アノ映画日和

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「不機嫌な赤いバラ」感想 ニコラスケイジの隠れた大傑作、見逃してませんか?

 

ニコラスケイジと言えばひと昔前は映画選びに厳しい俳優として知られていました。

僕はそんな彼が大好きでした。

ところが昨今の彼と言えば、来るオファーは断らないのか?というぐらい あっちにもこっちにも出演。
レンタル店では毎月何かしらの彼の出演作が新作棚に並んでいる気がします。

こうなるともう殆どがハズレ。
ガリガリくんの当たり、ハート型のピノぐらいの難しさになっています…トホホ

これではニコラスケイジ好きの方まで離れていってしまう

こりゃいかん!

そこで今回は皆さんがまだ観てないであろう
ニコラスケイジの隠れた大傑作をご紹介します。

どうぞ狙って当てて下さい。


1994年/アメリカ
監督:ヒュー・ウィルソン
出演:ニコラスケイジ、シャーリーマクレーン、ほか
上映時間:96分

f:id:hagane-mk:20180805224206j:image80点

ざっくりあらすじ

若きシークレットサービス管理長 ダグ(ニコラスケイジ)
彼はオハイオ州の田舎町で前大統領の未亡人テス(シャーリーマクレーン)の護衛をしていた。
彼女は我がまま気ままな人物であり、ダグは毎日嘆いていた。
大統領お墨付きの特務指揮官のSPである私がなぜこんな田舎町でこんな護衛を...
だがこれが私の仕事だ

憎ったらしい元大統領夫人。
だが彼女の命は私が護る。


情熱の真っ赤な薔薇を胸に咲かせよう

花瓶に水をあげましょう 心のずっと奥の方

まず皆さんにお詫びしなければならない

今作を大傑作と言ったな
あれは嘘だ。

ちょちょ、待って、帰らないで!
「大」が着かないだけ「大」が、
傑作なのは間違いないから!
面白いのは間違いないから!
もう少しお付き合いを

じぁあ早速その面白さをあらすじを追いながら紹介していきます。

これは面白い!

そう確信した段階で読むのを止め、鑑賞の準備に移って下さい。

物語はダグが3年の護衛の任期を終え、テスの屋敷を離れる所から始まります。
テスを含む屋敷の連中にお別れの挨拶をします。
その顔は終始笑顔でニヤニヤが抑えられない感じ。

ワシントン本部に戻ったダグは上司に

「次はホワイトハウス警護とかそういう緊張感のある任務を希望します」

そう言うと上司は心苦しそうに言う

「キミにテスの護衛延長を頼みたい」
「は?無理です!3年どころか3分だって無理です!」
「大統領直々の要請なんだ」
「もし断ると言ったら?」
「大統領に電話するしかないな...君が断ったと」
「ちくしょー!」

大統領の依頼を断ったなんてことになればダグのSPとしての将来は終わりです。
こうしてダグはとんぼ返り、別れを告げたはずの屋敷に戻ることになるのです...

この流れで いかにテスという女性が偏屈BBAかお分かりでしょう。
任期中、あるいは終了後すぐに直接護衛延長を頼めばいいものを
お別れしといて1回ワシントンに帰してから、現大統領を通じて戻す。

ダグがこの任務と自分を嫌ってることを知りながら...

なんてクソBBAなんだ!

戻ったダグの最初の任務はテスに朝食を届けること
些細な仕返しに朝食に添えられた1輪のバラを折り胸飾りにしてやります。

「なぜ私を戻したんですか?」
「あなたが好きだからよ」
「私は戻りたいんです」
「悪いけど、あなたが必要なの」

全然悪びれる様子もなくテスは続けて言います。

「良いニュースがあるわ」
「私は脳腫瘍よ」
「スカッドミサイルを買ったわ」
「明日オペラ鑑賞に行くわ」
「どれかが本当よ、どれだと思う?」

「オペラの準備をします...」

憐れダグは再びテスの護衛に戻るのでした。

どうですか?ツカミとしては面白そうですか?では続けていきましょう。

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部屋を出たダグに即テスから呼び出しがかかります。
今行って来たばかりなのに何だ!
無視するダグでしたが

ビー!ビー!ビー!

