ティムバートンは好きかー!?
大好きー!
私もー!
俺もー!
そんな声が聞こえてきそうです。
いやぁ、ティムバートンもすっかり有名人気監督になりましたね。
映画界の異端児が気が付けば王道になりました。
今回はそんなティムバートンの最新作でいかにもティムバートンらしい映画の紹介です。
2017年/アメリカ
監督:ティム・バートン
出演:エヴァグリーン、エイサバターフィールド、サミュエル・L・ジャクソン、エラパーネル、ほか
上映時間:127分
81点
ざっくりあらすじ
孤独な少年ジェイク。
彼は幼き頃祖父の体験談として聞かされていた奇妙な島の奇妙な住人の話を信じていた。
やがて青年になり彼は祖父の話は痴呆によるものだと理解した。
そんな祖父が怪死。
大好きだった祖父の遺言そして精神科医の助言もあり、ジェイクは奇妙な島に向う。
そこでジェイクが目にしたものは1943年9月3日が繰り返される島であり、奇妙な住人たちだった。
さあさ寄っておいで覗いてみな 今宵皆様
にお贈りするのはBaby.
ありとあらゆる愛ヌラリ お楽しみあれ
ざっくりあらすじでも分かるように、実にティムバートン臭が強い映画です。
ティムバートンは有名人気監督になった反面、多くのアンチも抱えるようになりました。
そんな方達からすれば
ちょ、ちょ、誰か窓開けて!
となるほど今作はティムバートン臭がキツいです。
ティムバートン好きの方はそんな方たちを怒ってはいけません。
誰だって嫌いな食べ物がある様に映画にも好き嫌いはあります。
僕だって玉ねぎやチーズ(溶けたチーズは大好き)は嫌いです。
でもティムバートンは大好きです。
だから今作のように臭いのキツい作品ほど
これこれこれ~~
となります。
彼の作品はファンタジーな世界が素敵。
でも本当に素敵なのはファンタジーとリアルの繋げ方、そして少し足されるダークのさじ加減。
同じ日を繰り返す奇妙な世界と奇妙な住人だけで描いては
「不思議だね」で終わりです。
不思議過ぎてどう不思議かも見失いかねません。
そこに主人公の凡人ぶりとその生活を描くことで、サイズ感を知らせます。
そしてその凡人が奇妙な世界で活躍するから心躍ります。
でもそれだけではティムバートンらしさが出ないから、ダークエッセンスを足します。
これでティムバートンらしい大人の絵本の出来上がりです。
※もちろんいやらしい意味ではない。
さて日常に不満を感じていた少年ジェイクが辿り着いた世界で待っていた住人とは
・空気より軽く宙を舞う少女エマ
・人形に命を吹き込む青年イーノック
・発火能力少女オリーヴ
・透明人間ミラード
・超怪力少女ブロンウィン
・体内に蜂を飼う少年ヒュー
・植物を操る少女フィオナ
・後頭部に口を持つ少女クレア
・予知能力を持ちそれを映写するホレース
・謎の双子
そして、この世界の創造主であり彼ら彼女らを守る
ミスペレグリン
彼女は
鳥への変身能力と時間を操る能力、2つの能力を併せ持つ。
おじいちゃんの言ってた事は本当だったんだ!
彼らとの出会いでジェイクは喜びます、そして喜びの分だけ反省します。
信じきれなくてごめん...
見事に現実世界とファンタジーの世界が交わりました。
さぁさ寄ってらっしゃい見てらっしゃい
ティムバートンの描く絵本の始まりだよ!
所詮突き刺して彷徨って 塗りつぶす君の今日も
つまりエンド&スタート 積み上げる弱い魔法
前半から中盤にかけては凡人ジェイクの目を通し、先に紹介したワンダーランドの住人紹介です。
僕が特に惹かれたのは(多分みんなもそうじゃないかな?)
エヴァグリーン演じるミスペレグリン。
その風貌は威厳と優しさをあわせ持ち、いかにも時間を操りそ~という説得力があります。
今作のタイトル冠になるに十分な存在。
次いで空気より軽く宙を舞う少女エマ
彼女はその能力にも惹かれますが、それよりも演じるエラパーネルの可愛さね。
あんなの反則級!
誰だって恋しますし、守りたくなりますし、紐で縛って凧揚げしたくなります。
他のメンバーも魅力的ですが、この2人は別格ですね。
で、そもそもなぜミスペレグリンは同じ日をリピートする世界を創ったのか?
彼女達が生きる時代は第二次世界大戦の真っただ中。
常に命の危機に脅かされる毎日。
しかもそんな時代に生まれた異能力をもつ子供達の存在は特に危ない。
だからペレグリンはそんな時代の中でも安全な1日を選び、その日をリピートさせて子供達を守ることにしたのです。
そんな世界にひょっこり足を踏み入れてしまったのが、ジェイクと若かりし頃のジェイクのおじいちゃんです。
ジェイクとおじいちゃんの歳はかなり違いますが、彼らが出会ったこの世界とその住人達は全く変わりません。
ジェイクが恋したエマはかつておじいちゃんの恋人でもあったっていうね。
そういうお話ですよ。
ん?何かが足りない?
そう!ティムバートンと言えばダークエッセンスですよね!
今回のダークエッセンスは
変身能力を持つバロン率いる悪の異能力者軍団(ホロウズ)
彼らは永遠の命を得る為の実験で異形な異能力者となったが、異能力を持つ子供の目を食べる事で人間の姿を取り戻せると。
だから子供達を襲います。
なんで異能力者の子供の目玉を食べると戻るのって?
