アノ映画日和

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「貞子vs伽椰子」感想 バカにして観たらメチャ面白かったので謝りたい件

 

ハッキリ言って鑑賞前まで思いっきりバカにしてました。
劇場鑑賞者の面白かったという感想を聞いても
「へ~~そうなんだ~」
と返しながらも内心
「面白い訳ねぇだろ!この映画音痴が!」
くらいに思ってました。

鑑賞しました。
はい、メチャクチャ面白かったです。

謝罪の意味も含め
どこが面白かったのかと
なんで面白い訳ないと思っていたかの言い訳を書きます。

 

2016/日本
監督:白石晃士
出演:山本美月、玉城ティナ、安藤政信、ほか
上映時間:99分


f:id:hagane-mk:20170604042928j:image80点

ざっくりあらすじ

偶然手にした呪いのビデオを観てしまった女子大生の友里(山本美月)
そのビデオを観た者は貞子の呪いによって2日後に必ず死ぬ。
一方女子高生の鈴花は入ったら必ず死ぬという呪いの家に引き寄せられていた。
2人を救う為に呼ばれた霊媒師経蔵(安藤政信)は言う
「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!」

こうしてJホラーを代表する貞子と伽椰子、最恐の呪いが対峙することとなった。

 

だってなんだか
だってだってなんだもん

僕は人から叱られたらまず言い訳から入るタイプです。
それで相手を余計に怒らせます。
仕方ないです。そういう性格なのです。
だから先に何故この映画が面白い訳がないと思っていたのかを書きます。


理由その1、〇〇vs〇〇映画で面白かった試しがねぇから!

今まで数々あったじゃないですか?
〇〇vs〇〇映画。

あれ、面白いですか?

それぞれのファンに気を使って、どっちにも見せ場を作ろうとして時間配分がバラバラ起承転結がゆるゆる、結果どっちも殺す。
そんなパターンが多すぎなんですよね。
そのくせ、このキャラ好きなんですよね?だから今さらキャラ説明とかいりませんよね?ていう鑑賞者に甘え切ったスタイル。
はぁ?ってなもんです。

で、それにキャラに気を使い過ぎているから肝心のストーリーがペラペラ。

無理くり闘わせる理由を作るのに必死!

そんな映画面白い訳ないじゃないっすか?


理由その2、格が違いすぎて勝負成立してなくない?

リングは凄く好き。
劇場版ももちろん良かったが高橋克典主演のTVドラマが凄く好きだった。
そして何よりも原作小説が素晴らしかった。
要は脚本がしっかりしているのです。

貞子がいかなる人生を歩みどのような恨みを抱いて死んでいったかがきっちり描かれています。

貞子のバックボーンを理解してるので、その怖さを知っています。

一方、伽椰子...?

え?どちら様でしたっけ?

いや、もちろん呪怨は観ましたよ。
でも記憶に残ってるのはとしお君ぐらいしか...

伽椰子がどんな人物でどんな恨みを抱いて死んだのか、さっきWikipediaで読んでも
あ、そうだっけ?
くらい記憶にありません。

これ僕だけ?
たぶん街角認知度アンケート取ったら
貞子70% 伽椰子30%ぐらいじゃないかなぁ...

こんなの千代の富士vs寺尾ぐらいの勝負で格が違い過ぎるよ。
そんな映画面白い訳ないじゃないっすか?
(一応言っときますけど寺尾は好きですから)


理由その3、白石晃士は当り外れの差が激しい&モキュメンタリー以外撮れんのかよ?

毎回褒めたり貶したりしてるけど気が付けば白石監督の作品は全部観ている。
でも当り外れの差が激しすぎるんですよ!

ハッキリ言ってこんなのクソだよと思ってる作品もあるぐらいです。

まぁとにかく毎回思いっきりバットを振る、ホームランか三振監督イメージが強い。

で、白石監督といえばモキュメンタリー&サブカル。

今作はモキュメンタリーでもなきゃメジャーキャラを使った映画でしょ。
三振の臭いがプンプンする訳ですよ。

そんな映画面白い訳ないじゃないっすか?

と、まぁこんな理由で観るまでもなく駄作扱いしてた訳で、今年のような近年稀にみる傑作邦画続出Yearに水を差すような真似はやめてくれよな!
そう思ってた訳です...はい。

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素直に I'm Sorry いつもうまく言えないけれど
I'm Sorry Kiss をしたくて

はい、鑑賞しましたよ。
レンタル開始当日に。

す、す、すんませんでしたあ!

