アノ映画日和

年間500本以上鑑賞、あらゆるジャンルの映画をイラスト付きで紹介

「ちはやふる 結び」感想 そんなに言っても委員会、ファンを恐れず好き勝手に書く

 

「上の句」「下の句」間に「繋ぐ」を挟み、遂に「結び」で完結。
「上の句」では号泣させられ
「下の句」ではガッカリさせられた。

それぞれの過去記事がこちら

このように上下 好き勝手に書いたのだから、僕には完結編である結びを書く義務がある。
と、勝手に責任感を感じている。

が、困った。
「結び」に対して言いたいことが多すぎる。
収拾がつかず、まとまりのない記事になる可能性が高い。
適当に文字を並べますので、皆さんで上手く拾って下さい。

ちはやぶる~かみよもきかずたつたがは~

2018年/日本
監督:小泉徳広
出演:広瀬すず、野村周平、新田真剣祐、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、松岡茉優、松田美由紀、國村隼、ほか
上映時間:128分

 

f:id:hagane-mk:20181008223603j:image80点

ざっくりあらすじ

千早を中心として結成された瑞沢高校競技かるた部のメンバーたち。
彼女達も高校3年生となり、最後の全国大会。
それぞれの想いを胸に、狙うは団体戦全国優勝。
新入部員も迎え、あとは心をひとつにするだけ。
が、瑞沢高校かるた部にかつてない危機が訪れようとしていた。
ちはや達はそれを乗り越え優勝旗を手にする事が出来るのだろうか

今、一生忘れることのない最後の夏がはじまり、
そして終わろうとしていた

 

誰もが問題を抱えている
だけど素敵な明日を願っている 

過去記事を読んで貰えたかどうか分かりませんが

上の句70点
下の句50点

これが今までのちはやふるに僕が付けた採点です。
そして今回のシリーズ完結編は80点
シリーズ最高得点です。
御覧になられた方はお分かりでしょうが

素晴らしい完結編でした。

128分とは思えないほど、各登場人物のドラマが詰め込まれ
それら全てに納得のいくエンディングが用意されていました。

が、しかし!

僕は泣かなかった。
上の句であれほど号泣した僕が。

感動したし、泣きそうにはなったんですが
何かが涙にストップをかけました。

それは何だろう?
何を不満に感じたのだろう?
確かめる様に再鑑賞。
すると、なるほど...涙のブレーキはこれか...
という要因、不満、問題点をいくつか発見することが出来ました。

怒りを買う可能性が高くて怖いですが

ちはやふる そんなに言っても委員会

開催です。
まずはこちらの問題から

 

・新はあれでいいのか?

この物語は千早、新、太一が幼い頃にかるたを通じて出会った事から始まっています。
その出会いは天才的なかるたの才能を持つ新が作り出したものでした。
その新が一時期かるたから離れ、紆余曲折ありながら復活する。
これは間違いなく【ちはやふる】を構成する上での大事な柱の1つです。

しかし、上下どちらの句でも、その凄さを語られる事はあっても映像で見る事はありませんでした。

完結編「結び」
新は千早たち瑞沢高校と対決する為に最強の団体戦チームを結成。

ついにその実力を見ることになるのか!

誰もがそう期待していたでしょう。
が、結局それが描かれることはありませんでした。
太一が

「新は圧倒的に凄いやつですから...」

とか言ってましたが、なら

その圧倒的を見せんかい!

鬼神の如き強さを見せてこそ、

おお、やっぱ新 凄え!

とアガルとこなのに...
絵で見ることがないので全く説得力がありません。

じゃあ、今回も新の見せ場はなし?
いえ、そうでもありません。

新の見せ場は違う形でありました。

お笑い要因として

後輩で準クイーンでもある伊織とのやりとり

「おにい、私と付き合っ」
「ごめん、好きな子がいる」

この唐突の告白と秒殺の塩対応
計3回ほどありましたが、あの間と表情と訛りが個人的にめっちゃツボでして
天丼されるたびにゲラゲラ笑ってしまいました。

他でもちょこちょこ新で笑いを取りにくる場面がありましたが

すべり知らず!

笑いにおいて新の今作での貢献度は非常に高いです

でも最後の最後で

新がこんな扱いで本当にいいのか?

