アノ映画日和

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「輪廻」感想 夏お勧めJホラー!清水崇監督代表作は呪怨ではない、コレ!

 

夏だ!
夏と言えば、海!花火!BBQ!
yeah!
はい、それはハッピーなリア充さん達の夏です。

僕のような非リアの夏といえば
心霊特番です。
ジメジメ蒸し暑い日本の夏にぞぞーっと寒くなるような怖い話はよく合います。

ということで、今回は非リア仲間さんたちの為に
背筋も凍りつく様なJホラーを紹介します。

2005年/日本
監督:清水崇
出演:優香、香里奈、椎名桔平、小栗旬、松本まりか、ほか
上映時間:96分

f:id:hagane-mk:20170717203047j:image80点

ざっくりあらすじ

あるホテルで大学教授が幼い息子、娘、宿泊客、従業員、計11名を殺害し最後は自身も自殺という残酷な事件が起こる。
それから35年後、その事件を題材とした映画が撮られることとなった。
新人女優、渚(優香)はその主人公(教授の娘)役に抜擢される。
しかしそれ以降その少女の記憶がフラッシュバックする様になる。
一方、弥生(香里奈)は幼い頃から知るはずのないホテルの記憶を不思議に思い独自に調べ始める。

次第に明らかになっていく真実はあなたを震わせる...


憶えてるか 子供の頃 テレビの中 殺人事件

血まみれのジャックナイフ
白いチョークとうすら笑い 

突然ですがJホラーといえばどの映画ですか?
リング?
なるほど、王道ですね。ま、良いでしょう。
はい次の人
女優霊?
確かにストーリー的にも映像的にも良い作品ですね。
しかしまた中田監督作品ですか...他ないですか?
はい、あなた?
呪怨?
呪怨ねぇ...呪怨...アウツ!

確かにリングと並び評されるホラー映画です。
しかしJホラーの良さって何ですか?
ビックリ恐怖映像ですか?
違いますよね?

そう、まず陰鬱なストーリーありき!
そこに効果的に使われる恐怖映像
この2つが揃ってこそJホラーです!

同じ清水崇監督作品なら「呪怨」ではなく「輪廻」。
これを選んで下さい
では輪廻の紹介をはじめま~す。

尚本作は優香演じる渚と香里奈演じる弥生のパートが交互に描かれていますので、紹介もそのようにさせて頂きます。


【渚SIDE】

物語は監督松村(椎名桔平)が映画キャストを探すオーディションから始まります。
そこに渚は参加していました。

「私、前世で殺されてるので殺される役には自信があります!」

と訳の分からない不思議ちゃんをかます由香をはじめ、皆積極的に自分をアピールしているのに、自己アピールの苦手な渚は黙って座ってるだけ。
何も出来なかった渚はマネージャーから説教される始末。

が、松村はなぜか渚に惹かれていた。
事務所に台本が届きます。
ちなみに僕は不思議ちゃん役の松本まりかさんのファンなので

まりかさんの出番もう終わりかよ!
コンチキショー!由香を選べよ松村!

と1人怒っていました。

台本が届き喜んでいた渚とマネージャー。
「でもこのストーリー何か知ってるような...」
既視感を持つ渚にマネージャーは教えます。

「この話は実際に起こった事件を元にしてるんだ...狂った教授が一家心中に宿泊客や従業員まで巻き添えにしてな...そうか渚はまだ生まれてないか」

配役発表の日、松村は次々と演者と配役を発表。

「この映画は教授は出さず闇の存在とし11名の被害者に焦点をあてた群像劇にします。なお最も重要な6才の少女役は年齢設定を変え渚に演じて貰います」

松村は年齢設定を変えて起用するほど、なぜか渚に惹かれていました。

「撮影はセットで行いますが、皆さんにどのような場所でどのような事件があったのか体で知って貰う為現場に行きます」

廃墟となった現場で殺され役の俳優達が実際に死んだ場所で写真を撮りますが
渚の目には当時殺された人々の姿が映ります。

トイレに行くと席を立つ渚。
トイレから出ると廃墟だったはずのホテルが渚の目には事件当時のホテルが映ります。
目の前で少年(教授の息子)が引きずられ腹を刺され殺されます。
殺人犯の教授はそれを8mmカメラで撮影しています。
怯え逃げ惑う渚。

