アノ映画日和

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「ザ・ウォーク」感想 地上411m、世界が見上げたその美しき犯行

 

ワールドトレードセンターで綱渡りをして成功する。
それは確かに凄い事なんだけど、そのワンパンチで2時間もつの?
それが不安でこの映画を観るの躊躇してる人もいると思う。
僕がそうだったから。
結論を先に言いましょう。

この映画...おもしろいです。
2時間がアッという間だったと思える程に。

2015/アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
出演:ジョゼフゴードン=レヴィッド、ベンキングズレー、シャルロットルボン、ジェームズバッジデール、ほか
上映時間:123分

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71点

ざっくりあらすじ

これは実話である。

1974年、当時世界一の高さを誇ったワールドトレードセンター。
その高さは411m。
フィリップ・ブティ、彼はその屋上にいた。
アーティストとしての技術と誇りを証明するために...

 

ありったけの夢をかき集め 探し物を探しに行くのさ ONE PIECE 

僕はこの話をアンビリーバボーだか仰天ニュースだかを観て知っていました。
だからこそ冒頭で書いた様に、2時間ももつのか?と不安視していました。
2時間かけてゆっくりゆっくり牛歩で綱渡りされたのではたまったもんではありません。

しかしエンタメの天才ロバートゼメキスがそんな事をするワケがない!そう信じて鑑賞する事にしました。

冒頭、主人公であるフィリップは自由の女神の頂上にいます。
つくづく高いとこが好きなやっちゃなあ~と思っていると彼が語り出しました。
現在の彼が過去を振り返る演出です。

物語はワールドトレードセンターでの決行日より7年前から始まる。
フランスで大道芸人をしていた17歳の彼は雑誌でニューヨークに世界一高いツインタワーが建てられることを知ります。
その記事を見た瞬間思うのです

よし!ここで綱渡りをしよう!

は?凡人の僕にはさっぱり理解できませんが、大道芸人の彼にはアーティスト魂に電気が走ったのでしょう。
しかし7年も前から計画立てていたとはびっくりです。
そりゃ、風呂屋感覚でふらっとタワーに行って、あらよっとで渡って帰ってくるとは思ってませんでしたが7年かぁ...長いな。

2時間牛歩渡りも困りますが、7年だらだらと描いて最後の5分で渡って終わりも困るなぁ...寝てしまうなぁ...と不安になってきました。

しかし心配ご無用です。
よくよく考えたらあんな大偉業を1人で出来るわけがないのです。
計画を実行する為に必要な人物との出会いが描かれます。
まずは綱渡りの師匠、サーカス団のおやじです。
このおっさんがなかなかいい味出してまして、劇中ちょいちょい名言ぽい言葉をはきます。

次が恋人との出会いです。
恋人との出会いはなかなか素敵な感じですが、特にこの彼女が何をする訳でもないので、要らんと言えばいらないです。
え?あ、はいはい心の支えね、心の支え大事大事。

公式カメラマンもチームに加わります。
彼がいなければ記録は残されなかったと考えると、恋人よりもよっぽど重要です。

こんな感じで次々と彼の計画に賛同し仲間が増えていきます。
みんなそれは凄え!おいらも協力させてくれよという感じなのですが、みんなどこか頭のネジが数本足りてないと思います。

僕がフィリップにワールドトレードセンターで綱渡りしようと思ってるんだ。キミもチームに加わらないか?と誘われたなら、はぁ?危ないからやめとけ!と絶対止めますし、止まらなければ警察に通報します。

みんながそれをせず仲間に加わったのは、頭がおかしかったか、彼のもつ信念が他の人にも伝染してしまう位強く熱いモノだったかのどっちかでしょう。

そして時は経ち決行日がきます。

 

ほら 足元を見てごらん これがあなたの歩む道

許可なくゲリラ的に作戦を決行するのですから、忍び込み方や荷物の搬入なども大変でそこもなかなか緊張感があって見応えがあるのですが割愛します。

深夜から準備に取り掛かり太陽が昇ると共にロープを渡り始めました。
この映像はかなり凄いです。
高所恐怖症の人はこの映像で気絶ものですので足元にご注意下さい。

僕はこの映像を観て、つくづくこの映画の監督がロバートゼメキスで主演がジョゼフゴードンレヴィッドで良かったと思いました。
もしこの映画が監督・主演ジャッキーチェンなら、どこか適当な高層ビルでノーCG、ノースタントで挑んでいたでしょう。
そしてEDロールではお約束のNGシーンでビルから落ちるジャッキーが何回もリーピートされたでしょう...あぁ恐ろしい。

 

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そんなことを僕が考えてるうちにノースタワーからサウスタワーへ無事渡り終えました。(逆かもしれません)

仲間たちは偉業を成し遂げたと大喜びですが、僕はまだ数十分ある上映時間をどうするつもりだ?と心配してました。

フィリップも何か考えた表情をしてます。そして言います
「ノースタワーが呼んでる気がする...来た道を戻らなければ」

またロープを渡り始めます。
その頃には下では大観衆が彼の行動を見つめていました。

さすがにこの騒動には警察も駆けつけます。
警察の待つノースタワーの屋上に近づくと、クルッと向きを変え今度はサウスタワーへ。
サウスタワーでも警察がいるのを見つけると、またノースタワーへ。
ついにはヘリまで出動しだしました。
ここは鑑賞者全員が思ったはずです

もう!集中してやってるのにさっきからうるさい!ヘリとか風を起して危ないやろ!

しかしフィリップにはもう緊張の表情はありません。
パリのシャンゼリゼ通りを歩くように余裕の表情です。

フィリップがカイジの「鉄骨渡り」をやったなら余裕で渡り切っちゃうだろうな...
僕がそんなつまらない事を考えているとフィリップは下で見守る観衆達に深く深くお辞儀をします。
これには思わず観衆も僕も大拍手です。

そしてロープの真ん中、安らかな表情で寝転がります。

全てをやりとげた彼は警察に連行されます。
やった事は犯罪で決して褒められた事ではありませんが、世界は彼を英雄として称えました。

 

そして場面は自由の女神にいる彼に戻ります。
当時を振り返り語り出します。
とても素敵な語りです。
その後ろには今はもう姿のないワールドトレードセンターが映ります。

この映画にはフィリップという1人の男の人生を描くとともに、ワールドトレードセンターへの敬意も描かれています。

かといってお涙頂戴の作品にしてるわけではありません。
僕はどこかミッションインポッシブルなど痛快なアクション映画を観たような満足感が残りました。

僕と同じ様に冒頭のような不安をお持ちのそこのあなた、そんな無駄な不安は捨てて下さい。そして是非ヨドバシカメラでどデカいTVを買って迫力ある映像でお楽しみ下さい。

 

追伸、30代半ばのおっさんジョゼフゴードンレヴィッドが17歳から24歳のフィリップを演じたのは少し無理があるなぁと感じたのは僕だけでしょうか...

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最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・アルゴ
・アポロ13
・フォレストガンプ