面白い!メチャ面白いじゃないっすか!

もうね1個目の言い訳から論破されてる訳ですよ。
ストーリーがシンプルでありながら1本芯が通っていて、キャラが対立する必然性がそこにはあります。

あとファンに媚びてませんし甘えてないですね。
リングと呪怨の最低限の説明はしておいて、そのキャラは大事にしつつ、

もうひとまわり大きな世界感で包んでいる。

キャラありきで無理やり入れ物を創っている訳ではなく、まず入れ物をしっかり創った上でキャラを置いている感じ。

キャラを理解してるからこそ入れ物を大事に!

一流建築士が住む人のことを考えた家創りをするようなものです。

 

2個目の言い訳、これも覆されました。
貞子(リング)は設定やバックボーンの恐さが面白くて
伽椰子(呪怨)は視覚的な恐さが面白いです。

言うならば多才な技を持つ技巧派と強力な1発を持つハードパンチャーの対決。
これはカードとして面白いですよ。

映画全体としては互いの長所を引き出され、短所を補い合ってます。
いや、この対決アリ!大アリ!


最後の言い訳は言うまでもないですね。
ホームラン...バックスクリーン直撃のホームランを打たれました。
もう僕は甲子園の土を持って帰ります。

この監督さんは予算があれば良いものを創りますわ。
各映画会社の方々、是非彼をドラフトで1位指名して取り合って下さい。


スキならばハマります 黄昏れたこの街の中で

アイモカワラズ 僕は走り続けてる  

 

まぁ、ストーリーはまだ新作なので未見の方の為触れずにおきますが
この映画は白石監督作品を観て来た人はより楽しめる隠れアイコンがちりばめられてますね。

例えば、祈祷師が呪いを取り払う儀式をしてる時に水をガブガブ飲ませるとこなんかは
「バチアタリ暴力人間」を観た人はニヤリとしますよね。

常盤経蔵(安藤政信)のキャラはどうしたって「カルト」のNEO様を思い浮かべます。

それにバケモンにはバケモンをぶつけんだよ!
て、これはコワすぎシリーズ工藤Dイズムに他なりません。

髪の毛とかウニョウニョ演出は監督の得意技ですしね。

で、大切なのは観てなくても楽しめるってこと!
ストーリーに支障のないところにファンサービスを入れてます。
これでストーリーに???となる様ではただのファンに対する甘えになりますからね。

コワすぎの劇場版では主要な登場人物に他作品のキャラを持ってきたりしてたので、それは違うだろ監督!と思いましたが、今回のサービス精神は素晴らしいです。

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あとこの映画で素晴らしい!と思ったのは経蔵と珠緒の霊媒師コンビ。

この2人、キャラが秀逸すぎるでしょ!

ブラックジャックを思わせるクールな経蔵とピノコを思わせるちょっと擦れた盲目の子ども珠緒。

下手したら貞子、伽椰子より記憶に残ります。
このキャラを出す事で、リング、呪怨の世界におじゃましますのスタンスではなく、どうぞお入り下さいと監督の世界観に招き入れた感が出てます。

誰が撮っても同じ映画ではなく白石晃士が撮るからこうなったというシンボルになってると僕は捉えました。

彼らをこの作品で使い捨てるにはあまりに勿体ないなぁ。
彼らを主演とした作品をバンバン出して欲しいです。
それこそ、死霊館のウォーレン夫妻やインシディアスのBBAみたいにしてさ

監督お願いしますよ。

という感じで今回は鑑賞前の非礼をお詫びの上、訂正して褒めちぎっておきました。
でもこれは媚びではなく正直な感想です。

ぶっちゃけ本家リングには及ばないものの、リング2、3といった続編たちと比べれば格段上に位置付けてます。
呪怨に関しては個人的に本家もそんなに...という感じなのでこちらの方が好きです。

それぐらい好きな作品でした。
でもいつかまた三振もするでしょうから、その時はボロクソに書いてやります。
その時をお楽しみに。

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追伸、悔しいけどこれリア充カップルがキャアーキャー言いながら観るのに最適な映画なんですよね。
リア充さんはクリスマスとかに2人で観れば良いんじゃないですか。
で、ラストカットを観たことで本当に呪わればいいのに。 

貞子 vs 伽椰子 プレミアム・エディション [Blu-ray]

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最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・カルト
・ノロイ
・インシディアス
※リング、呪怨は言わずもがなですよね