現場では行方のわからなくなった渚を皆が探します。
見つけたのは松村監督でした。
ある部屋の押し入れの中で隠れる渚を

「君は勘が鋭いようだ...そうそこが最後に殺された少女が隠れていた場所だ」

 

君の前前前世から僕は 君を探し始めたよ
その騒がしい声と涙をめがけやってきたんだよ

【弥生SIDE】

ある大学では弥生が恋人の和也に相談しています。

「私、最近何度も変な夢を見るんだけど赤い屋根のホテルで...」

はぐらかす和也ですが弥生は続けます。

「親に話したらね、まだその夢見てたの?あなた小さい頃からその夢の話ばかり」

と、
あまりに真剣に悩む弥生に和也はある子を紹介します。
おーい!
現れたのは不思議ちゃんこと由香

ヤッホーイ!
思わぬ再登場に僕は小躍りしました。

「あれ?あなた前にも会ってるよね?あ、そっかもしかしたら前のことかも」
「前って?」
「私ね、時々前世の記憶と今の記憶がごっちゃになっちゃうんだ」

不思議ちゃん発言大炸裂に戸惑うも弥生は聞きます

「どうやったら?前世とかわかるの?」
「簡単だよ、調べればいいんだよ」

二人で図書室に行き、ある事件記事を見せる由香
「この人、この殺された人が私の前世」

そう、事件とはあの教授の事件で場所はあのホテル、そして弥生が見続ける夢の場所でもありました。

続けて資料を探す弥生と由香ですが
1人になった由香を1体の人形が見つめています。
そしてその人形が招いたように大量の悪霊たちが現れ由香は...

タイトルとここまでの話でとっくにお気づきでしょうが、この物語は輪廻転生を題材とした映画です。
殺された人々は転生後どのように生きどのような運命が待っているのか...

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恐いくらい覚えているの
あなたの匂いやしぐさや全てを

【渚SIDE】

もう役を降りたい気持ちでいっぱいですが松村監督の情熱と主役という大任がそれを許しません。

夜、渚は夢をみます。
あの事件当日に人形と手を繋いだ自分がいます。
あたりを見まわし気づくと繋いだ手の先にはあの少女がいました。

「ずっと一緒だよ...」

ハッと目が覚めた渚はなぜかあのホテルの部屋にいます。
そこに人形がふすまを開け、その後ろの少女が言います。

「ずっと一緒だよ...」

ヒャッ!

正気を取り戻すと自分の部屋に戻っていました。
しかし布団の中にあるはずのない、あるモノを見つけます。
古い8㎜カメラ...そうあの教授が事件日に撮影していたカメラです。


【弥生SIDE】

一方弥生は事件の唯一の生き残りである教授の妻の元を訪ねます。
すっかり老婆になった妻ですが、事件の事を忘れるはずがありません。

「あの男は世間では狂った教授とされていますが、あの男が残したノートを繰り返し読み私は気づきました、あの男は狂ってなどいなかった。あれは実験だったんです」

恐ろしい内容が書かれたノートがあったんです!
私はそれを読んでしまったのです!

なんか似たようなセリフを最近聞いたような気がします...

そのノートには輪廻転生に関することが書かれてあり、こう記されていました

肉体は器でしかない

老婆の話を聞いた後に実際にホテルに向かう弥生。
廃墟のはずのホテルがあの日の状態に
ここは夢の世界なのか?霊界なのか?とにかくあの日です。

昭和45年4月17日、恐ろしい事があったんです!
私はそれを命をかけて皆さんに…このネタはもういっか

ホテルの玄関に辿り着くと沢山の人々が集まりだし弥生に詰めよって来ます。
その人達の顔はもう人の顔色をしていません。
そしてその集団の中には

由香さん!

消えた由香さんを見つけ叫ぶ弥生と僕。
廃人の様な由香は反応しません。
そして集まった人々はそれぞれ所定の場所に向い、殺害された場所で次々と倒れていきます。

怯え逃げ惑う弥生はある部屋に辿り着きます。
そこには首を吊ってゆれる由香の姿が...