皆さんの感想が気になるところですが次の問題にいきましょう。

 

・國村隼に頼りすぎじゃね?

競技かるたはマイナー競技ですから、ほとんどの人がそのルールや状況を把握出来ていません。
僕なんかは全く知らないので、

読み上げられたら場のカルタ全部バァーンやったったらええんちゃうん?

とか思ってしまいます。
そんな僕みたいなド素人でも状況が分かるように、
特殊な場面では必ず國村さんが登場します。

やられた...そう来たか...
え?どういう事です?
いや、この場面はね...

てな具合です。
國村さんは解説者じゃないぞ
解説者は別のおっさんがいたじゃないか
國村さんのこの映画でのお仕事は

名言吐き

です。
今回の名言は

「運命戦は運命じゃない」

はぁ?
下の句の

「個人戦こそが団体戦」

に続く何言うとんねん!的迷言ですが、シリーズを観てきた者には刺さります。

更に今回は周防名人の引き立て役も担っていました。
競技者として素晴らしいやられっぷりに周防名人の凄さが分かりました。

困惑することなく【ちはやふる】を楽しめたのは

全て國村さんのおかげです。

多岐に渡り活躍お疲れさまでした。
有難うございました。

f:id:hagane-mk:20181007223709j:image

 

・ポッと出が目立ちすぎじゃね?

今回初登場のキャラが何人かいました。
瑞沢高校競技かるた部新入生の2人。
筑波君と花野ちゃん。
準クィーンの我妻ちゃん。

ま、彼等の見せ場の分配は妥当だったと思います。
ちはやふるに新しい刺激をくれました。
が、あきらかにおいしいとこ持っていき過ぎの人がいました。

周防名人です

大学3年でかるたをはじめ瞬く間に名人となり。
絶対王者として君臨し続ける天才中の天才。
だけど偏屈で、ぼそぼそ小さな声しか出さない、かるたで連覇すると同時に大学も留年連覇中、和菓子が大好き、かるたはそんなに

何これ?キャラたちすぎじゃね?

しかもビジュアルも雰囲気も良い。
甘じょっぱい顔に無精ひげ+天然キャラ+毒舌
だけど実は障害を隠し持っている。

どんだけハイスペックやねん!

こんな愛されキャラですから、当然出番も多いしおいしい所も持っていきます。
僕も大好きです。
でもその分、割を喰っちゃう人も出てくる訳で...

・机君と肉まんと萌音ちゃんは?

瑞沢高校競技かるた部の創設メンバーにもかかわらず見せ場が少なすぎる。
新キャラ(特に周防名人)と國村さんが活躍すればするほど彼らの時間がなくなります。
結局なんか良い先輩キャラで終わっちゃいましたね。
彼等にも彼等なりの3年間の想いがあったはずなのに。

でも最後の試合、

負けて終わった机君は良かったなぁ~
お辞儀をしたまま顔をなかなか上げれなくて
千早の
「机君、お疲れ様でした」
にも うなずくしか出来なくて。

そもそもかるた部に入りたくて入った訳じゃない机君。
3年間でかるたも仲間も大好きになって、どんどん前向きになって。
1勝の喜びも、1敗の悔しさも、1番噛みしめたのは机君です。
愛情の伸び率は断トツ机君です。

見せ場こそ少なかったけど、僕は君を1番指示しますよ。
お疲れ様でした、机君。

ついでに肉まんと萌音ちゃんもおつかれ。

f:id:hagane-mk:20181008170156j:image

 

・謎の演出、あれいる?

今回新しい演出法が加わっていました。
所々水彩画風のイラストで表現するという。
かるた千年の歴史が感じれて良かったですね。
良いアクセントになっていたと思います。
思いますが...

そもそも二次元の漫画を三次元で実写化してるのに
二次元をアクセントにするってどうなん?
アリなん?

ん?大半がアリと言ってる声がしますね、じゃあここは譲ってアリってことで
でも、次は譲れませんから

 

 ・主役は千早じゃねえのか?

この映画を観た人100%思ったと思うんだけど

主役太一やん!

ポスターもパンフレットもDVDケースも千早(広瀬すず)がドーンやけど

主役太一やん!