そんなのは知りません!
とにかくペレグリンは戦争という危険と、ホロウズからも子供達を守らなければなりません。
このホロウズの登場で物語は大きく動きます。
なんで?スーパー能力者の子供達とペリグリンで撃退すればいいじゃん!
そうお思いか?
ハハハハハ...かかったな!ティムバートンの罠に
なんとホロウズの姿はペレグリン達には見えないのです!
なんで?
なんでと言われましても、そういうことなんです。
しかしホロウズの姿を見ることが出来る能力というのがあります。
その能力の持ち主こそ、ジェイクとそのおじいちゃんです。
この能力が隔世遺伝していたから、ジェイクはループの世界に入れたんですね。
ジェイクは凡人ではなく能力者だったのです!
誰だ!その都合の良い能力とか、他では使えない要らねぇ能力とか言ったの!
しかしジェイクはその能力を利用されていました。
ホロウズのボス、バロンに!
爺さんの能力を引き継いだジェイクは島に入ることが出来る。
ジェイクの後をつければ、隠れている異能力者の居場所が分かるぞ...と。
そうです、最初に島に行く事を勧めた精神科医は変身能力を持つバロンだったのです。
そして、おじいちゃんを殺したのもホロウズでした。
ちくしょう!バロンめ!僕を利用しただけでなく、おじいちゃんまで殺しやがって!
絶対許さん!!!
あ、これはジェイクではなく僕の心の叫びです。
バロン達ホロウズはかつて失敗した永遠の命を創り出す実験を再び行うつもりだった。
その為には鳥の姿となったペレグリンが必要。
なんで?
もう!なんで?は禁止!
とにかくホロウズの目的はペリグリンを使い永遠の命を手に入れ、子供の目玉を食べて人間の姿を取り戻すこと。
そしてペレグリンはバロンの汚い策略により、捕らわれてしまいます。
ペレグリンの命も危ないが
ペレグリンが死ねば、ループは閉じ時に追いつかれた子供達も死んでしまう。
さぁ、ジェイクよ子供たちよ立ち上がれ!
今こそその能力を使う時は来た!
ペレグリン救出作戦実行です!
ここからのホロウズvs異能力キッズたちのバトル(総力戦)はかなり面白いですよ。
人形に命を吹き込むイーノックが作り出した骸骨軍団の活躍は最高!
エマの本当の能力に驚愕!
そして全ての異能力者が役立つ訳でもないというところがまた良いです。
あれ?お前いらんかったんちゃう?てのが。
逆に謎の双子の能力がチート過ぎて
お前らだけでホロウズ全滅させれるやろ!てね。
またホロウズに雪をぶつけたり色付けして可視化させる作戦も面白い。
だってその時点で主人公であるジェイクの能力は不要ですからね。
ま、ここは見所充分なので文字で知るより映像で確認した方が良いでしょう。
それでなんやかんやあってホロウズを撃退しペレグリンは救出されます。
でもジェイクにはこれから大事な選択があります。
ホロウズが過去で死んだ事によりおじいちゃんが殺されたという未来は無くなりました。
大好きなおじいちゃんの待つ現代に帰るか
愛しのエマと共に新たなループの世界で生きるか
僕なら老人?知らん!でエマ1択ですが
なんせジェイクは生粋のおじいちゃん子ですからね…悩みます。
そこでティムバートンが用意したエンディングがちょっとズルいんですよ。
それアリなん?
どやさ、どやさ
僕は両親指を立てグッ!としたので僕的にはアリアリのアリです。
きっとアンチティムバートンの方は中指を立てたでしょうが。
素敵なものが欲しいけど
あんまり売ってないから
好きな歌を歌う
という感じで最初っから最後までティムバートン臭の極みですが、実は今作の原作はティムバートンではありません。
脚本も共同執筆です。
それでもティムバートンというフィルターを通せばあら不思議
まるごとティムバートン
それだけティムバートンの世界観というのは強いのです。
僕は通常この世界観という言葉は好きではないのであまり使いません。
全く訳の分からない映画に対し
世界観が良いよね~
出たよ世界観!なんかふわっとしてません?感想として。
「理解出来ないが圧倒的される様な世界観」というのは確かに存在します。
でもせめてその映画が描く規模ぐらいは把握してから使いたいです。
その点ティムバートン映画は独特な世界に独特なキャラクターを登場させますが訳が分からない理解出来ない
そんな作品は1本もありません。
彼はよく言われます
奇人、変人、エキセントリック...
はぁ?逆!逆!
彼は常識人です。
不思議な世界を描いているようで、外枠はしっかりしており物語の行先も所々目印を置いてくれてる。
映画は芸術である前に娯楽
これを大事にしてます。
鑑賞者が理解出来るだろう範囲内で不可思議なお伽話を描く
想像範囲内での創造者
良く言えば鑑賞者の期待を裏切らない
悪く言えばマンネリ
でもそれはティムバートンがティムバートン流というのを確立したからです。
かつて漫画界の異端児と言われた荒木飛呂彦のように
独創性と娯楽性を両立させたのです。
だから僕はこの映画、あるいはティムバートン映画の感想を聞かれれば堂々と答えます
世界観が素敵なんだよと
追伸、こんなティムバートン擁護派の僕ですが、またジョニデとタッグ組んで白塗り仮装大賞させたら流石に突っ込みます。
なんで?
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最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・ビッグフィッシュ
・アリスインワンダーランド
・BFG ビッグフレンドリージャイアント