映画好きさん同志で話してる時
「洋画しか観ない人って本当勿体ないよね、邦画にも沢山傑作があるのにね」
なんて会話がよくあります。
そんな時にあげられる作品といえば、北野作品、園子温作品、あとはゆれるとかCUREとか...いわゆる分かってるねぇ作品ばかり。
もちろんそれらは傑作だ。
でもその会話に口をはさみたくなる。
あ...あれもいいよね、しもつ...いやアヒルと鴨のコインロッカー。
喉まで出かかった言葉を押し込める。
何となく大人の男がチョコレートパフェを頼むような気恥ずかしさがあるから。
でもよくよく考えると好きなものを好きと言って何が恥ずかしい?
僕はオッサンだけどチョコパも少女漫画も好きだ!
そして下妻物語が大好きなんだ!!!
2004/日本
監督:中島哲也
出演:深田恭子、土屋アンナ、樹木希林、岡田義徳、ほか
上映時間:102分
85点
ざっくりあらすじ
茨城県下妻市、買い物と言えばジャスコしか無い様な田舎町。
ここにロココの世界をこよなく愛するゴスロリJK桃子は住んでいた。
彼女は自分の世界に生き、周りなど気にせず孤独を愛する少女だった。
同じ町に住む、特攻服を身にまとい喧嘩上等、ご意見無様(用)のヤンキーJKイチゴ。
彼女は暴走族に所属しバイク(原付)を走らせる毎日を過ごしていた。
まるで接点など見当たらないこの2人。
そんな2人がひょんなことから出会い、友情が芽生え...はじめる?
好きならば好きだと言おう
胸の内 さらけ出そうよ
ざっくりあらすじ、読んで貰えたでしょうか?
映画好きさん達が人の生き死にや犯罪の重さについてなど深~いテーマを描いた作品について熱く語っているなか、なかなかこの作品が...とは言いだし難い状況、何となく想像して貰えたでしょうか。
でも邦画には邦画の良さがある!ってそういう作品だけじゃないですよね。
のほほんとリラックスして観れる作品、クスッと笑わせて貰える作品、いわゆる娯楽作品も邦画ならではの良さじゃないですか。
映る風景や人が身近に感じられるからこそ楽しめる良さって絶対ある!
て、こんな2人周りにいないしこんな田舎に住んでないから説得力がないな。
うん、理屈うんぬんじゃ無く単純にこの映画が好きなんだ。
僕はこれから邦画の話になったら空気を読まずこの映画の話題を放り込んでいくぞ!
今回のブログはその決意表明みたいなもんです。
何が好きって色々あるけど、とにかく深田恭子が犯罪的に可愛い。
最初深田恭子ってあんまり好きじゃなかったんですよね。
なんか女の子女の子してて、ぶってんじゃねぇよ!てな感じでした。
じゃあこの映画の深田恭子はぶってないかと言うと超ブリブリです。
もうそれが開き直ったかのようにブリブリの可愛い女の子で、ここまで突き抜けられたらもう認めるしかないぞってなもんです。
で、周りは周り、私には関係ないもんってスタイル。
これファッションこそ違えど
深田恭子のイメージそのままでしょ。
一方土屋アンナが演じるイチゴ。
口が悪くて高圧的でヤンキーまる出し、でも情に熱い...てこれも
土屋アンナのイメージまんまでしょ。
原作を読んだ事は無いんだけど、これ深田恭子と土屋アンナをイメージして書いたんじゃねぇの?
で、一応この映画ダブル主演という事になってるけど、深田恭子の圧勝ですね。
土屋アンナも悪くないよ、悪くないけど、ごめん5馬身くらい離れてます。
土屋アンナだけじゃなく出演者の誰も深田恭子に並べてない。
あれだけ個性的なキャラばかりの中これだけ独走状態ってどんだけ強いんだよ。
たとえばそんな願いを 誓いを 皮肉を
道連れに さぁ旅立とう
日常の中のファンタジーへと
ふと考える
この映画のジャンルってなんだろう?
コメディ映画?青春映画?違いますね。
うん、これはファンタジー映画です!
もちろんドラゴンや妖精が出て来る訳ではありませんし魔法も使いません。
舞台は実在の場所ですしね。
それでも観終わった後に残る感触にハリーポッターやアリスと似たものを感じるのは僕だけでしょうか?