緊急警報が鳴ります。
慌てて部屋に駆け付けると

「ゴルフがしたいわ、30分で用意して」

F××K!KUSOBBA!

ゴルフ場ではロストボールを探して来いとかまで言われ
ついにダグはキレます

「私はシークレットサービスです、キャディーではありません」
「私を留任させると言うなら今後は規則厳守でいきます」
「使い走りや夜食作りはしません」
「それが嫌なら私をワシントンに帰して下さい」

言うたった!

ドヤ顔のダグは夜レストランでSP仲間に言います。

「奥さんにガツンと言ってやったよ、俺たちは警備員だ、夜食なんか作らないってさw」

そこに1本の電話が...

「大統領だ、さっきテスから電話を貰って、君があの人のバラの花束をグチャグチャにしたって言うんだが?」

「いえ...それは誤解でして...1本...」

「私が副大統領時代、あの人には大変世話になった。私が大統領になれたのはあの人のおかげだ!だからあの人とは上手くやれ!今度何かやったら犬の警護をやって貰う!クダラナイ事で電話をさせるな!」

ガツンと言ったはずが10倍返しでガッツーンとやられてしまいました。
憐れ...ダグ

しかしダグはひるまない。
意固地になってマニュアルガチガチのシークレットサービスを貫きます。

オペラに行く車に乗り込んだ時も、運転席の後ろに座るテスを見て

「アール(運転手)エンジンを切れ」

すると即テスは

「エンジンをかけてアール」

即返すダグ

「規則として運転手の後ろは警護上絶対ダメです」
「そっち側は日に当たるから嫌なの」
「正しい位置で座って頂くまで車は出発させません」

永い沈黙...
無言の怒りをぶつけ合うダグとテス
1人気まずい運転手のアール(可哀想)
永い沈黙...

移動するテス

「出してくれ」

YES!この勝負ダグの勝ちです。

しかし、これで終わるはずはありません。

エピソード3/テスの復讐です。

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Ah 君はいつの日か 深い眠りにおちてしまうんだね
そしたらもう目を覚まさないんだね 

ガソリンスタンド、SP達が給油や買い物をしている間にテスは

「アール、車を出しなさい」
「いや...奥様それは...」
「あなたの雇い主は誰なの?」
「イエッサァー!」

テスはSPたちを置き去りにそのままドライブに出てしまいました。

やりやがった!

怒り心頭のダグはマニュアルに従い州警察などあらゆるところに連絡。
道路封鎖、検問を依頼。
BBAのイタズラに州を動かす大騒動。

夕方何食わぬ顔で戻ったテス

「束の間のドライブがそんなに問題?」

一切悪びれる様子はありません。
もうこうなったら全面戦争。

偏屈クソBBA vs マニュアルガチガチSP

抱腹絶倒のバトルが繰り広げられます。
ついにはSP全員解雇、屋敷を追い出されます。

SPたちがいなくなったテスはひとり病院に向かいます。
そこで医師に告げられたのは

脳腫瘍がもはや手が付けられない状況であるということ...

え?え?え?

最初の3択クイズ
正解はオペラだけじゃないの?
テス死んでしまうん?

普段は見せない暗い顔のテス、そこに息子が訪ねて来ます。
テスは喜びましたが、息子はテスを利用したビジネスの話ばかり。
哀しくなったテスは1人自室で夫(元大統領)とファーストレディ時代の自分のビデオを観て懐かしむのでした...

一方、そんなことは知らないダグ
せいせいしたわい!と自宅でのんびり。
そこに1本の電話が

「大統領だが...」

直々のお電話です。
すぐに事態を収拾してSP全員戻れとのご叱責。

急いで屋敷に戻るダグですが、お怒り中のテスはSPたちを屋敷に入れません。
しかし諦めず深夜になっても玄関先に居座るダグ。
見かねたテスはコーヒーに誘います。

2人っきりでこれまで話さなかったプライベートな事を話しあいます。
これまで犬猿の仲だったとは思えない、
それはまるで親子のように仲睦まじい姿。

これまでの遺恨が一晩で氷解しました。

こうして再びダグたちSPは警護に復帰。
また騒々しくも平和な日常が戻ってきました。

そしてある日、テスはダグに提案します。

「屋敷の連中もSPたちも連れず、私とあなただけでピクニックに行きましょう」

快諾したダグは静かな湖畔にテスを連れて行きます。
静かな時間を楽しむテスとそれをそっと見守るダグ
とアール(お前もおったんかいw)

いつしかテスは眠りにおちてしまいました。
それを起すことなく、お姫様抱っこでダグはテスを車に乗せます。
(ここ絵的にかなり素敵なシーンです)
残されたイスを取りに行ったその時

車はダグを置き去りに走り去ってしまいました。

またやりやがった!

