アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

「クワイエット・プレイス」感想 大声で文句を叫びたい!ツッコミどころ満載のホラー

 

まずお断りしておきたい事が2つあります。

1つ 今回はタイトルで分かる通り酷評です。
この映画が好きな方、好きな映画を酷評されると腹が立つという方は読まない方が良いです。

1つ 酷評するにあたりネタバレ不可避です。
未見者でネタバレNGの方は読まない方が良いです。

上記の2点がOKの方は先にお進み下さい。
アノ映画日和 久々のお怒り鼻フガ劇場の始まりです。

2018年/アメリカ
監督:ジョン・クラシンスキー
出演:エミリーブラント、ジョンクラシンスキー、ミリセントシモンズ、ノアジューブ、ほか
上映時間:95分

f:id:hagane-mk:20181024120031j:image50点

ざっくりあらすじ

世界は音に反応する"何か" に襲われた。
文明社会は荒廃し、人類は滅亡の危機にさらされていた。
運よく生き残った人々は"何か"を恐れ、音のない世界に生きる。
"何か"に殺されないように音を立ててはいけない
ただそれだけを考えて...

穏やか過ぎる夕暮れ 真夜中の静寂
またモンスターが暴れだす

前回「隠れた傑作モンスターパニック映画ランキング」なる記事を書きました。
それぐらい僕はモンスター映画が大好きです。
モンスターが出て来て人間を襲えば

「おお、まるで人がゴミのようだ」

とムスカの様に高笑いして喜び満足します。
ですからモンスター映画の採点はかなり甘い方なんです。
そこをまずご理解下さい。

はい、このクワイエットルーム
何やらモンスター映画らしいという噂を聞きつけ、居ても立っても居られず鑑賞して来ました。
噂に違わずモンスターが出て来ました。
人間を襲っていました。

が、僕はムスカにはならず赤目の王蟲となり採点は厳しく50点。
では僕が何を期待し裏切られ王蟲となったか説明していきます。

オープニング、
86日目...というテロップの後、退廃した街並みが映ります。
続いて朽ち果てたマーケットで物音を立てない様、静かに物資を集める家族
キャッチコピーは確か…

「音を立てたら、即死」

なるほどね、バカな僕でも音に敏感なモンスターが襲来し人類を襲った。
生き残った人類は僅かで、運良く生き残ったこの家族が…ふむふむ
そういう観方ね、OK OKと理解出来るほど短時間で状況説明が済まされました。

優秀です。

家族構成は夫婦、長女(12、3歳?)長男(10歳位)次男(5歳位)の5人家族。

で、次男くんがロケットの玩具を持ち帰ろうとしますが
これは音が鳴るやつだからダメだよ〜と注意され玩具は置いていきます。
が、可哀想と思ったのかお姉ちゃんがロケットを弟にコッソリ渡します。

はい、死亡フラグ立ちましたー

案の定 弟は帰り道でピロロ〜♪と音を鳴らし
シャッと現れたモンスターにシャッと殺られました。
そこにタイトルドン!

A QUIET PLACE

いや、良いオープニングやけどちょっと待って

今チラッと映ったのがこの映画のモンスター?
人間よりチョイ大きいくらいの?

まさかまさか序盤にザコ見せといて後で親玉見せるパターンのやつね?

オッケーオッケー
まだこの段階までは、僕はこの映画を楽しみ、期待で胸を膨らませていました…

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バカサバイバー 生き残れコレ
バカサバイバー Baby

結局、序盤の期待は最後まで叶えられる事なく僕は肩を落として帰る事になりました。
結論から言うと

あの最初のモンスターが全てでした。

ほっそりしてて手足が長く鋭い爪と牙があって素早くて

て、テケテケやん!

まさかの都市伝説レベル
親玉もナシ?形態変化もナシ?
スタンダードなモンスター造形

え?これで満足しろってかい?
ないわーー!!!

そうなったら物量でもの言わすしかないです。
スターシップトルーパーズの様に大地を埋め尽くす程の怪物達。
あれも怖い

が、
物量も大したことないわー

マジか?
これで人類滅亡の危機に追いやったってか?

無理無理無理無理
人類舐めんな!

今まで沢山のモンスター映画を観て来ましたが、最弱の部類です。
リプリーなら1人でせん滅してしまうレベルです。
モンスターに期待して観に行くのはヤメた方が良いです。

え?モンスター映画じゃない?