いや、結びだけの話じゃなくて、上、下、結び、通して観た時に
太一の千早に対する想い、かるたに対する想い、仲間、ライバルに対する想い、
そして悩みが描かれています。
悩みに悩んだすえ太一がどういう答えに辿り着くのか

実写版ちはやふるとはそういう物語でした。
原作は途中までしか読んでないけど

これでいいん?

これ言うとまたクレーム来ると思うんだけど...

僕、野村周平嫌ーい、太一嫌ーい

だって絵に描いたような爽やかイケメンやもん。
男子校出身非モテ人生の僕が1番拒否反応起こすタイプです。

で、太一ってカルタも勉強も恋も必死
更にはカッコつけるのも必死

どんだけモテたいねん!

あんな茶髪にしてるのにサラッサラの髪って
キューティクル気にして高っい美容室でやらな無理ですよ。
ま、それはいいとして
いっつもおいしいとこ持っていくやん?

腹たつわ~

今回も奏(上白石萌音)が指をケガしたから出番があったけど、ケガが無かったら誰と変わるつもりやったん?
みんなこの日の為に必死で練習して来ててんぞ。
それを勝手に辞めて...
勝手に戻って来て…
勝手に出場って...
せめて試合前に

ごめ~ん、ほんまごめ~ん

て謝って許されてから出場せえよ!

「瑞沢高校4番真島太一くん」
「はい!」

ハイじゃねえよ!ハイじゃ!

何?呼ばれるまで扉の向こうに隠れてたん?
何ゆっくり歩いて来とんねん。
ヒーロー見参!みたいでバリカッコいいやんけ!
カッコ良すぎるやんけ!

あんなんズルいわ~

しかも最後の最後また運命戦って、
【運命戦は運命じゃない】をやるって...
新に勝つって...

老若男女問わず抱いて抱いてセニョリータですよ。
もう、あんたが主役や。
広瀬すずに謝っとき。

 

f:id:hagane-mk:20181007203555j:image

さようならが迎えにくることを
最初からわかっていたとしても

・結ぶんじゃねえ!

結局1番言いたい文句はこれですよ。

どーのこーの文句を言いながら、僕はちはやふるが好きなんです。
アイツらが大好きなんです。
正直、観終わった後の感想は

あー終わっちゃった…(悲)

でした。
感動して泣くよりも先に寂しいって感情が僕を襲いました。

終わりと言いながらなんやかんやで続編やります
そんなぼんやりした終わりじゃなくて

完全な終わり、結び、固結び

そんな終わり方でしたから。

ああーでももっと観たい、彼等に会いたい

ちはやふる-ほどき-
ちはやふる-再び-
ちはやふる-ビヨンド-

何でもいいから続編を企画してくれないだろうか...
そう願いながら本当は分かってるんです。

完全な終わりだから素晴らしいんだって

 

さて、という事で ちはやふる-結び- そんなに言っても委員会
好き勝手に言わせて頂きました。
いかがでしたでしょうか?
共感どころか、何こいつイチャモンつけてんだ
とお怒りでしょう。

でも最後まで読んで分かって貰えたかと思います。
これは頭で分かっていても終わりが受け入れられない子供おっさんが駄々をこねて愚図ってるだけだと。 

だからその振り上げたこぶしを開いて、頭を撫でてやって下さい。

僕だって寂しいんだ...(涙)

f:id:hagane-mk:20181008000259j:image追伸、
僕は原作のあるもの、特に漫画は完結するまで映画化するべきではない論者です。
創造主でない者が勝手に終わりを創り出すだなんて原作への冒涜だと思っています。
作者が終わりを創り、それを読者がどう受け止めたか
そこまで見届けてやっと映画化は許されるとずっと言ってきました。 
でもこの ちはやふる3部作を観てその考えが凄く揺らいでいます。
何をどう文句言おうが
心の底には楽しんだ僕がいるから...
楽しんでおいてダメって話もないなぁって思います
悔しいけど、僕の薄っぺらい論よりこの映画の面白さの方が説得力があります。

だから今後先の論を述べる時は

最終回前の映画化はするべきではない。
ただし、ちはやふるを除く

とします。
特例を許さない僕が特別に許した映画、

それが「ちはやふる」です。

最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・ちはやふる 上の句
・ちはやふる 下の句
・ピンポン