でも前と少し様子が違う...
一向に戻らないテス
ダグ達SPはもちろん、コックや秘書、屋敷のみんなが心配します。
ダグはFBIに捜査を依頼

地獄のように長い待ち時間が続きます。
そこに最悪の知らせが届きました。

「車を発見、車内には昏睡状態のアール、夫人の姿はありません」

誘拐が確定してしまいました...

誰に連れ去られたのでしょうか?
テスは無事なのでしょうか?
ダグはこれからどうすれば良いのでしょうか?

続きが気になる所ですが良きところであらすじ追いはここまでとさせて頂きます。
続きは是非皆さんの目でご鑑賞下さい。

チラッとだけ言うと
あのカチコチ頭のダグがテスの為に
マニュアルも法もプライドもかなぐり捨てて必死に捜索します。
そして意外な犯人に辿り着きます。

驚きと涙、必須です

楽しみにして下さい。

尚、記事はまだ続きますが鑑賞済みの方向けとなります。
ネタバレを含みますので、未見者はここでご退場下さい。

長文お付き合い頂き有難うございました。


君を讃えるには足りないから
今日は贈ろう 涙色の花束を君に

と、いう感じでニコラスケイジの隠れた傑作 不機嫌な赤いバラを紹介させて頂きました。
どうですかね?鑑賞済みの皆さん?
この映画の魅力、未見者の方に少しは伝わりましたかね?

映画はあそこからが面白いところですよね。
僕は後半はずっと泣きっぱなしでした。

テスの居場所を聞く為に犯人の脚を違法聴取と分かりながら銃で撃つとことか

埋められたテスを
「俺にやらせてくれ!」
と泥だらけになりながらスコップで掘るとことか

救出したテスを見て
「こんな姿、晒させる訳にいかない毛布を持って来てくれ」
と頼むとことか

ヘリで救急搬送する際、重量オーバーで降ろされたダグを
「私のシークレットサービスを乗せなさい」
とテスが命令するとことか

もうボロ泣きですよ

コメディ映画を観てたはずなのにあんなに泣かされるとは...

素敵な映画ですよ、まったく。


最後にちょっと個人的な話

僕が最初にこの映画を観たのは僕が大学生の頃。
夏の暑い日の深夜、母と一緒に観ました。

爆笑してハラハラして、そして2人で号泣しました。
で、鑑賞後も涙が止まらず
良かったな、良かったなって話した覚えがあります。

で、先日なんとなくそれを思い出して観てみたくなり鑑賞しました。

やっぱり泣けました。
最高だ!てなりました。

普通に採点するなら80点のまぁまぁ傑作映画がいいとこなんですけどね。
でも僕は母との想い出分が加算されて90点の大傑作に感じます。

そういう映画ってありますよね?
世間では普通の映画扱いでも、自分の大切な想い出が大傑作にしてしまう映画。

僕にとってはこれがその映画です。

今の僕はあの頃の母と同じくらいの年齢なんだなぁ...なんて感慨深くなっちゃって
違う種類の涙も零れました。

だから最初に言った「大傑作」というのは あながち嘘ではないんです。

僕にとっては大傑作

母に感謝の気持ちも込めそう断言しておきます。
あなたにとっても大傑作になり得たなら嬉しいなぁ

f:id:hagane-mk:20180805223014j:image追伸、最後に変な感じの想い出話をしちゃったんで誤解されてるかもしれないけど
母は今もご存命です。
元気です。
なんだったら僕より元気です。
お盆に帰ったらこの映画の話でもします。

最後にこの映画が好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・ボディガード
・マイ・ボディガード 
・ミッドナイトラン