あ、そうね別にモンスターで売ってないもんねこの映画
じゃあホラー映画としてどうかって話になりますが、

モンスターが怖くないホラーってどうなん?

だいたいアイツら弱点多すぎ
聴覚が凄い敏感なだけで、視力がなくて嗅覚も鈍い。

いくらでも退治方が思い浮かびます。
デカい音鳴らして集めてミサイルドン!で終いやん
人類滅べへんやん...

どうしてもあの退廃した街をあいつらがやったとは思えないんです。
どうしてもその事ばかりが頭に浮かんで怖がれないんです...
こんな事ならモンスターが出るなんて知らなければ良かった。
音に反応する悪霊が家族を襲う系ホラーとか思ってたら良かった(涙)

僕が悪いんですよね?見当違いの期待した僕が?

でもね、最初のシーンから472日目ってテロップが流れて
奥さんが映ったら、お腹が大きいんですよ

はぁ?

音を鳴らしたらあかん世界で子供つくる?
出産の時、声出るよ?
赤ちゃん大声で泣くよ?

危機管理能力0やん!
どんな状況でセックスして子供つくっとんねん
緊張感も0か!

僕 、皆さんがこの家族とあのモンスターで何をどう怖がれるのか不思議で仕方ないです。
一応子供を失った悲しみを新しい命を宿して乗り越えたという解釈でなんとか理解しましたけど。
それにしても、その新しい命に対する会話などが皆無+この状況での出産対策が全く取られていない。

そこはもう少し丁寧に描かなあかんのんちゃう?

と激しく???がつきました。

しかし、?がつくと同時に赤児というキーパーソンがこの映画最大の期待を僕に与えてくれました。
結果、それもまた裏切られる事になるのですが、それについては後ほど記述します。

さて、家族の愚行はこの後も続きます。
イビキはおろか すかしっ屁すらも危うい世界で生きていかなければならない家族。
家でもみんな そろりそろり歩き、小声と手話でやり取り。
モンスターに気づかれない為 必死です。
でも空では鳥が鳴き、大地では風で草木が揺れる音がしています。

どのレベルの音でダメなのかイマイチよく分かりません。

それを説明する為か、お父さんと長男が川に魚を取りに行くシーンがあります。
お父さんが息子に説明します。

ほら川の音は大きいだろ?でも奴らは現れない。
この音以下なら音を出しても大丈夫だ。

え?自然の音はOKってこと?
さらに大きい音が鳴る滝のところに連れて行くと
お父さんは大声で叫びます。

フォーーーーー!!!

ほら、大丈夫だ、お前もやってみろ
息子も叫びます。

フォーーーーー!!!

セーフです。

え?それやったら自然の音 録音して家で流しといたら...

一方、お母さん
娘と二人でお留守番。
しかし娘はふら〜っと1人お出掛けしてしまいます。
1人家に残されたお母さんは、みんなが出掛けている間に産気づき

ついには破水します。

マジか...
これには僕もドン引きです。
出産予定日前後は家族一丸で守らないとダメじゃないですか?
何で出掛けてるんですか?
フォーーーーー言うとる場合か
優先順位がむちゃくちゃ…

誰も助けてくれる人もなくお母さんは1人 何とかバスルームに向かいます。
が、途中アクシデントにより音を出しモンスターを呼び寄せてしまいます。
モンスターが家をウロウロしますが赤ちゃんは待ってはくれません。
堪らず声を上げて気絶してしまいました。

が、何とかセーフ

駆けつけたお父さんが奥さんと赤ちゃんを安全な部屋に連れて行きます。
気がついた奥さんにお父さんが言います

「大丈夫  防音室だ ここなら大丈夫、ここなら聞こえない」

おそらく世界中の人が心の中で突っ込んだでしょう。

防音室あったんかい!

なら居住スペースの中心は絶対そこじゃないとおかしいし
少なくとも出産前後のお母さんはそこで隔離して皆でサポートしないと...
防音室で結構普通目なボリュームで会話する夫婦に突っ込む気も失せそうになりました。
が、皆さんご存知の通りこの映画は最後までツッコミどころのオンパレード。
関西生まれ関西育ちの僕はどうしてもツッコミたくなります。

弟くんは草むらをかき分け走って逃げるし
(音!音!そろり設定どこいった!)