僕だけじゃないとしたら、それはやはりキャラクター達によるものでしょう。
ゴスロリ桃子とヤンキーイチゴは言うまでもなく、元ヤンキー片目眼帯のお婆ちゃん、超絶リーゼントで一角獣の異名を持つ龍二、おかまチックなショップの店長、出てくる奴らみんな個性の塊みたいなやつばっか。
さっきドラゴンも妖精も出ないって言ったけどある意味それ以上のモンスターばかりです。
そんなバカげた連中ばかりが登場し、バカげた事を言いバカな事をするなんて
観る価値のないバカげた映画にしかなりそうにないのに、なってない。
それってある意味魔法ですよね。
その魔法のタネは主役の桃子です。
1番個性的なキャラだけど自分の世界観で生きているから周りを冷静に冷ややかな目で見ています。
自分の世界の外の人間を完全にバカにして見下してます。
彼女の一人称で語られる場面が多い事で、バカを肯定してない自虐的な笑いにしてくれてます。
この一歩外から見る視点が重要で、それがないと僕たち面白いでしょ?笑えるでしょ?てのが鼻についてバカバカしいとしか映りません。
そしてそのバカにしてる人間が1番バカっぽい事で更にもう一歩外から僕達が鑑賞出来るんですよね。
桃子偉い!
もう一つのタネはバカげた連中のバカげた日常の中に少しだけリアリティを入れているという事。
分かり易いのは実在する場所で実在する店とブランドが出てくる事。
実在する人物も出て来ますね。
東京に行った時に会う芸能人が水野治夫ってなんかわかる。
このファンタジーとリアリティの共存のバランスの良さ、なんとも観てて気持ちが良く繰り返し観たくなる要因はこれかもしれません。
盗んだバイクで走り出す 行き先も解からぬまま
暗い夜の帳りの中へ~え~え
あ、肝心なストーリーについて何も触れてないですね。
と言ってもストーリーなんてあって無い様なものですけど...
物語の中心は桃子とイチゴの友情。
接点なんて何もない2人が、桃子の父親が創ったバッタモンのベルサーチをイチゴが買いに来た事で出会います。
それから何かと桃子に会いに来るようになるイチゴ。
ここで良いのが桃子が全然心を開かないってこと。
自分の世界に生きてる桃子にとって、興味のない人間がズカズカと近づいて来てもウザいだけ。
ここで本当はずっと友達が欲しかったとか言って仲良しごっこを始められても、キャラ崩壊だし本当それこそごっこにしか見えません。
イチゴはお構いなしに一方的に話すし、桃子は特に気に入られようとか思ってないから本音で返す。
これがイチゴにとって心地良かったんだろうなと端から見ててもわかります。
それから色んな出来事を通して2人の心の距離は近づいていく...かと思いきや桃子のスタンスは変わらない。
ぶれないキャラ。
でもある日桃子は憧れのロリータブランドのオーナーから仕事の依頼を受けます。
桃子にとっては神のような存在からの依頼、光栄の極みであり至福です。
しかしそれ以上にプレッシャーと不安を感じ潰れそうになります。
そんな時に会いたくなったのがイチゴ、桃子は電話をします
「イチゴ...会いたいよ」
桃子からイチゴを呼ぶなんて初めて、喜んでイチゴは駆けつけます。
そして桃子を励まし自信を与えそばにいます。
しかし、その日その時間は族の大事な集会の日。
族よりワケの分かんない女を取ったって事でイチゴはケジメを受けるはめになります。
それを耳にした桃子。
神様から依頼された大事な仕事の日ですが、桃子にとってイチゴは自身も気づかぬ内に神様より大事な存在になっていたのです。
原付バイクをすっ飛ばしてイチゴのもとへ。
急げ桃子!走れ桃子!
あまりに急ぎすぎて交通事故を起こしますが関係ありません。
命と同じくらい大事な服がボロボロになっても傷だらけになっても桃子は再び走ります。
そして辿り着いたケジメの場、まさにイチゴがリンチを受けようとしているところ。
登場した桃子を族のメンバーが笑います。
こんなのとダチなのかよwww
ダチなんかじゃねえよ!
こいつはよ、いっつも1人で立ってんだ
群れなきゃ走れねえあんたらとは格が違うんだボケェ!
あたいも1人になる...アイツみたいに
はい、ここ涙腺崩壊ね。
ネピア空っぽね。
そこからイチゴをボコる族たち、見るに見かねて遂に桃子がブチ切れます。
ワレ、イチビッてたらホンマイてまうぞゴルゥア!!!
普段はロココを愛しおしとやかな桃子ですが産まれは尼崎、親は元ヤクザ。
迫力があります。
ここが今までとのギャップでハンパなく超胸熱なのです。
て、ストーリーを書けば書く程、これ本当に男が観て良い映画か?
ましてやオッサンが観て良い映画か?
涙するってヤバくねぇか?
と不安になってきました。
う~~~ん。
判断は皆さんにお任せします。
でもおっさんが下妻物語が好きだからって何すか!
好きだったら悪いんすか?
犯罪ですか?
てか何罪ですか?
気持ち悪いおっさん下妻汚すな法ですか?
上等だよ!表に出ろ!
キミ1人で...
- 出版社/メーカー: 東宝
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最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品紹介して終わります。
・嫌われ松子の一生
・パコと魔法の絵本
・リップヴァンウィンクルの花嫁