内田…けんじ…???
となっている方もいるかもしれませんね。
では作品名ではどうでしょう?
「鍵泥棒のメソッド」「運命じゃない人」…
①ああ!あの監督か、でも全部は観てないな
②聞いたことはあるけど、観てはいないな
③いや、作品名言われてもわからん
④当然知ってるし全部観た
④の方はお帰り頂いて結構です。それ以外の方は先へお進み下さい。
内田けんじ監督
タイトルに「天才」と表しましたが、皆さんの想像する「天才」とはちょっと違うかもしれません。
0から誰も見た事もない様な作品を創る
例えば園子温や黒沢清の様な天才ではありません。
用意出来る範囲のものを組み合わせ、あれ?なんか新しくて面白い!と思わせる作品を作ります。
レゴブロックの組み合わせで凄えの作るクリエイターのような
お前の作るまかない凄え美味いなと言われる料理人のような
創る天才ではなくて作る天才
僕は彼をこう呼んでます。
庶民の天才
ちょっとだけの天才
ただの天才
と、
もちろん褒めています。
なぜなら...
え?うだうだ語らなくていいから、早く作品紹介しろ?
...ですね、作品で知って貰うのが手っ取り早いですね。
では、早速この作品から紹介しましょう。
・運命じゃない人
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- 発売日: 2006/01/27
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内田けんじ劇場デビュー作でありながら、最高傑作との呼び声高し。
もし、あなたが内田作品を1本も観た事が無いなら、まずこの作品から観る事をお勧めします。
これは「日本一いい人」と2000万をめぐる男女5人の物語
・人を疑う事を知らないお人よしの宮田
・宮田の親友で腕利きの探偵神田
・宮田の元婚約者でお金大好きあゆみ
・婚約破棄で自暴自棄で路頭に迷う真紀
・経営難で悩むヤクザの組長浅井
この5人の一夜をそれぞれの視点で描く群像劇であり時間軸系映画。
宮田の運命の人とは?運命じゃない人とは?
正直顔は見たことあるけど、名前までは...?という俳優、女優さんたち。
それでも、それぞれ個性的に魅力的に魅せるキャラクター創り。
そして
圧倒的脚本力!
え?この人そういう人?
え?あの時あの人ここにいたの?
え?あの時、ここではそんな事が起こってたの?
そんな、え?え?え?の連続。
この作品を観た大御所監督の言葉が全てを語ります。
あなたが思っているより、
遥かに美しい小さな作品です。
この作品から、日本は映画を
やり直してみてはどうだろうか...
映画監督 三池崇史
・アフタースクール
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日本アカデミー優秀脚本賞とっちゃいました。
前作とはうって変わって豪華俳優陣が揃いました。
え?大丈夫?手に余るパーツが揃っちゃうと組み合わせに困らない?
そんな心配ご無用!
むしろ困ったのは俳優陣たちでしょう
なんせストーリーが全く先読み出来ない!
誰が誰を騙して誰が騙されてるのか?
母校で勤務する教師神野(大泉洋)
そこに尋ねて来るかつての同級生、現探偵の島崎(佐々木倉之助)
島崎は木村(堺雅人)を探しているので手伝って欲しいと言う。
木村と神野は今でも親友だ。
木村は何処に行った?
木村は今何をやってるんだ?
木村を探す、神野と島崎。
そこに絡む謎の女とヤクザ、そして母校のマドンナ美紀。
どうやら知らない所で何やら大変な事が起こってるようだ...
正直、物語を把握するまでに時間がかかります。
輪郭がハッキリしません。
え?今何が行われてるの?
話の軸はどこよ?
気が付くと物語は終盤に向っていて、
え?だから何なのよ?この話!
と困惑してると最後にバシッ!と額にハマっちゃいます。
そういうことか!
見事に伏線が回収されます。
分ってから観る2回目3回目の楽しいこと、楽しいこと。
結局、騙してるのは内田けんじで
騙されてるのは僕達でした。
そりゃ、日本アカデミー優秀脚本賞取りますよ。
・鍵泥棒のメソッド
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日本アカデミー最優秀脚本賞までとっちゃいました。
劇場3本目にして日本の脚本家の頂点に立っちゃいました。
向える俳優陣は堺雅人、香川照之、広末涼子、贅沢の極みですね。
でもやることは変わらない。
いつもの庶民の為の娯楽作品です。
役者を目指すも一向に芽は出ない、恋人に振られ、金も底をつき自殺をはかるも失敗。
そんなダメダメ男、桜井武史(堺雅人)
殺した相手は死体も残さない伝説の殺し屋コンドウ(香川照之)
そんな2人が風呂屋で出会う。
コンドウは石鹸で滑って転んで意識不明。
身なりの良いコンドウの所持品を頂こうと桜井はロッカーのカギを入れ替える。
そんな姑息な鍵泥棒が2人の人生を大きく変える。
コンドウの金でやりたいことをした桜井は病院のコンドウを訪ねるが
なんと、彼は記憶喪失に...
こうして桜井はコンドウに
コンドウは桜井に
2人の人生は入れ替わる
もうね、ムチャクチャ面白いんですよ。
理屈抜きに面白い!