姉弟揃ってトウモロコシの殻に沈んで死にかけるし
(本筋と関係ないやん!)

お父さんは子供たちを助ける為に大声をあげて死ぬし
(物を投げて音を出せばいいやん!)

I Can'not Stop NANDEYANEN
心のツッコミが止まりません。

予想と期待を悪い意味で裏切られ続けです。
が、終わり良ければ全て良し
僕はエンディングに残り全ての期待を賭けました。

先に書いた赤児がキーのやつです。
そもそもなぜこの映画のタイトルは

「クワイエットプレイス」

なんでしょう?
僕はずっと疑問に思っていました。
クワイエットワールドでもクワイエットカントリーでもなくクワイエットプレイス
プレイスとはある限定された場所をイメージさせます。
そこに赤児というキーパーソンが出てきました。
これはきっと最後、赤児が泣き
家族が最大の危機を迎えることになるだろう
そしてお母さんは究極の選択を強いられることになる

赤児の声を止め家族を救うか
赤児と共に全員死ぬか

どちらを選んでもかなり残酷なラストですが
これなら
ここでは誰も声を出してはいけない

プレイス=我が家

ということで腑に落ちます。

そしてかなり衝撃的なエンディングとして僕の心に残ったでしょう
今までの不満を全てチャラにしてしまうぐらい。

が、見せられたのは聴覚が鋭いモンスターは弱点もその凄すぎる聴覚にあり音によってやられるという

安易の極み。でした。

しかもトドメは猟銃で仕留められていました

物理攻撃効くんかい...
しかも猟銃1発って...
イノシシか...

激しくガッカリです。

オープニング、家族の目の前で1番幼い次男が殺されるというかなりの残酷をご披露しといてこの終わり方…
なんじゃこりゃ?

この映画はモンスター映画ではない
ホラー映画でもない

ただのファミリー映画だ

僕がこの映画に抱いた印象はそんな感じです。

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アンコールの拍手の中飛び出した
僕は一人涙を浮かべて

映画が終わり、さぞ皆さんも不満のご様子だろうと聞き耳をたてると

「怖かったね〜」
「演出が上手いな」
「面白かった」

絶賛に次ぐ絶賛の嵐

う…嘘だろ…?
僕は慌ててネットの有名レビューサイトを覗いてみた。

満足度数77%

た、高え…あり得ねえ…
僕が抱いた感想は完全にマイノリティー側でした。
なので今回の記事を読んでいる皆さんは

は?何言ってんのコイツ?
いちいち細けえ事にうるせえ奴だな

と思われているに違いありません。
きっと皆さんと僕とでは求めている物が全く違うのでしょう。

僕がこの手の映画に求めるのは

絶望

です。

想像の域を超えた怪物
話の通じないサイコパス
最善を尽くした結果、訪れる不幸。

そんな抗い様のない絶望を与えた上で、登場人物がどうするのか?
観たいのはソコなんです。
加えて僕は性格が悪いのでバッドエンドを好みます。
そのどれもがこの映画には無かった。

これがもしB級映画だったなら、それが無くツッコミどころ満載でも
逆にソコを楽しめました。
でもこいつ凄えA級ヅラしてるでしょ?

どうっすか?斬新でしょ?怖いでしょ?

みたいな。
で、実際それが受けて大ヒットしています。
そうなってくると僕みたいな捻くれ映画ブロガーは文句を言いたくなる訳です。
だからハッキリ言っておきます。

A級はこんなに雑な仕事をしない
これは間違いなくB級映画

もっと言えば

駄作です!

言ってやった言ってやった
はぁースッキリした。
でも最後に1つぐらいは褒めの言葉を置いておこうかな

90分ちょっとでサクッと終わって良かったね。

以上です。
いつもは映画に優しいアノ映画日和あのまりでした。

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追伸、最後にもう1個だけ文句言わせて下さい。
奥さんが階段で釘を踏んだじゃないですか?
で、そのまま釘は放置されて
その後、お父さんが階段降りて来てまた踏むかと思ったらスカし
次にモンスターが降りてきて
今度は踏むぞ踏むぞ!と期待したらまたスカし

あそこは絶対モンスター釘踏まなあかんやん!

何の為に何回もあの釘映してたん?
意味ないやん?
てみんな思ったよね?
え、思ってない...?また僕だけ...?

失礼しました、さようなら~( ;∀;)