあれやな?人格のあれやな?と理解させると。

この9歳のガキを何とか手なずけて逃げようとする作戦なども、なかなか面白いです。

という感じで多重人格紹介と監禁状況が同時に展開されていきます。
で、その目的、ゴールはどこに向っているかと言うと、

24人目の人格ビーストの覚醒!

f:id:hagane-mk:20170524230515j:image

大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない

いたいけな少女たちを監禁し悪を行う事で、24人目の人格ビーストは覚醒します。
で、JKたちはどうなったかというと別室の2人は

ムシャムシャムシャ 

食べるってそのままの意味やったんかい!

グロ回避のためにそのシーンは露骨に映像にしてないのですが

ここは、勇気を持ってして欲しかった!

対象年齢を引き上げてでも映像で見せるべきでした!

おそらく、そのショッキング映像があれば多数の否定派を肯定派に出来たはずなのに...

残ったケイシーはどうなったか?と言うと
殺される寸前までいきますが、回想シーンでもあった様に体中の虐待傷を見て解放されます。

これは仲間意識というよりも

苦難を味わった者だけがピュアであり、解放されるべき存在

という24人格の誕生の経緯とそこから導き出された彼なりの答えだったのでしょう。

そして無事保護されたケイシーに警察官が言います。
「叔父さんが迎えに来てるわよ」と

複雑な表情のケイシー。
彼女にとってはまだ監禁は終わってないのです。

場面は変わり、24人の人格が会話をしています。

 

私たちは今私たちが信じる者になった
これで他の人も僕たちの存在を信じるよね?
信じるしかないだろうな
それでこれからどうするの?
彼を信じるのよ
私たちにどれほどの力があるか世界に見せつけてやるのよ...

ビーストになった姿、行動を見てそんなもんかよとガッカリした人。

覚醒は始まったばかりなんですよ!

これからとんでもない事をやらかそうとしている様子を示唆しています。
僕は彼らがどんな大犯罪を引き起こすつもりなのか震えましたけどね。

で、問題のラストです。

一連のニュース映像を見て
ケヴィンが職場で変なあだ名をつけられていた事が報道されると、それを見ていた女性が
「15年前にも似たような事件あったわよね、車椅子の精神障害の犯人が何か変なあだ名つけられてて...何てあだ名だったけ?」

するとブルースウィリスが映り
「Mr.ガラスさ...」

まさかの「アンブレイカブル」オチ!

これにガッカリした人と喜んだ人がいると。

いやいやいやアリでしょ!

別にあのシーンがなくても物語は成立していたし、あそこはサービスの領域じゃないですか。
知らない人が見て???となったとしても後にアンブレイカブルを見て

あ!なるほどで良いじゃないですか。

意味もなく前後編に分ける昨今の邦画よりよっぽど1作として成立してるけどなぁ...

そもそも僕は今作をアンブレイカブルの続編とはとらえてないです。
アンブレイカブルという作品があって
スプリットという作品があって
次作がそれぞれの続編という認識です。

同じ世界線上の話とわかって
望まずして超人として生まれた男
望んでビーストを覚醒させた男
そして悪として自分の存在意義を見いだしたMr.ガラス

この3人(正確には26人?)がどう絡むのか?
僕にはワクワクしかないけどなぁ...

次作で今作の重要性が再認識され否定派の方が肯定派に変わることを願います。


f:id:hagane-mk:20170524235000j:image

最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・アンブレイカブル
・ファイトクラブ
・アイデンティティー 

www.anomaly3-movie.com