従来の見事までの脚本力に個性豊かなキャラクター達、そしてそれを演じきる俳優陣。
もう内田さん映画でやりたい事、全部やっちゃんたんじゃないかなぁと心配してしまいます。
だってこれ以降新作映画は公開されてないんだもの。
いや、今は多分ほくそ笑みながら新作の脚本書いてるに違いない。
絶対面白いって脚本が出来るまで映画化したくないんですよね?監督?
僕は待ってますよ。
でも出来るだけ早くして下さいね。
ということで内田けんじ監督作品全作紹介...
え?全作ってたった3本かよ!って?
はい、劇場公開作は3本だけですが、それが何か?
物足りない?
仕方ないですね、ではオマケを紹介しますか。
・ウィークエンド・ブルース
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内田けんじ作品の原点ここにあり。
後に劇場公開、DVD化もされましたが、制作時はそんな予定もなかった自主制作映画。
だから、誰やねんという俳優陣(主役の親友役は内田けんじご本人)にチープすぎる映像。
予算がなかったんだろうなぁ...
普通ならそんな作品観てらんないですよ。
ところがこの作品、
ドチャクソ面白いです!
恋人に振られ自暴自棄のサラリーマン山本、慰めてもらおうと親友健二の家へ。
ところが健二には恋人が出来ていた。
無職でダメ人間だったはずの健二に恋人が出来、就職活動まで始めている。
それに比べ俺は...
しょげる山本に健二は何やら怪しげな薬を渡す。
自分に自信が持てる薬らしい。
なかばヤケになりそれを呑んだ山本だったが
次に気が付いた時には、全く知らない場所にいた
しかも丸1日経過していた。
記憶のない1日を辿りながら知る真実に驚きを隠せない。
ハングオーバーよりも前、とっくに内田けんじはこんな作品を創ってました。
予算不足丸わかりのこの作品を面白くしてるのはやはり
圧倒的脚本力!
予算はなくてもある素材とアイデアでおもしろい物を作る。
それが内田けんじであることが分ります。
そして後の傑作たちの原点を感じ取れます。
内田けんじ好きでもこの作品は見逃してる方多いんじゃないかな?
運命じゃない人とセット版DVDも出てますので置いときますね。
運命じゃない人+WEEKEND BLUES ツインパック [DVD]
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・ 江戸川コナン失踪事件~史上最悪の二日間~
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うわぁ!あの後こうなってたのかぁ!
コナン君ってあまりよく知らないんです。
変な薬で子供にされて行く先々で事件と遭遇して解決しちゃうみたいな話ですよね。
で、それを20年以上やってると、
コナンのいるとこ人が死に、何十年経とうが誰も歳を取らない
そんな不吉で不思議な少年探偵の話ですよね?
お間違いございませんか?
そんな国民的アニメを全く理解してない僕がなぜこれを観たかというと
内田けんじ脚本作品だからです
しかも何やら鍵泥棒のメソッドが関係してるらしいってんですから見逃す手はありません。
で、鑑賞したら
関係してるどころか、これ鍵泥棒の続編やん!
準主役はコンドウで声優はもちろん香川照之。
香苗も出てくるし声優は広末涼子。
残念ながら声優は堺雅人ではないですが、桜井もちゃんと出て来ます。
ストーリーもあの銭湯でコナン君が転んで記憶を失うところから始まりますしね。
鍵泥棒の登場人物やあのシーンこのシーンと見覚えのある景色ばかり。
鍵泥棒のメソッドファンの人、これは必見ですよ!
あの後、あいつらがどうなってたか気になってたでしょ?
それが全部わかりますから。
もちろん、名探偵コナンとしても面白いです...たぶん。
だってコナン知らんもん、ごめん。
ということで、今度こそ全作紹介終了です。
冒頭で言っていた
「庶民の天才」「ちょっとだけの天才」「ただの天才」
なんとなく意味が分かって貰えたでしょうか。
独創的な天才は天才であるが故に、芸術的であったり難解だったりで時に鑑賞者を置いてきぼりにしてしまいます。
分らない人は分からなくていい
それが天才という生き物です。
しかし、内田けんじは常に鑑賞者目線で脚本を書き、映画を撮ります。
ビジネスとか芸術性とかどうでも良い、
自分が面白いと思うものを書き、それが面白いと伝わるように撮りたい
それが作品から伝わります。
それこそがエンターテイメントの基本ですよね。
だからこそ彼は自分が書いた脚本でしか撮らないという事にこだわっているんじゃないかなぁ。
原作探しで躍起になってる今の邦画界で稀有な存在です。
いくら有名になっても、お金が集まっても、このまま変わらない内田けんじでいて欲しいです。
その為ならどれだけでも、新作を待ちますから...
でも大概待ったよ、そろそろお願いしますよ...
と、懇願する毎日。
だからまだ内田作品に触れてない人が羨ましいです。
まっさらな目でこれらの作品を観られるんだから。
是非、鑑賞して僕同様、内田ワールドにハマって下さい。
で、興奮気味に言うんでしょうね、
面白れぇ!何者だよこの監督!
と、
だから言ったでしょ?
内田けんじ、彼は
ただの天才だってよ。