由香さーーーん!!!

あ、これは僕の叫びで弥生は怯え座り込んでしまいました。

以下最重要ネタバレがありますので、未見者はモヤモヤしながら閉じて下さい。

 

そう何度でも何度でも
僕は生まれ変わっていける
そしていつか捨ててきた夢の続きを 

 

【渚SIDE】

セットで逃げ惑う少女を演じる渚。
迫真の演技をする中
気が付けば目に映るのはセットではなく事件当日のホテルに
スーっと姿を消していくスタッフ。
監督ただ1人を残して。

なぜ監督だけが...?

監督は突然腹を抑え吐血
その姿は腹を刺され殺された少年に...

監督は殺された少年(兄)の生まれ変わりだったのです。

監督が事件の映画化に執着し渚の主役抜擢に固執したのはそのせいだったのです。

監督が...兄が...殺された
つ...次は私の...番...

怯え逃げる渚は導かれる様にあの部屋へ向かいます

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【渚&弥生SIDE】

ついにあの部屋の押し入れに辿り着いた渚。
そのふすまを開けます。
そこにあったのは

弥生の死体

え?え?少女の生まれ変わりは弥生...?
じゃあ、渚は...

私は騙されたんです!
週刊文...いや清水崇監督に!

そう、渚の前世は少女ではなく殺害犯の教授でした

突然現れた8mmフィルムに違和感は感じていました。
霊が物を運んで来たことに無理演出を感じていました。

でも渚=教授で納得しました。

前世の記憶がフィルムのありかを告げ、無意識の間にそれを取って来てたんです。
そのフィルムを別室でマネージャーが観ていました。
マネージャーが観る事件当時の記録と現在渚が目にしている映像がシンクロします。

死体は起き上がり出し渚を追って来ます。
ホテルを出て町を逃げ惑います。

死体に追われ逃げる渚の道と8mm映像の教授の逃げる道は同じです。
辿り着いた家。
怯える渚。
そこに少女が近づいて来ます。
少女の姿は人形へと変化し渚に近づいて来ます。

映像の教授はナイフを突き刺し自害する瞬間。
ナイフを喉に突き刺し大量の血が噴き出します。

同様に渚も割れたガラスの破片を喉に向けます。

そのガラスには血にまみれた教授が映ります。
人形がドンドン近づいて来ます。
そして目の前で

「ずっと一緒だよ...」

気を失う渚

 

【エピローグ】

普通なら先ほどのシーンでエンディングです。
でも今作はまだ恐怖を届けます。

試写室であの日撮影された渚の姿が映し出されます。
そこには教授の妻であった老婆も招かれていました。

渚が見てた景色は当然映っていません。
1人で恐怖に怯え逃げ最後には発狂します。

しかし老婆だけには殺された子供たちの姿がハッキリ見えていました。

さて渚はどうなったのでしょう?
拘束着を着せられ監禁部屋に...
その表情はもはや人のものではなくなっていました。

それを老婆が小窓から覗いています。
食事受け渡し口から少年と少女の形見であるボールと人形を投げ入れます。
渚にはそれが少年と少女に見えます、聞こえます。

「ずっと一緒だよ...」

取り乱しもがき苦しむ渚...

ヒー!ハヒー!

あの可愛い優香が化け物のような形相に...
それを満足げに笑いながら見届ける老婆。

狂乱の果てに笑みを浮かべる渚...END

こわ~~~

ジメジメ蒸し暑い夏、この映画を観ればクーラーの設定温度を2度ほど上げれますよ
STOP!温暖化!
是非、ご鑑賞下さい。

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追伸、輪廻転生の実験なら勝手に1人で死んで確かめれば?
そう思ってません?
教授は前世の人の繋がりは転生後どう結びつくのか?
それは赤の他人でも殺し殺されの関係が出来れば来世でも...
そこまで知りたい欲求にかられてたんですね、たぶん。

もしかして僕とあなたも何かで結びついてるかもしれませんね。 

輪廻 [DVD]

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 最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・残穢
・アイズ
・女優霊